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いま注目されている「アート思考」を独自の視点で解説

いま注目されている「アート思考」を独自の視点で解説

 アート思考とは、アーティストのような独自の視点で世界に問いを投げかけるものであり、新たな価値創造の鍵となり得るとされています。日本の学校教育が長期間にわたって大学進学を重視してきた一方で、キャリア教育の重要性が認識され、VUCA社会では従来の成功モデルが必ずしも充実した人生を保証しないことが理解されつつあります。

 末永幸歩氏の著書『13歳からのアート思考』では、アート思考を問題解決の手段ではなく、問いを深める思考法と位置付け、自己理解の深化が前提とされています。アート思考の基盤には、個人の内発的な動機や自身の関心事が重要な役割を果たしているとされています。

 山口周氏の著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』では、サイエンス中心の意思決定の限界や市場の自己実現的な消費へのシフト、システムの変化への適応の遅れなどから、美意識の重要性が論じられています。

 これらの観点から、成熟した社会では多様な価値観や文化を持つ人々との共存が重視されます。図画工作や美術教育が創造性を育成する有効な手段であると示唆されています。

アート思考の三つの柱
観察、思考、表現

 私は、生まれた時からアートに囲まれた生活を送ってきました。父はアーティストで、父の部屋からは油絵の香りが漂っていました。幼少期から、アーティストの姿を見て育ちました。現在は企業人で新規事業を担当し、さらにスタートアップし、ゼロイチ中です。

私が捉えるアート思考は、次の3点で成り立っています。

✅観察する:
五感を使って自ら世界を捉える。

✅思考する:
第六感(気持ち)を整理し、自己理解を深める。

✅表現する:
自らの気持ちを世の中に伝える。

 アーティストの表現手法は多岐にわたり、絵画、造形、写真、映像、音楽、ダンスなどがあります。私は、新規事業やスタートアップも一つの表現手法と考えています。

 差別化戦略を構築する中で、アート思考は重要な要素となると考えています。

スポーツや新規事業におけるフロー体験:アート思考の共鳴

 私はかつてスポーツ選手でもありました。フリースタイルスキーモーグルで競技に打ち込み、選手活動を開始して、3~4年で国体入賞を果たしました。その時は、上達するのが楽しくて楽しくて仕方がなかったことを覚えています。

 スポーツとアート思考には共通点があります。その一つが「フロー」という概念です。これはアメリカの心理学者M.チクセントミハイが提唱するもので、完全な集中状態を指します。

 アート思考は、自ら五感で世界を捉え、第六感を整理し、自らの気持ちを世の中に伝えるプロセスです。この状態を楽しみながら実行することで、没頭するクセがつきます。没頭することは、集中力が高まり、より上達し、創りあげる時間が短縮されることを意味します。

 私自身は、山口県柳井市の田んぼと山に囲まれたドがつくほど素敵な田舎で育ちました。人工物の遊具は一つもなく、自然の中で遊びを創造し、没頭して楽しんでいました。例えば、友達と一緒に木の枝や石を使って秘密基地を作ったり、穴を掘って・落とし穴で遊んだり、山の斜面を滑り台として整備したりと創造することが日常でした。こうした体験は、私の創造性や問題解決能力を育む土台となりました。

 新規事業の立ち上げをアジャイル型で行うことは、子ども時代の遊びの延長だと感じています。
 例えば、あるスタートアップが、チームメンバーとアイデアを出し合い、試行錯誤を重ねる中で、新たな商品を迅速に開発した。このようなプロセスは、子どもたちが自然の中で遊びながら新しいルールや遊び方を見つけていく様子と非常に似ています。

 また、子ども時代の「もしかしたらこうかも知れない。だからこうしよう!」という仮説・検証の繰り返しは、スポーツ選手として、フリースタイルスキーモーグルでの競技において、技術を磨くために反復練習を行う際に利用しました。成功した瞬間の喜びは非常に大きく、その喜びがさらなるモチベーションにつながりました。例えば、あるトリックを何度も試行し、成功したときの達成感は、まさにアーティストの成果に似ていますよね。

 この楽しく没頭した時間を何度も繰り返すうちに、「フロー」状態をコントロールできるようになりました。一方で、集中出来ないときもあります。集中を維持できないときは、作業を中断することもあります。これは、アーティストの父から学んだアート思考と、幼少期の田舎での遊び方が大きな影響を与えた結果です。
 私の場合は、寝不足では、集中できない要するにフロー状態にならないことを経験上知っています。このように、アート思考やそれを活用した行動は、私の人生において重要な役割を果たしています。

 アート思考は、創造力を鍛え、集中状態をコントロールできるようになるツールだと考えています。

 VERIARTプログラムは、アート思考と真の体験を組み合わせ、楽しいから生まれる集中状態=フロー状態を育む体験を提供しています。

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