#15 さよなら煙草
煙草をやめることにした。というかやめざるを得ないこととなった。2月頭にインフルインザに罹患し、完治した。と思っていた。しかし、煙草を吸うと咳が止まらなくなってしまった。恐らく喘息か何かであろう。吸ってのど飴をなめると止まるが、そこまでして吸うものではない。
思い返せば沢山の想いがある。初めて吸ったのは20の夏。祖父の家が床屋を営んでおり、そこの待合室に置いてあったメビウスを吸った。最初は吸い方すら分からず、一向に火が着かなかったことを覚えている。
そこから、様々な銘柄を吸った。コンビニで売られているようなものは一通り吸ってみたと思う。特に好きだったのは、アメスピライト、アメスピメンソール、ショートホープスーパーライト、ハイライトメンソール。美味しかったなあ。
アイコスも吸っていた。マルボロミントとヒーツパープルが好きだった。嫌煙家の父親に何回かバレかけた。懐かしいなあ。
色々な場所でも吸った。道の駅で吸う煙草は格別に美味かった。函館や釧路といった港町は至るところに喫煙所があり嬉しかった。逆に、東京の喫煙所は人が多く空気も不味かった。池袋駅東口の喫煙所には相当お世話になった。ありがとう。
様々な人とも吸った。中学校からの友人とバーや道の駅で話しながら吸う煙草も良かった。高校の友人と久々に会って吸う煙草も良いものだった。
こんなことをアメスピ最後の一本を吸いながら思い出した。今やアメスピも14本入りで420円。高い。でも「嗜好品」としてのの役割を大いに果たしてくれた。だから、吸っていたことに後悔はない。ありがとう。
もしかしたらまたすぐに吸いたくなるかもしれない。そんな時はガムを噛みしめる。それでもきつかったら祖母の仏壇に手でも合わせよう。
アートワークの名場面には煙草がつきものだ。そういったシーンだけは無くさないでほしい。あれは芸術だから。紙巻の煙草でケムリをもくもくと上げてほしい。これが辞める身としての唯一の願い。
煙草を辞めたことで音域が広がること、肌がキレイになることを願って。
最後に喫煙者として常套句で締めさせてもらう。
「煙草は絶対に吸わない方がいいよ。」
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