ああ、なんでこんなにも輝いて見えるのかな……

自分の状況をひどく冷静にみた。私は落ちないように必死に捕まる自分。必死に必死に、指がもたれぬよう、捕まっているけど、
何故だろう。これを離してしまったらどうなるのかな。もがきながら捕まる縄を見ながら私はそんなことを思った。
パッ。。あれ。落ちているのも気付かぬくらい一瞬なのかな。頭に走馬灯のように悠太くんと出かけたこと、笑いあったこと、ふたりで食べたドーナッツの事。口元についた粉砂糖をとりながら二人で笑いあったっけ。
ああ、あの時は楽しかったのにな。。そんなことを色あせたフィルムのように、場面場面を映し出す。これでいいんだよね?これで。私は幸せになれるんだよね。

ふっ。。一瞬意識が遠のいた気がした。浮遊感がいきなり現実を帯びる。
私は知らぬうちに眠りに落ちていたようだ。
「夢、だったのか……」
カーテンの隙間から漏れる光が宏子を照らしていた。ピチピチピチ……すずめの楽しそうな声が聞こえる。

「今日も一日が始まるんだな。」

宏子はただ一点を見つめ、始まりの音も聞こえないそんな瞬間に、体が酷く重くなったような感覚を覚えた。

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