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傀儡人形相克エレジー9

これはビーストバインドトリニティのリプレイ小説です。GM夏風が、あらかじめ提出されたキャラクターシートを元に作ったシナリオのため、再演は無いのでネタバレを気にせずに読んでいただけます。

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ドッペルゲンガー
「モルス、この人形たちはキミをモデルに造られたみたいだね。自分と同じ顔をしたモノと向き合う気分はどうだい?」

モルス
(……迷う。それは俺、人間の特権だと皆が言ってくれる。けど……迷ったままでいいの? 俺はなんだ? モルス・アルカディア。……んや、モルス・トリア・フェイムス。ずっと恐ろしくて、弱くて、醜くて、願っていたくせに煩わしいって思ってた。だから俺は俺の名前を呼んだこともねぇ。飢餓。俺は希望なんて存在じゃないから。でも、俺はこれの超え方を知っている。俺という人間はいつだって想いのまま走っていてぇんだ!! 俺は止まれない! そうだ、俺は希望なんて曖昧なもんじゃねぇ。俺自身が! 誰かの願いで! 俺の願いだ!!)

モルス
「俺の前には、助けなきゃいけないやつだけがいる! 行くぞ、影患い!」

モルス
「CODE:Optatio//Activate―」

量産型自動人形による機関銃の斉射からリンが麦を庇って立つ。
モルスは黙って銃弾の雨に晒されている。

ドッペルゲンガー
「僕の伝説は死にまつわるものだ。出会った者は死ぬ」

影患いは床に落ちる影に溶け込むと、次の瞬間にはモルスの背後に回っていた。
その不定形の体から発せられる呪素が毒のように侵蝕する。

リン
「毒か……この程度なら、まだ!」


「に!? 気持ち悪いにゃ~。吾輩怒ったにゃ!!」

解放されたモルスの力。
その一撃がリベレーターを撃つ。

ドッペルゲンガー
「痛い、痛いねモルス。生きているからこそ感じるのが痛みだ。そして、これが僕がキミから受けた痛みだ」

リン
「させないよ」

影患いが受けた衝撃をそのまま反射するが、リンが間に割って入る。

モルス
「わりぃ! リン、助かる!!」

リン
「礼はいいよ、それよりも今の一撃……まだ撃てる?」

モルス
「やってやる! 蘭の願いを潰させねぇ! 影患いはまだわかってねぇんだ! 蘭は今ようやく自分のために自分で立ちあがって生きようとしてるんだ! こいつが元々やりたかったことが叶おうとしてんのに! それをこいつ自身で打ち切らせたくねぇんだ!!」

リン
「……OK、なら奴の攻撃はボクがなんとかする。アルカディアはその拳を叩き込む事だけを考えて!」

ドッペルゲンガー
「誰も死からは逃れられない。そうだろうリン。キミも死を先延ばしにしてるだけで、どのみち近いうち確実に死ぬ」

周囲が影に飲まれる。
ここはすでに影患いのテリトリーだ。

リン
「……そうだね、誰も死からは逃れられないよ。だけど、やがてくる死に対し……足を止め、待っているわけにはいかない。ボクはまだ、ここに生きているのだから……!」

リンは自身の心臓であり、相棒である希望の星光を眼前の敵に向けて構える。

リン
(エスペル、この名は、ボクのもう一つの名であり……ボクの様な存在をこれ以上生まないという、願いを込めた存在だ)
「くらえ!」

放たれた銃弾は、星の光のようにキラキラと輝き、自動人形たち、そしてドミネーターを撃ち貫いていく。

ドッペルゲンガー
「僕はドッペルゲンガー。二重に歩む影、僕への攻撃はキミ自身への攻撃でもあ――この光は……返せないか、やるじゃないか」

リン
「ああ、これは紡いだ絆が放つ光だ。キミのように、堕ちた存在でも照らす……希望の光だ!」

モルス
「止まれないのか……? 影患い。ちゃんと、ちゃんと話し合えてれば……」

モルスはそう言いかけてから首を横に振る。

モルス
「俺たちが止まれなくしちゃったんだよな……ごめん。だから、俺たちがその力から助けるから! そしたら、また話し合わせてくれ! 蘭のことも、お前の願いのことも!! あそこにまた帰りたいから!! お前とも!!」

モルスの雷光をまとった一閃。

モルス
(必ず、叶えるのを手伝うから!)

