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DXコンサルタントとして伴走する中で見えたイノベーションの本質

 私はローカルテレビ局でアプリの企画・開発を手がけ、その後、他のテレビ局からの依頼を受けて、DXコンサルタントとしてアプリを組織に浸透させるための伴走支援を行ってきました。この経験を通じて、組織改革やDX推進の現場で起こる課題を直に体感し、同時に次のイノベーションを追い求める重要性を学びました。

 今回はその経験から得た「コンサルタントとしての役割」「抵抗勢力との向き合い方」、そして「次のイノベーションをどう見つけるか」についてお話しします。

1. 抵抗勢力は変革の「正常な反応」


新しいプロジェクトやDX推進を進める際、必ずと言っていいほど抵抗勢力が現れます。これは、変化に対する「人間の自然な防衛反応」であり、イノベーター理論における「レイトマジョリティ」や「ラガード」に該当する人たちです。

イノベーター理論では、次のような層に分けられます。

• イノベーター(2.5%): 新しいアイデアや技術をいち早く受け入れる人々。

• アーリーアダプター(13.5%): イノベーターに続き、新しい取り組みを積極的に評価し、受け入れる人々。

 この15%ほどの層を味方につけることが、変革をスムーズに進めるカギとなります。一方で、残りの85%は慎重な態度をとりがちで、特に後半の層に対しては、具体的な成功事例が必要です。

2. DX化がもたらす「アジャイル型」の進化


私が手がけたアプリのDX化の事例では、従来の「視聴者に番組を届ける」という一方通行のスタンスから、「視聴者との対話」を重視するスタイルへと変化しました。

たとえば、アプリを通じて視聴者のリアルタイムなフィードバックを収集し、それを基に番組内容を改善するというアジャイル型の仮説検証を繰り返す仕組みを導入しました。この仕組みにより、番組制作が進化し、視聴者のニーズにより迅速かつ的確に応えることが可能になりました。

このような進化は、初期段階では仮説に基づく取り組みが多かったものの、成功事例が蓄積されるにつれて、抵抗勢力を動かす力となり、DXの浸透を加速させました。

3. 「誰でもできるコンサルティング」に変わる瞬間

DX推進は、初期段階では困難が多い一方で、時間が経つにつれて事例が蓄積され、成功例が増えてくると「誰でもできるコンサルティング」に変わります。これは、抵抗勢力が徐々に動き始め、新しい取り組みが「常識」として浸透するためです。

たとえば、最初は「使いこなせない」と言われていたアプリも、導入後しばらくすると「便利だ」と受け入れられるようになり、私の仕事も比較的スムーズになってきました。このような状況に達したとき、コンサルタントとして次に目を向けるべきは「新たなイノベーション」です。

4. 次のイノベーションを見つける方法


変革が安定してきたとき、次の挑戦に取りかかるタイミングが訪れます。しかし、それを見つけるためには、以下のような視点が必要です。

現場の「声」に耳を傾ける
 現場で実際にアプリを使っている人たちからフィードバックを得ることで、新たな課題や改善点が浮かび上がります。次のイノベーションのヒントは、現場に眠っていることが多いのです。
業界の変化を敏感に察知する
 コンサルティングを通じて業界の動向や競合の取り組みにアンテナを張ることで、次に来る変化を先読みできます。たとえば、今後はAIやデータ活用によるさらなるDX推進が求められるでしょう。
仮説を立て、小さく始める
 イノベーションは、必ずしも大規模なプロジェクトから始まるわけではありません。仮説をもとに、小さな実験を積み重ねることで、次の方向性を見つけることができます。

5. みなさんへ
「イノベーションの循環」を作るために


組織や企業の変化を促すために、まず自分たちが以下のアクションを取ることを提案します。
①自分の組織での「抵抗勢力」を特定し、対話を始める
 抵抗勢力を敵視するのではなく、彼らの懸念や疑問に耳を傾けることで、次の成功事例を一緒に作り上げることができます。
②「成功事例」を積極的に共有する
 事例が増えるほど、変革は加速します。小さな成功でも、社内外に積極的に発信することで、仲間を増やしていくことが重要です。
③常に「次」を探す視点を持つ
 DXやイノベーションが浸透し始めたら、現状に満足せず次の課題に取り組む意識を持ちましょう。

6. DXは未来への種まき


DXや組織改革は単なる技術導入ではなく、「未来への種まき」です。イノベーションは一度成功すると、さらに大きな挑戦が可能になる土壌を整えます。

変化は難しいものですが、一歩踏み出すことで新しい可能性が広がります。その積み重ねが、未来の大きなイノベーションにつながるのです。

7. 未来の当たり前をいま創る


DX推進やイノベーションは、私たちが未来に向けて種をまく行為そのものです。
新しい挑戦を恐れず、一歩ずつ前に進むことで、「未来の当たり前」を私たち自身の手で創り出しましょう。それこそが、私たちが次の世代に残すべき最大の貢献だと信じています。



おわりに
DX推進やイノベーションの種まきは、時に短期では成果が見えづらく、理解されにくいものかもしれません。しかし、その小さな一歩こそが、未来を形作る最初の礎となります。私たちが今挑むこの変化の波が、“未来の当たり前”を生み出す力になると信じています。

この挑戦が、組織の新たな可能性を切り開くきっかけになることを願い、引き続き前進を続けます。さあ、一緒に未来の当たり前をいま創りましょう。

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