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「マンダロリアン」シーズン3の見所紹介

ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ作品「マンダロリアン」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介していきます。

基本的に視聴済みの「スター・ウォーズ」初心者の方に向けた解説記事です。各エピソードのあらすじについてはなるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。


ダークセーバー

シーズン1のラストでディン・ジャリンが入手した「ダークセーバー」がシーズン3のキーアイテムとなります。初登場はアニメ「クローン・ウォーズ」でした。元々はセーバーを創ったター・ヴィズラの子孫プレ・ヴィズラが所有していましたが、紆余曲折の末に復活したモールの手に渡ります。

その後「反乱者たち」でボ=カターンに渡ったはずのダークセーバーがなぜギデオンの手にあったのかがシーズン3のポイントとなります。

クローン戦争以後、帝国占領下のマンダロアは帝国に忠誠を誓うサクソン氏族が支配。
ダークセーバーがボ=カターンの手に渡り、抵抗運動が活発化するが・・・。

第17話

ハイパースペースで現れた謎の影はおそらくパーギル。
ほかシーズン3は全編に渡って「反乱者たち」に関わる要素が多い。

実質的なシーズン2.5となったドラマ「ボバ・フェット」での出来事を経てディン・ジャリンはグローグーと再会し新たな船を入手しています。映画「エピソード1 ファントム・メナス」劇中アナキンとR2-D2がこの元となる機体「N-1 スターファイター」で活躍しました。時系列的には40年近く前のお話ですが、ドラマの約5年前を描くゲーム「バトルフロント2」でも帝国軍との戦いにおいて現役でした。

マーキングが異なるのでアナキンが乗った機体と同一ではありません

ディン・ジャリンとグローグーはマンダロリアンたちの新たな彼らの隠れ家へ。

人前でヘルメットを脱ぎ背教者となったディン・ジャリンは鉱山の泉に浸かる「赦しの禊ぎ」を実践するため帝国の攻撃により汚染されたマンダロアへ向かいます。個人的にディン・ジャリンはグローグーのため彼らの組織を離脱するのかと思い込んでいたのでこの展開に少々驚きました。しかしエピソードを追う毎に制作者たちが描こうとしている「スター・ウォーズ」らしいその理由が明確になっていきます。

第17話にはマンダロリアンたちが置かれている状況とマンダロアに対する想い、辺境と中央政府の在り方や、恐怖によってではありましたが帝国によって保たれていた秩序が崩壊しつつある状況などシーズン3全編に関わる伏線が詰まっています。


第18話〜第20話

第18話では実写作品に惑星マンダロアが初登場。「クローン・ウォーズ」で描かれた美しいサンダーリの景観は破壊されて見る影もありません。

ディンがグローグーにマンダロリアンとしての生き方を教え、グローグーがディンをジェダイの技で助けます。ジェダイとマンダロリアンはかつては相容れない存在同士でした。2人の姿は新時代到来を象徴します。

ボ=カターンが目撃したものはマンダロリアンにとっての鳳凰や麒麟のような伝説上の存在(スター・ウォーズ自体がファンタジーなのでややこしいですが・・・)であり、後半の展開で重要な伏線となります。

続く第19話では一転、コアワールドのコルサントが舞台に。

帝国崩壊により中央政府は新共和国となりますが、銀河社会は混迷の只中であり旧共和国の時代から依然として中央政府の外縁部アウターリムへの関心は希薄なままです。意志決定の遅さなど民主制の欠点も相変わらず。これまでも新3部作プリクエル・トリロジーや「クローン・ウォーズ」、「キャシアン・アンドー」といった作品で都会的で華やかなコルサントが登場しましたが、本作においても外縁部との格差と断絶が強調気味に描かれています。

また恩赦アムネスティープログラムによって帝国の逮捕者から優秀な人材がスカウトされ再雇用されますが、パーシング博士の視点からは新共和国が反人間的な社会のように描かれます。

やがてアニメ「レジスタンス」や映画「エピソード7 フォースの覚醒」における新共和国(銀河規模の国家体)消滅とファースト・オーダー台頭に繋がる歪みを示唆する重要なエピソードとなっています。

パーシングの台詞では初期は拒絶反応により成形が上手く行かなかったらしい。
なおファースト・オーダーのスノークはストランド・キャスト。
クローンのように胚からではなく成長した状態で生成されると考えられる。

そして第20話で再び舞台はマンダロリアンの隠れ家のある惑星へ。
グローグーの回想では彼が誰によってジェダイ寺院から救い出されたのかが明らかになります。ジェダイマスターのカレラン・ベクはアーメド・ベストが2020年の子供向け番組「ジェダイ・テンプル・チャレンジ」で演じたキャラクターです。彼が何者であるかはこちらの記事をぜひ参考下さい。登場のシーンでは思わず声がでました。素晴らしい人選だと感じました。

怪鳥ラプターは個人的な臆測ですが「エンドア/魔空の妖精」からの引用と考えます。ラグナーに与えられたヘルメットが玩具のデザインを踏襲していたりと本エピソードは子供向けコンテンツとのクロスオーバーが散見されましたが、40周年を迎える「ジェダイの帰還」の同様の側面へのオマージュなのではないかと感じさせられました。