ドッペルゲンガー
「まだだ、もっと力をくれ羽根!」

衝撃を受け止め、影が震える。

ドッペルゲンガー
「僕は影患い。僕はドッペルゲンガー。自分と同じ顔をした存在に出会った者は……死ぬ」

影患いの姿がモルスのものへと変わっていく。

ドッペルゲンガー
「あざみ、俺はお前だ」

モルス
「影患いっ、そんな事もできんのか!!」

自分とまったく同じ姿にモルスは思わず後ずさる。

リン
「うろたえちゃダメだ、アルカディア! 相手は都市伝説だ、その姿と力は変幻自在……あの姿はボクたちを倒すための手段に過ぎない! 迷った瞬間に殺られる、だから……!」

そう言いつつリンも震えていた。
あの姿がまた違っていたなら、自分も冷静でいられたかわからないのだから。

ドッペルゲンガー
「自分の力をその身に受けやがれ!」

リン
「……アルカディア! 避けろぉ!」

リンはそう叫び、麦の壁になるように立ち塞がる。
相棒に込められたエネルギーを最大出力で展開、エネルギーシールドを形成してその一撃を受けきった。

ドッペルゲンガー
「耐えるのかよ、邪魔だなリン」

リン
「耐えるさ……ボクの目の前で、これ以上誰も死なせない! それが……ボクが生きる理由だ!」

モルス
「避け……ろって! これ……うざってぇな、何回もなんか避けれねぇぞ!」

ドッペルゲンガー
「せっかくの人形がボロボロじゃねーか。羽根の力、試してみるか」

破壊したはずの自動人形たちが修復され立ち上がる。
死んだ者が蘇る世界の片鱗。

ドッペルゲンガー
「麦、お前が今の時代に来たのは未来を変えるためなんだろ? 俺を受け入れれば蘭の望みは叶うはずだろ? そのふたりを止めて俺に力を貸すのが、お前の役割なんじゃねーのか?」


「子分、何言ってるにゃ。吾輩のやることにゃんて吾輩がきめるにゃ。ニンゲンの願い事をかなえるのも、吾輩がそうしてやっていいと思ったからにゃ。それとも子分は自分がやりたいことも自分で決めれないにゃか?」

ドッペルゲンガー
「俺がやりたいことはただひとつ。約束を守ることだ!!」


「なら子分、好きにするといいにゃ。吾輩も好きにするにゃ!」


「ニンゲン! さっきからにゃに言ってるか知らにゃいけど、ニンゲンも子分も全然同じにゃんかじゃないにゃ! 吾輩の鼻も、耳も、眼も誤魔化せてないにゃ! ニンゲンが一番わかってるにゃ! もたもたしてる暇にゃんてないにゃ!」

