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スター・ウォーズの70〜80年代を振り返る

スター・ウォーズの歴史を振り返るシリーズ第4弾です。
ジョージ・ルーカスの映画人生と合わせて1970年から1989年までのスター・ウォーズの歴史を辿ってみました。
Wikipediaや諸考察サイト、解説本などで紹介されているような出来事やタイムラインのスピンオフ作品のうち新聞漫画や絵本・設定本などは一部省略しています。基本的に私の記憶と手元の資料/書籍、ネットの一次〜二次情報をまとめたものなので正確性は保証できかねます。トップ画像はILM見学した時の写真からです。

失敗に終わったデビュー作「THX1138」と一転大ヒットした「アメリカン・グラフィティ」を経て、ルーカスは幼少期に親しんだ冒険活劇やパルプマガジン的な架空世界の創造に挑みます。当時アラサーだったルーカスは大学で学んだ神話学や比較宗教学、トールキンの指輪物語やフランク・ハーバートのデューン、過去の名作映画、黒澤明作品といった自身に影響を与えた要素を「スター・ウォーズ」に集約。

1973年から1976年にかけて試行錯誤された草稿における様々な要素は分裂と合体を繰り返して然るべき形へと徐々に変化していきます。

初期構想は壮大なものでした。映像化の難度が高かったため、ストーリーの面白くて現実的に製作可能な部分を削り出し、整えていった結果が(後にエピソード4とされる)映画にまとめられた内容です。

サン・アンセルモのパレードに登場したボバの様子は
「ボバ・フェットの伝説 アーマーに隠された素顔」をチェック

第1作がヒットすると、すぐに続編の製作が始動します。映画界は80年代のハリウッド映画黄金期に突入。ILMはスター・ウォーズに限らず様々な作品の特殊効果も手掛けて見た事がない映像を次々生み出します。

ルーカスは主要キャラクターの心の成長が描かれる続編の監督を、大学時代の恩師アーヴィン・カーシュナーに託します。ゴー・モーションなど新しい技術が導入されたりマペットに重要キャラクターを担わせるといった挑戦も。

玩具向けに独自の設定も(勝手に)作られた
画像中央の輸送車は後々逆輸入的にアニメやドラマに登場

フィギュアやグッズは爆発的に売れますが、映画にまつわる版権をフォックスとの契約で譲り受けていたため、以降長きに渡って莫大な収益を得ます。

スピンオフは主に新聞漫画という形で展開し、1984年頃までたくさんのエピソードが製作されました。小説では「侵略の惑星」とハン・ソロ三部作、ランド・カルリジアン三部作が展開します。「侵略の惑星」以外は未翻訳でしたから私はこうしたスピンオフがあることを昔はまったく知りませんでした。(スターログなどの専門誌では紹介されていたのかもしれませんが・・・)

ソロの半生や「ウーキーの命の借り」などの設定はこのシリーズでも掘り下げている
近年「ラビリンス」は新作が、「ウィロー」はドラマシリーズ化が決定

「ジェダイの帰還」以降は状況が大きく変わります。
「スター・ウォーズ」は子供向け路線が強まります。近年になってルーカスは「「スター・ウォーズ」は12歳向けの映画だったんだと思う」というコメントもしていますが、1981年以降には3人の養子を迎えており、その変化も大きかったのではないでしょうか。私も子供が出来てからは色々と物の見方が変わりました。

「ジェダイの帰還」自体も「帝国の逆襲」と打って変わって子供受けを意識した演出が多くなり、ソロを捕まえた悪役であるところのボバに惨めな最期を与えたのもそうした背景があっての事ではないかと勘ぐってしまいます。

私は子供だったので楽しみましたが・・
いずれもディズニープラスで配信中

ルーカスは「スター・ウォーズ」以外の「インディ・ジョーンズ」シリーズなどのプロデュース業がメインとなります。一方で「キャプテンEO」と「スターツアーズ」を機にディズニーとの距離も近づきます。ディズニープラスで配信中の『ディズニーパークの裏側』の「スターツアーズ」回では経緯の一部が確認できます。

ルーカスの心情変化については自伝などによれば自身が「クリエイターではなくビジネスマンになった」と語っていたり、1983年の離婚も影響が大きかったのかもしれません。慰謝料捻出のためと言われていますがILMのCGアニメ部門は1986年にスティーブ・ジョブズに売却され、ピクサーとして独立します。

昨今の作品でもこのシリーズ由来の設定は多い

拠り所を失ったコアなファンが求めた拡張世界はウェストエンドゲームズ社のテーブルトークRPGにあったようです。1987年から1998年まで、継続的に関連物やエクスパンションのリリースを行っています。また、80年代後半にはティモシー・ザーンがスローン三部作の執筆を開始しており、ルーカスの手を離れたところで「スター・ウォーズ」はファンが望む形へ独自に進化していきます。

これら新聞漫画を始めとする二次作品については原作者のルーカスはほぼ関与していなかったと推測します。スピンオフの設定に不満を言ったり「ホリディ・スペシャル」がテレビ局に丸投げだったことも明らかになっていますが、そうしたスタンスからも基本的に資金源程度の認識にとどまっていたのではないかと思います。

A Guide to the Star Wars Universe 2nd Edition (1994)の翻訳版

実際にリファレンス本「スター・ウォーズ・ユニバース」では、それまでのスピンオフ作品の設定ほぼ全てについて「公式なライセンスのもとに製作されたものから取ったもので(中略)ビジョンは必ずしもジョージルーカスのものとは一致しない」と明記されています。

しかしながら、その作り手と受け手の認識の違いが後の続編製作におけるファンとの軋轢にも繋がっていきます。アナキンが5歳の時にはクローン戦争が終結、3POの誕生は100年以上前、そうしたスピンオフで語られた設定をガラッと変更したりして新三部作の時はファンが反発しました。設定に引っ張られて内容がつまらなくなっては意味が無いのですが、その反省はファン出身のデイブ・フィローニが監督するアニメ作品や昨今のドラマシリーズに活かされます。続三部作製作の折も同じような事は繰り返されますが、その問題はまた別のお話・・・。


90年代に入るとCG技術が著しく発展し、映像革命が起こります。テレビゲームの普及率も高まり娯楽文化も大きく変化。ルーカスが積極的に関与したスピンオフ・プロジェクト「帝国の影」を皮切りに、旧三部作特別篇と新三部作に結実する新時代に突入してゆきます。

ギャラクティックスタークルーザー ホテルは今年3月開業予定

ちなみにこの記事を書いた直近1年はこんな感じでした。
今後も注目の映像作品がたくさん控えています。

これまでの歴史記事をまとめたPDFはこちら。

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