「マンダロリアン」の第1話を解説
まもなくシーズン3が配信開始となる「スター・ウォーズ」スピンオフドラマシリーズ「マンダロリアン」の記念すべき第1話だけを解説します。
あらすじ紹介など物語の展開や設定に関して若干のネタバレを含みますが、結末などは省略しています。ネタバレを一切回避したいという方はぜひ視聴後に読んで頂けたら幸いです。
この第1話を読み解くとドラマシリーズ全体の理解が捗ります。
マニアックな細かいネタを拾い上げるとキリが無いので「スター・ウォーズ」にあまり興味&関心がない妻と一緒に見ていて彼女から質問された事項を中心に挙げていきたいと思います。
「マンダロリアン」とは
題名になっている「マンダロリアン」とは、「スター・ウォーズ」の銀河において惑星マンダロアを母星とする人々の事を言います。
特に『「T 字型バイザーのヘルメット」を装備する戦士』を指し、彼らはジェダイの騎士とも渡り合えるほどの技と力を持っています。
しかし彼らの故郷マンダロアはいまや銀河帝国に占領・攻撃され、『彼らの民族は広い銀河で散り散りになっている』というのがポイントになります。
「マンダロリアン」は故郷を奪われた者たちの物語と言えます。
マンダロアが帝国に奪われた経緯は既に完結しているアニメシリーズ「クローン・ウォーズ」で描かれていますが、アニメを視聴していなくてもドラマは楽しめるのでご心配なく。
第1話のあらすじ
主人公の呼び名「マンドー」は種族としてのマンダロリアンを揶揄するようなものでしかなく、この時点で主人公の本当の名前は不明です。
賞金稼ぎギルド
政府機関や特定組織、権力者などの要請(多くは懸賞金を掛けられた標的の捕縛、あるいは傭兵など)をこなして報酬を得る事を生業とするのが賞金稼ぎで、彼らに仕事の斡旋を行うのが賞金稼ぎギルドです。
帝国軍の残党
「マンダロリアン」で描かれる時代は、映画「スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還」の5年後です。
同作で皇帝が倒され反乱軍が勝利し、帝国軍は統制を失って崩壊。反乱同盟組織が中心となり新共和国を樹立したものの戦後の混乱期が続いているという状況です。そうした中で帝国の残党がいまだ地下で活動していたという事が本作で描かれました。
彼ら残党のたくらみもこのドラマのメインストーリーになっています。
マンドーが彼らのアジトに入ってトルーパーを視認してから徐々に緊張が高まり、不意にドクター・パーシングが現れて銃を抜き睨み合いに。
依頼主が帝国軍の残党だと知った事の動揺もありますが、マンダロリアンにとって帝国は故郷を奪った怨敵であり、また帝国に敵対するマンダロリアンは粛清の対象になっていたためマンドーの警戒心がピークに達したことが覗える場面です。
ベスカー
“クライアント”がマンドーに報酬として見せたのは帝国の印が刻まれた超硬材ベスカーのインゴットでした。ベスカーはマンダロアの特産鉱物であり、マンダロリアンの装甲服の素材として使われます。
マンダロアが帝国に占領されて以来、ベスカーはマンダロリアンにとっては希少価値の極めて高いものとなっており、そうした事情から報酬への関心がマンドーの警戒心を上回ったという流れです。
一方、帝国軍の残党はマンダロリアンの力をも借りる必要に迫られている様子=組織の疲弊が透けて見えます。
マンダロリアンの隠れ家
マンダロリアンたちもまた未だ脅威が残る帝国軍の目から逃れるため隠れて生きる事を強いられており、ネヴァロでは下水道の一角に隠れ家を形成して密かに生活している様子が描かれました。
アーマラーがマンドーに「あなたの印は判ったの?」と問いますが、この「印」とは氏族の紋章を指しています。
この事から、孤児出身であり天涯孤独の主人公が新たに氏族を形成する物語であることも示されます。氏族の紋章はその者が成した価値ある討伐・征服に基づいて意匠が決定します。
アーマーのパーツを生成する間、オーバーラップするマンドーのフラッシュバックは続くエピソードでも登場するのですが、彼の人生の記憶はのちの彼の選択に関わる伏線となるので要注目です。
追記:(3/5)
マンドーの記憶の出来事は、「クローン戦争中」のものと考えられます。一方、マンダロリアンたちが散り散りになってしまった「大粛清(千の涙の夜)」は様々な情報からこのドラマの過去数年以内に起きた事件のようで記憶の出来事とは異なります。「大粛清」については今後より具体的にその理由や発生時期が明らかになるのではないかと思います。(追記ここまで)
クイール
「獲物」を追ってアーヴァラ7へやってきたマンドーが出会うクイールはアグノートという種族で、スター・ウォーズの世界では奴隷として扱われがちな種族の一つです。
クイールは帝国の崩壊がもたらした奴隷解放と新たな時代が到来していることを象徴するキャラクターと言えます。
クイールの「お前の先祖はミソソーを乗りこなしていたんだろう」という台詞にあるミソソーとは伝説の生き物です。ボバ・フェットの左肩のマークあるいはアーマラーの工房入り口に頭骨のレリーフがあります。
かくしてマンドーは傭兵達が「獲物」を囲っているアジトへ。
エピソードのクライマックスへと繋がってゆきます。
待望のシーズン3は3月1日から
「マンダロリアン」最新シーズンとなるシーズン3は2023年3月から配信開始となります。配信開始前に過去作の再視聴もお薦めです。特に導入となる最初の3話は構成とテンポも素晴らしくシンプルにドラマとして抜群に面白いと思います。
シーズン1〜2を視聴済みでシーズン3を待っているという方も多いのではないかと思いますが、2021年末から2022年2月にかけて配信されたドラマシリーズ「ボバ・フェット」が実質的なシーズン2.5になっています。
シーズン3視聴にあたり重要なエピソードが含まれていますので、観ていないという方は今のうちにご視聴をお薦めします。
補足:「マンダロリアン」を作っているクリエイターはこんな人達です。
100本目の投稿を達成しました。
これからも細々と趣味の投降を続けます。