麦はモルスに声をかけながらドッペルゲンガーに飛びかかり、その顔を覆って爪を立てる。
何の痛痒も与えないだろうそれだが、わずかな時間を作るだろう。

ドッペルゲンガー
「チッ!!」

モルス
「………だよな。俺は、俺のことを大好きな姉妹のことが大好きな、とんでもおバカだもんな!! サンキュー麦。励まされたっ!!!」

モルス
「俺は俺が好きだから俺の好きな人も全部助ける!! 難しいことはリンや蘭、お姉ちゃんたちに任せたっ!!」

青い光がほとばしり、モルスの体が稲妻のように影患いへと迫る。

ドッペルゲンガー
「チクショウ、これも返せねぇ! 羽根! もっと俺に力を寄越せ! もっとだ!」

ドッペルゲンガー
「こんなはずじゃあ……こんなことならもっと早くに羽根を使っておくんだった……! 誰でもいい、今からでも僕に手を貸すんだ……!」

モルス
「わかんねぇかな。自分のネガイはさ。誰かに叶えてもらうもんじゃねぇんだ。だから……そのセリフはっ!! お前が叶えてやりたい誰かの気持ちをしっかり思い出してからもう一度吐きやがれ!!! 片想いじゃ届かねぇってしっかり思い出させてやっから覚悟しろ!! 影患い! お前の叶えたい約束はっ!!本来そんな一方通行なもんじゃなかったはずだっ!!」

ドッペルゲンガー
「死んでいく者に救いを、安らかに眠らせてあげたいだけだったのに! 羽根よ、もっと力を! お前の力で救うんだ! 死んでしまった人たちを! 遺された人たちを!」

しかし、奇跡は起きない。


「世話の焼ける子分にゃ」

急速に力を失いゆく影患いに麦が引導を渡す。

ドッペルゲンガー
「未来を変える、か……僕はただ約束を……」

影患いの不定形の体から黒い羽根が、ふわりと離れて消え去り、体が徐々に溶けていく。


「吾輩言ったにゃ。そばにいればいいにゃ。ニンゲンが座ってるにゃら膝は吾輩のものにゃし、寝てるにゃらお腹の上は吾輩のものにゃ。ひとりにしたくにゃいにゃら、いやって言われてもそばにいてやっていいにゃよ」

絆の力により影患いは死の淵から救い出された。

影患い
「僕は……僕は、約束を守りたい……!」

翔の姿をした影患いは、そう言って気を失った。


「にゃ! じゃあ守りに行くにゃ!」

リン・フレット
「……これで一件落着、かな?」

―――――――――――――――――――

戦いは終わった。
気絶した影患いを背負い、モルティスシリーズのパーツを手に半魔たちは研究所から脱出しようとする。

リン
「んしょ、小柄だけど結構重いね……」


「に、よく寝てるにゃ!」

モルス
「……お姉ちゃん」

研究室を出て外へと向かうと、先程と同じ場所にウーナが倒れている。
休止中とはわかっていても、まるで死んでいるように見える。

リン
「……アルカディア、彼女のことは頼んでいいかな? 大事な姉妹なんでしょ?」

モルス
「言われねーでも譲る気なんかねぇよ」

モルスはウーナの髪を撫でてから柔らかく声をかける。

モルス
「終わったよ……帰ろう」

パーツを背負い直し、ウーナを両手で抱き上げた。

そこへ突如、暗い通路の中に女性の声が響き渡る。

女の声
「お前たちか、私の人形(ペトルーシュカ)に入れ知恵をしてゲームを台無しにしたのは」

リン・フレット
「……ようやく出てきたか。まあ、ありきたりだけど言っておこうか……誰かな?」

女の声
「白々しいことを聞くものだ。ペトルーシュカと契約した悪魔とだけ言っておこう」

リン
「……そっか、大公殿から話は聞いてたけど、まさかこうして声を掛けてくれるとは思ってなかったよ、グレモリー・ガエネロン。光栄です、とでも言っておけばいいかな?」

モルス
「あー? グレモリー……なんとか、一体なんの用なんだよ」


「にゃ? アクマ? よくわかんにゃいけど猫の前でゲームするにゃら邪魔されるのは必然にゃ! 知らにゃいにゃ? 次からちゃんと覚えておくといいにゃよ!」

女の声
「どこから迷い込んだ猫なのやら、番狂わせとはこのことだ」


「にゃ! 吾輩お願い叶えに来たにゃ! 吾輩、賢くてつおくてかっこいい猫又だからにゃ!」

リン
「とはいえ、こうして話が聞けるのならちょうどいい。蘭の両親の魂は貴女が持っているんだよね?」

モルス
「そういやそうだ!! てんめぇ! こっすい契約しやがって!!」

女の声
「人形劇は終わりだ。あれの家族の魂などもはやなんの価値も無い。とっくに解放している。とはいえ、ペトルーシュカとの契約は続行する。賭けは無効になったが、死者を蘇らせたいというエゴを持つあれが……今後どうなるかを見届けるのは私の個人的な楽しみでね」