第21話〜第22話

アデルフィ基地のシーンではドラマ作品の監督やクリエイターが多数カメオ出演。
サプライズとして「反乱者たち」から銀河内戦を生き抜いたゼブが登場。

第21話、舞台は再びネヴァロへ。シーズン最初のエピソードにおける因縁によってゴリアン・シャードの攻撃を受けたカルガはテヴァに救援を求めます。

帝国が保ってきた秩序が崩壊して銀河の外縁部では海賊行為や犯罪行為が再び幅を利かせます。この状況は「レジスタンス」の時代まで解決される事無く、やがて「ファースト・オーダー」に利用されることになります。

ジェダイ騎士団が消えた世界でテヴァが頼ったのはマンダロリアンでした。

同様にマンダロリアンの銀河におけるあるべき姿を第22話では別の形で象徴的に描いています。
プラジール15ではボ=カターンの仲間だったアックスたち率いるマンダロリアン艦隊が防衛軍として雇われていました。
平和主義の星を治めるのは占拠で選ばれた女公爵(見た目はともかく様々な点でボ=カターンの姉サティーンを想起させる要素が多い)とその配偶者であり元帝国軍の技術士官だったボンバルディエです。都市では再プログラミングされたバトルドロイドが労働力として奉仕しており、ボンバルディエの技術も含めて支配や争いのために用いられていた「力」はここでは人々の生活を支えるために利用されています。

一見、理想的な社会が構築されているかのように見えますが都市では問題が発生しており、女公爵とボンバルディエは解決のため惑星を訪れた二人のマンダロリアンの力を頼ります。

全ての市民が平等に代替の労働力を与えられているわけでもなさそう。
ボンバルディエがもたらした社会はユートピアかディストピアか。

ヘルゲイト長官がなぜあのような犯行に及んだのかについては劇中で語られる彼の半生と惑星の歴史から読み解けます。帝国の搾取で荒廃したプラジール15は新共和国に遣わされたボンバルディエの手で再建を果たし、やっと豊かで平和な時代を迎えます。しかしヘルゲイトは中央政府のせいでプラジール15が衰退させられたと考えており、指導者となった元帝国軍人のボンバルディエを積年の恨みも込めて貶めようとしました。

元々敵対者同士ながら二つの世界を知るボ=カターンを指導者として認めたアーマラーとの対比のようでもあり、私は個人的にチルドレン・オブ・ザ・ウォッチに対して先入観で怪しい連中と決めつけて見ていたことを反省。銀河は変革期にあり、共存はスター・ウォーズの重要なテーマでした。

余談ですが、逮捕されたヘルゲイトがボンバルディエに「卑怯者め!」と言われ「If that isn't the Quacta calling the Stifling slimy.(クアクタがスティフリングをヌルヌルと言う)」と返します。吹替・字幕ともに意訳されていますが「お互い様だろ」といった意味のSW世界の慣用句で「ボバ・フェット」でもキャド・ベインとボバの対話に登場。ほかにもスター・ウォーズ世界らしい言い回しがドラマや昨今の映画作品では登場しているのですが、省略されたり既存の現実の慣用句などに置き換えられてしまっているのが少々残念です。翻訳上の制限や世界同時配信のネガティブな部分ですね。

ディン・ジャリンの働くバトルドロイドへの当たりが強いのは、彼のトラウマ(故郷を侵攻され両親を殺された)もあってのことでしょう。


第23話〜第24話

会議メンバーにはスローン三部作のパレオン艦長や続3部作のハックス将軍の父ブレンドル・ハックスの姿も。スローン大提督の名前も挙げられた。

シーズン3クライマックスとなる2篇です。
移送中に姿を消したモフ・ギデオンが登場。帝国軍残党レムナントが水面下で着々と軍備を整えている様子が見て取れ、この動向は「アソーカ」やシーズン4を経てマンダロリアン・サーガの最終章となる映画作品に帰結すると考えられます。

一方ネヴァロではボ=カターン率いるマンダロリアン部隊がチルドレン・オブ・ザ・ウォッチに合流。宴が催されます。(宴で振る舞われた巨大な鳥の丸焼きは頭部の形状から第20話で連れ帰った怪鳥のヒナではなくシーズン1で野営を襲ったネヴァロ・レプタヴィアンです。)
そしてグローグーにはカルガからとっておきの贈り物が提供されます。

ボ=カターンはマンダロア調査のため艦隊をマンダロア軌道上へ移動、志願者による偵察隊を編成して地表に向かいます。
この第23話は原題「Spies」が複数形であるためマンダロリアンの中に裏切り者がいるのではという臆測を呼びましたが、こちらのかがりさんのツイートで紹介されているfusetterの内容が正しい解釈と思われます。

全編見所のマンダロリアンとギデオンとの最終決戦へと傾れ込みます。


「マンダロリアン」はまだ続く

シーズン3もこれまでのシーズン1、シーズン2同様に「ここで完結」という終わり方にできるフィナーレでした。しかし、ショーランナーのジョン・ファブローはすでにシーズン4の脚本が執筆済みであることをインタビューでコメントしています。

また、今年開催された「スター・ウォーズ セレブレーション ヨーロッパ2023」において公表された3つの映画企画のうち「マンダロリアン」製作総指揮のデイブ・フィローニによる1作が「マンダロリアン」「ボバ・フェット」そして「アソーカ」で描かれる物語を締めくくる作品となることが発表されています。

加えて時系列的なところは不明ですが「マンダロリアン」のジョン・ファブローとデイブ・フィローニが同じく製作総指揮を務める制作進行中のドラマ企画「スケルトン・クルー」も「マンダロリアン」とのクロスオーバーが期待できるかもしれません。

6月28日にはシーズン3のメイキングが公開されます。そちらも楽しみです。

「マンダロリアン」はまだまだ続きます!


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