
23.転職
11月1日付けで新しい仕事に就くことになった。
最初の1ヶ月は本社に泊まりで研修、レンと離れることになる。ちょっとした旅行気分で楽しみにしていた。
研修中も当然、毎日レンとやりとりしていた。
勤務時間以外、「今なにしてる」 「これからこれする」 「もう寝る」
と、逐一やりとりし合っていた。
新しい生活への不安にもやはり、レンがいつも寄り添ってくれていた。
研修中にどんなに辛い事があっても、仕事が終わってレンとコミュニケーションを取ればそうゆうのは全部どこかにすっと消えていく。
研修中はそんな毎日の繰り返し。
レンの支えもあって、1か月の研修期間を乗り越えりことができ
無事地元に戻った。当然、戻る日にはレンが駅に迎えに来てくれた。
迎えに来てくれた彼の車に乗って、そのままレンに抱き着いて。
帰りを待ってくれている人が居る幸せを噛みしめていた。
研修後は予定通り地元の配属先での勤務となった。
そこでの仕事、というか、そもそもの会社との相性が悪すぎて
仕事は全く楽しくなく、毎日仕事終わりに会うレンとの時間だけが支えになっていた。
この頃にはレンも、バーの経営は辞めていて。仕事終わりにはほとんど毎日私と会ってくれていた。
仕事終わりにいつもの場所で待ち合わせして、ファミレスでご飯を食べて。
ドライブをして、それから沢山お喋りをして。
そんな毎日が当たり前になっていた。
当時、私が転職した会社はちょっと変わっていて、人の入れ替わりがもの凄く激しくて。
「研修」という名の出張が定期的にあって、一度行けば1か月は拘束されるという出張が繰り返し行われていた。
在籍期間中、私も何度か出張に行ったことがあって、その都度レンとは期間限定の遠距離恋愛みたいになった。
何度目かの出張の時、期限を決めずに出張に行かせようとする
会社に対する不信感が募ったのと、レンと無期限で離れ離れになるなんて
耐えられなくて、退職を考え出していた。
退職するかどうかに悩んでいる時も、レンがいつでも側に居てくれて。
私の意見を否定するでも肯定するでもなく、ただただいつも話しを聞いてくれていた。