何かが、違う
週末夕方5時、近所のセブンイレブンに買い忘れた牛乳を買いに立ち寄った。レジに並ぶと、目の前には惣菜やお菓子をかごいっぱい入れたお母さんが、5歳ほどの男の子の手を引いて立っていた。
店員がお菓子やジュースをレジ袋に詰め込んでいる間、男の子はレジ前に設置されている、小さな棚のような荷物受けを、平手でバンバンと叩き続けている。
力一杯叩くので、大きな音が鳴り響いている。
うるさいなあ、と思うのだけれど、お母さんは支払いにかかりきりで、男の子のバンバンが執拗に鳴り響く。
棚、壊れないかなあ。
と思ったところで、やっとお母さんが男の子に声をかけた。
「やめて」
思いがけず、優しい声だった。でも男の子は叩くのをやめない。
バンバンバン
「○くん、やめて。汚い。手が汚れるから!」
男の子の手が止まった。
お母さんは優しい笑顔で男の子の頭を撫でた。
「ありがとう。
やめてくれたのね。えらいね」
それから2人は手をつないで、隣にあるタワーマンションのエントランスに消えていった。
いや、ただそれだけのお話なんだけど。
何かが、違うんだよ。
え?
何かが違わないの?
と思う私がぽつんと取り残されて
なんかなー、もうついていけないなー、今の子育ては大変だ。
と思ったんだった。
そういえば、以前散歩中の子どもが縁石のたんぽぽを摘もうとしゃがみこんで、「お母さん! きれい、たんぽぽのお花!」と言ったら
「触るな! 汚い!」
と叱られて手を引っ込めている風景に出会したこともある。
何かが、違う。
でもその違う何かが、誰かを苦しくしているような気もする。
かあちゃんがんばれ。
子供、がんばれ。
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