忘備録 半導体製造装置市場で売れている製品とは

現在、半導体製造装置市場では、オランダのASML社が製造するEUV(極端紫外線)露光装置が特に注目されています。ASMLはEUV露光装置の唯一の供給者であり、その技術は最先端の半導体チップの製造に不可欠です。2023年、ASMLの売上高は前年比30%増の276億ユーロ(約3兆7,000億円)に達しました。 

EUV露光装置の売上高は約91億ユーロ(約1兆2,000億円)で、前年から30%増加しています。また、2024年第3四半期(7~9月期)の売上高は前四半期比19.6%増の74億6,700万ユーロ(約1兆円)を記録しました。 

ASMLのEUV露光装置は、1台あたり約2億ドル(約220億円)と高価ですが、その需要は増加傾向にあります。特に、AI(人工知能)関連のチップ需要の増加が、ASMLの成長を後押ししています。 

一方、半導体製造装置全体の市場シェアを見ると、アメリカのアプライドマテリアルズ(Applied Materials)がトップで、エッチングやCVD(化学気相成長)装置などを提供しています。次いで、ASML(オランダ)、ラムリサーチ(Lam Research、アメリカ)、東京エレクトロン(日本)と続きます。 

これらのデータから、オランダのEUV露光装置やアメリカのエッチング・CVD装置、日本の各種半導体製造装置が、現在世界的に高い需要を持つ製品であることがわかります。

さらに、半導体製造装置市場全体の動向を見てみましょう。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の発表によれば、2024年の世界半導体製造装置(新品)市場は、前年比3.4%増の1,090億ドル(約14兆9,000億円)に達し、過去最高を記録する見通しです。 この成長は、中国の設備投資の継続や、AIコンピューティング向けのDRAMおよびHBM(高帯域幅メモリ)への投資が主な要因とされています。

また、2024年第3四半期(7~9月)の世界半導体製造装置販売額は、前年同期比19%増の304億ドル(約4兆1,600億円)となり、引き続き市場の拡大が見られます。 このような市場の成長は、AIや高性能コンピューティング(HPC)向けの半導体需要の増加が背景にあります。

地域別の市場シェアを見ると、アジア太平洋地域が半導体製造装置市場で最大のシェアを占めており、特に中国や台湾、韓国などが主要な市場となっています。 これらの地域では、先端ロジックやメモリチップの製造能力を強化するための投資が活発に行われています。

日本の半導体製造装置メーカーも引き続き重要な役割を果たしています。東京エレクトロンは、売上高で国内トップ、世界でも4位に位置する企業であり、エッチング装置や成膜装置など、多様な製品を提供しています。 また、ニコンやキヤノンなどの日本企業も、露光装置の分野で存在感を示しています。

これらのデータから、半導体製造装置市場は引き続き成長を続けており、特にAIやHPC向けの需要が市場拡大の主要なドライバーとなっています。各国・地域のメーカーがそれぞれの強みを活かし、競争力を高めています。


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