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新築マンションと仲介は?

新築マンションの仲介はできる?

結論から話しますと、大手デベロッパーさんとお客様との間に仲介会社が介入することは現状では厳しいと言わざる得ません。具体的な理由としては、大手デベロッパーさんたちは自社で販売部門を持ち、施工から販売まで全てを自社完結で行っているからです。そのため、販売活動を任せられる営業マンたちには、そのマンションの完売目標という形でノルマが設定されています。

新築マンションの営業マンは、他の物件を売却しても成績になりません。よって、同じエリアでも、他の物件について詳しくないケースが目立ちます。

販売部署に所属する営業マンたちは、その地域で生活する人々と密接に関わりながら営業活動を展開していきます。具体的には、その地域にモデルルームを設け、そのモデルルームには事務所を併設します。人気のマンションであれば抽選を行うこともありますが、一般的には思っているよりも地道で手間のかかる作業が待ち受けています。営業用語では「ローラー作戦」と呼ばれる手法が今なお活用されています。これは、地域を網羅して、一つ一つのエリアを漏れなく訪問するという意味です。

訪問方法としては、飛び込み営業やポストイン(チラシを投函すること)などが行われます。不動産営業の基本は「近隣から攻めろ」です。特に新築マンションは中古と違い、販売戸数が多く、その全てを売り切るまでには時間を有します。そのため、営業マンは地域の人々との関係を深めつつ、確実に販売を進めていくことが求められます。

新築マンションのお仕事内容

仲介として接していくのが難しいとしても、新築マンションの業務内容を把握しておいた方が良いです。新築マンションの企画と開発は、大手デベロッパーにとって重要な業務になります。まず市場調査を行い、その結果を基に地域の特性やターゲットとなる層のニーズなどを入念に調査します。調査した情報はマンション企画の初期段階から大切な役割を果たし、最終的な開発方針を決定する上で不可欠なものになってきます。

もちろん、立地条件、周辺環境、交通アクセスなど、様々な要素も総合的に評価します。そして可能な限り多くの購入者にとって魅力的なプロジェクトにします。

したがって、新築マンションの企画と開発は、大手デベロッパーが市場調査から始め、地域特性やターゲット層のニーズに応じて計画を立案し、さまざまな要素を総合的に評価して、最終的なプロジェクトを立ち上げる、このように多くの人間が絡み、大きな仕事を皆んなで作っていくことになります。

マーケティングと販売戦略の策定

新築マンションをスムーズに販売し、完売するには、効果的なマーケティングと販売戦略が必要になります。大手デベロッパーは、広告キャンペーンの展開、モデルルームの設置、販売イベントの開催など、多岐にわたるプロモーション活動を通じて、物件の魅力を広く伝えます。当然と言えば当然ですが、この広告費や販売コストは全て販売価格の中に入っています。

新築マンションのメリットとその特徴

新築マンションの特性として最も目立つのは、最新の設備と高いデザイン性にあります。新築マンションは、常に最新のトレンドを反映した設備やスタイルを備えています。具体的には、最新のキッチン設備や洗練されたバスルーム、最新の家電製品、スマートホーム技術などが導入されている点です。最新の設備は、快適な生活をサポートするだけではなく、生活の質を向上させ、日常生活をより便利で楽しくする役割も果たします。これらは、新築マンションを選ぶ大きな魅力と言えるでしょう。

さらに、新築マンションはセキュリティ対策が充実しており、住民の安全が確保されます。オートロックシステムや24時間監視カメラ、セキュリティゲートなど、多重のセキュリティシステムが備わっています。セキュリティは、住民の生活を安心させ、安全を確保するための役割を果たします。

私は、新築マンションの購入メリットで中古マンションとの大きな違いは保証にあると思っています。新築マンションには建物や設備に対する保証やアフターサービスが付いており、これにより万が一のトラブルが発生した場合でも安心できるという精神的な支えが付与されることになります。新たな生活を始める際は沢山の心配事がありますが、その心配事を減らせるのはメリットと言えるでしょう。

これらの特性とメリットを考慮すると、新築マンションの選択は、快適で安全な生活を提供し、購入者に対する保証と継続的なサポートを提供するという利点があります。特に日本人は新しいものが好きなので、新築が好みの方は多いです。

新築マンションのデメリットと解説

先にこちらの図を見て頂きたいです。地域別に分かれていますが、東京都のグラフがわかりやすいはずです。

SUUMO調べ コロナ明けの不動産相場が変化しているのを考慮します

この図を見ると明らかですが、新築から築20年程度までの間に物件価値が大幅に下がる傾向があります。それに対して、築25年以降は価値がほぼ横ばいに推移します。新築マンションは資産性が高いと言われますが、もともと購入する時の金額が高いです。そのため、売却時に元の価格を下回るケースが多いです。これは、広告費などの販売活動費が初期価格に含まれていることも一因と言えます。新車を購入してすぐに売却すると価値が下がるのと同じ理屈がここにも適用されます。

住宅ローンの残債の減り方より資産価値の低下の方が激しく、住み替えで苦労される方を多く見受けました。

次に、立地条件について考えます。新しく作られた駅や開発が進行中の地域を除いて、一般的には駅から放射状に街が形成されます。それゆえ、駅近の物件は中古が多く、新築物件は駅から徒歩圏外に建設される傾向にあります。築年数の値下がり幅と共に、駅遠物件の資産性については、疑問が生じてしまいます。

また、管理費についても注目すべき問題があります。最近では、購入者の当初の負担を軽く見せるために、販売会社が管理費や修繕積立金を低く設定し、販売に踏み切るケースが問題視されています。低く設定された修繕積立金は、必然的に資金不足に陥るため、いずれは増額されます。また、当初安く設定した分を回収しなければならないため、計画が適当であった場合、住む人が後から苦労することになります。

ここは少なからず資産価値に影響します。自身が中古マンションを購入する時の気持ちになると分かりますが、修繕積立金が足りない、もしくは借入を起こしているケースのマンションを購入するでしょうか。

私の見解

新築マンションは単純に贅沢な買い物です。設備も最新で、内装も綺麗で快適です。しかし、その購入金額の高さと、築年数による価値の減少を考えると、必ずしも経済的に賢い選択とは言えないかもしれません。故に贅沢な買い物と言えます。

それでも、新築にこだわる方には、購入前に以下の点をしっかり確認することをお勧めします。

  1. 将来的な価値下落のリスクについて: 新築物件の価値は最初の20年で大きく下がる傾向があります。新築というブランド力が無くなり、いつかは築浅でもなくなります。それと共に、資産価値が低下していくということです。したがって、このリスクを十分に理解する必要性があります。

  2. 管理費と修繕積立金の適正性の確認: 購入時に設定されている管理費や修繕積立金が適正かどうかをチェックすることは必須です。これらの費用が適切に設定されていないと、将来的に大幅な増額が発生する可能性があるため、そのリスクを考慮することが必要です。

  3. 立地条件の検討: 物件の立地条件はその価値を大きく左右します。駅近の物件は利便性が高いため、資産価値が落ちづらいですが、反対に駅遠の物件は価値が下がりやすいという問題があります。売却時のことまで考えた立地条件選定をしましょう。

最終的には、お客様のライフスタイルや将来の計画に合った選択が一番大切にはなります。しかし、不動産仲介営業マンとしては、新築マンション販売の全体像を掴めるだけでも接客スキルに大きな差が出るはずです。自分の販売物件以外の部分に、少しでも興味を持って頂けたら嬉しいです。

次回は、「ハウスメーカーと仲介は?その仕事内容について」詳しくご紹介します。


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