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「アソーカ」の第1話を解説

現在ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」スピンオフドラマシリーズ「アソーカ」の第1話だけを解説します。

あらすじ紹介など物語の展開や設定に関して若干のネタバレを含みますが、結末などは省略しています。また、この作品の前日譚となる「反乱者たち」というアニメ作品のあらすじも紹介しています。これから観る予定の方はご注意ください。ネタバレを一切回避したいという方はぜひドラマ・アニメの視聴後に読んで頂けたら幸いです。

この第1話を読み解くとドラマシリーズ全体の理解が捗ります。

マニアックな細かいネタを拾い上げるとキリが無いのでなるべく「この作品で初めて「スター・ウォーズ」作品を観た/観るという人に向けて」という体で解説したいと思います。

「アソーカ」視聴にあたっての基本情報についてはこちらの記事もあわせて参考下さい。

主な登場人物一覧。
ほとんどが既存作品からのキャラクターです。

第1話直前の出来事

映画「エピソード6 ジェダイの帰還」で銀河帝国が崩壊し9年が経過した世界です。帝国を倒した反乱同盟が中心となり新政府を設立。『世界の再建が進むなか、いまだ帝国軍の残党が銀河の外縁部で活動をしている』という状況です。

なお米SFX誌のサビーヌ役ナターシャ・リュー・ボルディッツォのインタビューでは「マンダロリアン」シーズン3と同時期だそう。

「エピソード4 新たなる希望」直前の「反乱者たち」からは約10年あまりが経過。
「エピソード7 フォースの覚醒」は25年後。

第1話直前、主人公のアソーカは「エピソード4 新たなる希望」の直前に行方不明となった帝国軍の知将スローン大提督復活の噂を知り、情報を得るため惑星コルヴァスで残党の1人モーガン・エルズベスを捕らえます。

スローン大提督は実質的なこの作品の前日譚となるアニメシリーズ「反乱者たち」の後半の敵キャラクターです。彼が帝国軍に健在だったら反乱同盟の勝利は危うかったかもしれません。

スローンとの戦いにおいて英雄的活躍をしたのがアソーカやサビーヌ達の仲間の1人エズラ(アニメシリーズ「反乱者たち」の主人公)です。彼もまたスローンとともに行方不明のままです。

私の解釈です。字幕翻訳とは一部表現が異なります。


第1話のあらすじ

導入部

第1話で描かれたのはエルズベスから得た情報を元に復活が噂されるスローンの居場所を示す地図の入手と、その解読に旧い仲間であり弟子のサビーヌを頼るというものでした。まずは導入部です。

輸送船にライトセーバーを使う二人組が現れエルズベスを救出。エルズベスの言葉から彼らは金で雇われており、宇宙を司るエネルギー「フォース」の暗黒面ダークサイドを信奉する「ダース・某」を名乗る「シスの暗黒卿」とは異なる存在らしい事が示唆されます。彼らの正体が何者で、なぜ帝国軍残党に力を貸しているのかもまだ不明です。

一方、アソーカは古代遺跡で「地図」を発見し持ち帰ります。


前半部

アソーカとドロイドのヒュイヤン(ジェダイのライトセーバー技師)は約30年来の関係、ヘラやサビーヌは約10〜15年前の反乱活動以来の関係です。

アソーカは「ジェダイ騎士団は滅んだ」と口にしながらも戦争の脅威が迫る銀河の平和を護ろうと旧ジェダイ的な生き方を続けています。エルズベスの口を割らせるため「ジェダイの規約プロトコルに従わなかった」と言いますが、それもまたマスターアナキン流のやり方です。

かつての快活さと柔軟さや情動的な面は影を薄め、戦後世界でもなお戦いの場に身を置き、染みついた古い慣習に頼りながら「フルクラム(支柱という意味)」のコードネームで自警組織的な活動をしているというのが今のアソーカです。

そんな彼女が(ジェダイの素質が無いはずの)サビーヌを弟子に取り、ジェダイの教えを伝え育てようとしていた事、しかしサビーヌがアソーカの元を去って長らく二人は仲違いした状態にあった事が明らかに。