リン・フレット
「……そうかい。まったく、デーモン共の趣味はわからないよ。他人の痛みを、苦しみを嗤い、愉悦する……そんな趣味は理解したくないね」

モルス
「はんっ!! お生憎様、蘭をどうとも悪いことに転ばせてやるつもりはねぇよ!! 俺たち家族がいるんだからな!」

女の声
「モルスと言ったな、人形」

モルス
「アルカディアだっつーの。……んで、なんだよ」

女の声
「お前はメフィストフェレスとの契約で今後戦い続けることになる。奴への意趣返しにその契約を台無しにしてやれるが、どうだ? 私と契約を結ばないか?」

モルス
「じょーだん。これはさ、俺がお姉ちゃんたちと……蘭たちといたい明日のために背負ったものだ。俺がやりたいからやるって決めたことを反故にすることはできるかもしれないけど。そんなのカッコわりいじゃん?」

女の声
「つまらない答えだ。せいぜい家族ごっこを楽しむがいい」

気配は消え、通路は静まり返る。

リン・フレット
「……行ったか、肝が冷えたよ」


「にゃ? 帰ったにゃ? まあいいにゃ、ニンゲンは吾輩の子分にゃからにゃ! ヘンなけーやくなんていらんにゃ!」

モルス
「え? 何? アイツ俺と契約しに来たの? ドゥアエお姉ちゃんの遊び場なくなっちゃうじゃん、マジで」

悪魔の登場にヒヤリとする場面もあったが、半魔たちは無事に研究所を抜け経ヶ辻邸に帰還した。

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蘭は気を失った翔の姿をした影患いを抱きしめ、ごめんなさい、ありがとうと呟いた。

モルス
「……やっぱさ……家族ってこうだよな。影患い、翔が願ったこと思い出せるといいな。お前がいるだけで叶ってたんだよってさ」


「……影患い、ドッペルゲンガー。翔のために頑張ってくれていたのに、私は……」

リン
「……そこで自分自身を責めるのは違うと思うよ。大事なのはこれから、でしょ?」


「そうね……。ひとまずは、彼女たちを修理して……」

ドゥアエとウーナに視線を向ける。


「あなたを死なせないことを考えないとね」

リンをまっすぐ見つめた。


「にゃ、子分はさっきも一杯働いてたからにゃ! ニンゲンが治すなら安心にゃ!」

モルス
「そりゃさ、お姉ちゃん達とさっさと会話してぇけどよ……。蘭も翔が起きたら今度こそ構えよ? ……言いてぇこともいっぱいあるんだろうしよ。ま、俺たちみたいなのは自分のしたいことしかできねぇらしいから? 影患いが頑張りすぎたことは別に蘭がどーこーいうことじゃなくてさ。単に今度こそ話し合えばいいんじゃいいんじゃね? そゆとこに根詰め過ぎない程度にな?」


