独断専行の奈良案内(4)
朱雀(2)
朱雀、左京、右京、神功(じんぐう)と聞くと奈良についてご存知ない方は古来からの由緒正しい地名であると思ってしまうかも知れない。これら平城ニュータウンの地名は全くのでたらめで、たとえば私の住む朱雀は本来なら都の南方を意味するはずだが、平城京からみれば真北である。平安京から見なさい、ということなのか?!右京左京についても。
1970年代以降、全国的に造成されたニュータウンの街区にはたいがい○○台と名付けられることが多かった。朱雀や左京もそれと同じく人工的に作られた記号のひとつなのである。
では朱雀という場所にはもともと何という名前がつけられていたか、というと私がここに越して来た1986年当時は、なんとも優雅な「歌姫町」の名を残していた。それでは歌姫町が消えて朱雀になったかというと、そうではない。
ニュータウンの開発にともなって大きな面積を持つ歌姫町の一部が切り取られて朱雀1丁目から6丁目、になっていったのだ。それは山陵町(みささぎちょう)と右京、神功の関係 についても同じである。
どちらが好みか、といえば言うまでもなく歌姫である。
奈良の旧市街には阿字万字町、公納堂町、芝突抜町といった難読でミニマム数十軒からなる町がある。ここは絶対に「中央○丁目」にはならないだろう。
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