忘備録>ヨーロッパの創薬・創薬支援について
ヨーロッパの創薬・創薬支援の特徴
活発な研究開発: ヨーロッパは、世界的に見ても創薬研究開発が活発な地域です。多くの大学、研究機関、製薬企業が、革新的な医薬品開発に取り組んでいます。
産学連携の促進: ヨーロッパでは、産学連携を促進するための様々な取り組みが行われています。大学や研究機関の研究成果を、製薬企業が活用しやすい環境が整備されています。
規制当局との連携: 欧州医薬品庁(EMA)は、医薬品の開発・承認に関する規制当局です。EMAは、製薬企業や研究機関と連携し、医薬品開発を支援する様々なプログラムを提供しています。
国際的な連携: ヨーロッパは、アメリカやアジアなどの他の地域との国際的な連携も積極的に行っています。共同研究や情報共有を通じて、創薬研究開発を加速させています。
主な取り組み
Innovative Medicines Initiative (IMI):
欧州委員会と欧州製薬団体連合会(EFPIA)のパートナーシップにより設立された官民共同イニシアチブ。
新薬開発における課題解決、研究開発の加速、患者への新薬提供の迅速化などを目指しています。
様々な疾患領域における研究プロジェクトを支援し、革新的な医薬品開発を促進しています。
European Lead Factory (ELF):
ヨーロッパの産学連携による創薬プラットフォーム。
大規模な化合物ライブラリーとハイスループットスクリーニング技術を提供し、創薬ターゲットの探索やリード化合物の発見を支援しています。
Structural Genomics Consortium (SGC):
タンパク質の立体構造解析と創薬ターゲットの同定に焦点を当てた国際的な研究コンソーシアム。
オープンサイエンスのアプローチを採用し、研究成果を広く共有することで、創薬研究開発を加速させています。
注目企業
Evotec (ドイツ):
創薬研究開発受託機関(CRO)として、製薬企業やバイオテクノロジー企業の創薬活動を支援。
ターゲット探索、化合物スクリーニング、薬物動態試験、安全性試験など、幅広いサービスを提供。
Galapagos (ベルギー):
炎症性疾患や線維症などの治療薬開発に注力するバイオテクノロジー企業。
ターゲット探索、低分子化合物創薬、抗体医薬開発など、独自の創薬プラットフォームを保有。
argenx (オランダ):
希少疾患や自己免疫疾患などの治療薬開発に注力するバイオテクノロジー企業。
抗体医薬開発に強みを持ち、革新的な治療薬の開発を目指しています。
技術的に進んでいる企業
Exscientia (イギリス):
人工知能(AI)を駆使した創薬プラットフォームを開発。
AIを活用することで、従来の創薬プロセスを大幅に加速し、効率化を実現。
2021年には、AIが設計した新薬候補が臨床試験を開始し、世界初の快挙を達成。
BenevolentAI (イギリス):
AIと機械学習を活用し、創薬ターゲットの探索、リード化合物の発見、臨床試験のデザインなどを支援。
大量の科学文献や臨床データを解析し、新たな創薬の可能性を探求。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの治療薬開発に注力。
Insilico Medicine (ドイツ):
AIと深層学習を活用し、創薬ターゲットの探索、リード化合物の設計、臨床試験のデザインなどを支援。
独自のAIプラットフォーム「PandaOmics」を開発し、創薬プロセス全体を効率化。
特発性肺線維症などの治療薬開発に注力。
Recursion Pharmaceuticals (アメリカ、ヨーロッパにも拠点あり):
AIと自動化ロボット技術を駆使した創薬プラットフォームを開発。
細胞画像解析と機械学習を組み合わせ、疾患の表現型を理解し、新薬候補を探索。
希少疾患や複雑な疾患の治療薬開発に注力。
Healx (イギリス):
AIとデータ分析を活用し、既存薬の新たな適応症を発見する創薬アプローチを推進。
希少疾患やアンメットメディカルニーズの高い疾患に焦点を当て、既存薬の有効性を再評価。
AIプラットフォーム「Healnet」を活用し、薬剤と疾患の関係性を予測。
Compugen (イスラエル、ヨーロッパにも拠点あり):
計算生物学と免疫学の専門知識を組み合わせ、新規創薬ターゲットを発見。
独自の予測アルゴリズムと実験的検証を組み合わせ、革新的な免疫療法の開発を目指す。
がん免疫療法や自己免疫疾患の治療薬開発に注力。
ビジネスモデル的に進んでいる企業
IQVIA (アイルランド):
世界最大級のCRO(医薬品開発業務受託機関)。
創薬、臨床開発、市販後調査など、医薬品開発の全プロセスを支援するサービスを提供。
データ分析やコンサルティングサービスにも強みを持ち、製薬企業の戦略策定をサポート。
Lonza (スイス):
医薬品開発・製造受託機関(CDMO)として、バイオ医薬品の開発・製造を支援。
細胞培養、遺伝子治療、ワクチン製造など、幅広い技術とノウハウを保有。
製薬企業やバイオテクノロジー企業との戦略的パートナーシップを構築し、長期的な成長を目指す。
WuXi AppTec (アイルランド):
中国に本社を置くCRO/CDMO。
創薬、臨床開発、バイオ医薬品製造など、幅広いサービスを提供。
ヨーロッパにも拠点を持ち、グローバルな事業展開を推進。
Charles River Laboratories (アメリカ、ヨーロッパにも拠点あり):
世界最大級のCRO。
創薬、前臨床試験、臨床試験、安全性試験など、医薬品開発の全プロセスを支援するサービスを提供。
バイオ医薬品開発や遺伝子治療などの分野にも強みを持つ。
Catalent (アメリカ、ヨーロッパにも拠点あり):
医薬品開発・製造受託機関(CDMO)として、製剤開発、臨床試験用製剤製造、市販薬製造などを支援。
特殊製剤技術やバイオ医薬品製造技術に強みを持つ。
製薬企業との戦略的パートナーシップを構築し、グローバルな事業展開を推進。
Sygnature Discovery (イギリス):
創薬化学に特化したCRO。
ターゲット探索、リード化合物最適化、医薬品候補化合物の合成など、創薬化学の専門知識と技術を提供。
製薬企業やバイオテクノロジー企業との柔軟な連携体制を構築。