「ええ、話してみるわ」

蘭は翔の頭を撫で、微かに笑みを浮かべる。
モルスとリンは彼女の笑みを初めて目にしただろう。

モルス
「お、そんな顔できるようになったんだな……安心した」

蘭の笑顔を見て、モルスはとても嬉しそうに笑う。

リン
「……さて、となるとボクは一度帰ろうかな。体のことを頼むにしても大掛かりになるだろうし、身の回りの物ぐらいは持ってきたいしね」


「無駄に広い家だから、空き部屋はたくさんあるわ。帰ってくるのを待ってるわね、いってらっしゃい、リンさん」

リン
「ん、それじゃまた」


「に、吾輩、一番気持ちいい部屋ちゃんと知ってるからにゃ! ちゃんとナワバリにしてあるから安心して子分も住めるにゃ!」

モルス
「なんなら麦ぃ。その世話焼きが次、治療受けるまでにぶっ倒れないようについてってやれよ」

麦 : 「うに……。ニンゲンの家にちゅ~るはあるかにゃ? 吾輩のナワバリにしてやってもいいにゃ!」

リンの肩に飛び乗る麦だった。

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麦は結局、未来の蘭に何を頼まれたのか思い出せなかった。

しかし、彼女の家族の魂は悪魔から解放された。
また、弟のふりをしていた影患い、自分自身と向き合ったモルス、心魂機関のメンテが必要なリン、修理を受けたウーナとドゥアエ、多くの者と蘭は絆を結んだ。

きっと未来は変わるだろう。
サイボーグ姉妹を見つめる蘭の表情はとても穏やかだ。
そんな光景を離れて眺める麦に影患いがそっと近付く。


「麦さん、ありがとう。あなたのお陰で翔との約束を果たせたよ。蘭はもうひとりぼっちじゃない」


「にゃ! 吾輩親分だからにゃ! 子分の面倒を見るのはトーゼンにゃ! 子分もひとりぼっちじゃなくなったにゃ!」


「それだけど……経ヶ辻翔のドッペルゲンガーはもうじき死ぬ。そして僕は、また誰か死にゆく者の願いを叶えに行く。そういう怪異だからね」


「にゃ……子分は、そうしたいにゃ?」


「僕ら都市伝説は噂から生まれ、噂によって生き続ける存在だ。当然、噂がなくなれば消滅する。2年は長かった……そろそろまた噂を広めないと、本当に消えてしまう」


「そうにゃか、わかったにゃ。なら吾輩、止めにゃいにゃ。子分を信じてやるのも親分だからにゃ! それに子分はずっと吾輩の子分にゃ! にゃにかあったにゃら助けてやるからにゃ!」


「ありがとう、別の姿にはなるけど、会いに来るよ。麦さんにも、姉ちゃん……蘭にも。モルスやリンさんにも迷惑かけたしね」


「に! いつでも帰ってくるといいにゃ! ここは吾輩のナワバリだからにゃ。吾輩もちゃんと巡回するにゃ!」

こうして、未来から来た猫は運命を変えた。

リン、モルス、ウーナ、ドゥアエ……兵器とするために生かされた4人は自らの道を歩むだろう。
死を覆さなければという強迫観念から解放された蘭は、これで心安らかに麦と日向ぼっこを楽しめるようになるだろう。

子猫
「にゃー」

いつのまに入ってきたのか子猫が鳴きながら蘭に寄っていく。


「あら、麦さん、どうしたの……あ」


「あなた、今の時代の麦さんね。そうだ、私の黄色いリボンあげちゃおうかしら」

蘭が未来から来た麦を見る。


「タイムパラドックスは起きるのかしら?」

つられて子猫も麦を見る。
麦と子猫の目が合った。

自分と同じ顔をした存在に出会うと、ほどなくして死ぬというドッペルゲンガーの伝説。

伝説そのものが、すぐ傍らにいるが……過去の自分自身に出会ってしまった麦に何か影響は出るのだろうか?

影響があったとして……それは、また別の話。

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兵器として生かされた者たちがいる。
死を覆さんという妄念から解き放たれた者がいる。
約束を守らんと力を求めてしまった者がいる。

過去への扉を開いた猫が見届けたのは生の輝き。

ビーストバインド トリニティ
『傀儡人形相克エレジー』
終幕

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BBTのGM2回目のシナリオになります。今回は文体の統一などのためにやむを得ず手を加え、端折った部分もあります。

実は麦がタイムパラドックスで大変なことになる続編も考えていたのですが、リエルさんが続きのシナリオを書いてGMをしてくれました。私はウーナをPCとして参加、得難い経験をしました。

文字数が嵩んでいるので今回のあとがきは、この辺りで筆を置きます。
第3弾の『星鎧騎装エルダーヘクス』をお楽しみに!

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