後半部

Eウイングは90年代初期のコミックから。
搭載のドロイドも超マニアックな要素が。

アソーカが地図を発見した遺跡の主はエルズベスの遠い祖先です。
エルズベスは「ナイトシスターの生き残り」と表明しますがこのナイトシスターとは惑星ダソミアを母星とするフォースを駆使する魔女たちのことで、約30年前の大戦期に根絶やしにされたはずでした。

なぜエルズベスが帝国軍人として活動してきたのか?その事情と目的もまだ不明です。


アニメシリーズ「反乱者たち」ではヘラやサビーヌたちは惑星ロザルを支配する帝国軍を撃退しました。約10年前の出来事です。「ロザル解放戦」で反乱者たちは勝利しますが、一方でヘラやサビーヌたちは犠牲を払いました。
サビーヌの大事な仲間であるエズラの活躍は勝利をもたらしましたが、しかし彼はスローンと共に行方不明になったまま。

式典でロザルの総督に英雄として紹介されたサビーヌが抜けだした理由はそこにあります。サビーヌが戻った住処はかつてのエズラのものです。サビーヌの姿からは彼女が今もエズラへの思いを募らせる様子が見て取れます。


ドラマシリーズ前半はアソーカとサビーヌの二人の関係性・すれ違いがポイントになっています。


他作品との関わり

ここからは他の作品も観ている方向けです。

師と弟子

本作の製作・監督・脚本を務めるデイブ・フィローニが脚本で参加した「マンダロリアン」と「ボバ・フェット」のエピソードでは全て「師弟の在り方」が描かれてきました。
また「反乱者たち」におけるケイナンとサビーヌの訓練エピソードも彼が脚本を手掛けています。

ケイナン(とヘラ)はいかにしてサビーヌを成長に導いたか。
ルークはなぜグローグーとの関係を築けず、続3部作の失敗に至ったか。

それらの作品に加え「クローン・ウォーズ」のアナキンとアソーカの関係性と本作のアソーカとサビーヌの師弟関係における師の在り方(理解・信頼・言葉)を見比べると、フィローニ監督なりの弟子を導く正しい育て方が見えて来ます。子育てにも通じる事だなと思いますので、子育て中の親御さんはぜひそのあたりに注目して観てみて下さい。


モチーフの反復

第1話における「ローブの二人組が着艦したシャトルから登場」「背後の脅威から全速力で逃げる」という画で思わず「エピソード1 ファントム・メナス」を想起したのですが、この読みは当たっているのではないかと思います。

ドラマの各パート(章)は対応する映画(サーガ)作品に展開や演出が取り入れられていますのでぜひ映画作品も鑑賞の上でドラマを観てみると面白いかと思います。

「パート1」(=「エピソード1 ファントム・メナス」)は特に顕著。
細かすぎて伝わらないネタが沢山。

この手法はドラマ「オビ=ワン・ケノービ」でも取り入れられていました。ただしそちらは元は映画企画だったものをドラマシリーズとして分割する手段だったのではないかと考えられます。

対して本作では原作者ジョージ・ルーカスの弟子的存在であるデイブ・フィローニ監督が師を模倣し学んだ成果を示すような緻密な計画性が感じられ、毎回どのように重ねてくるのか、7話以降はどう描かれるのかは個人的に大きな見所でもあります。

最新の5話でも遭難者の捜索やヴィジョンでベイダーと対峙、ウォーカー進軍、巨大宇宙生物の口の中、雲海、一部の台詞、さらわれた仲間を探すため旅立ち・・・など「エピソード5 帝国の逆襲」と共通の要素が多く見られました。




なるべく初心者向けに解りやすい解説を目指しましたが、アニメシリーズ「反乱者たち」の実質的な続編としての側面が強く設定も込み入っているので正直なかなか難しかったです。

「アソーカ」視聴後でも、もし興味を持っていただけたら「反乱者たち」だけでも見ていただけるとこの作品を更に深く楽しめると思います。