記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

「マンダロリアン」シーズン2の見所紹介

ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ作品「マンダロリアン」をシーズンごとに、私なりの見所や楽しみ方と合わせて紹介していきます。

シーズン1の見所紹介

基本的に視聴済みの「スター・ウォーズ」初心者の方に向けた解説記事です。各エピソードのあらすじについてはなるべく「結末は見てのお楽しみ」という形で物語のさわりを紹介していますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんのでその点ご注意ください。

変革の時

新型コロナウィルスの感染拡大が本格化した2020年、現実社会は混乱の最中。「スター・ウォーズ」はシリーズ完結となる「クローン・ウォーズ」のシーズン7が配信され話題となりますが、パンデミックの影響で予定されていたイベントの中止に加えて、エピソード10以降の映画作品の製作延期が発表されるなどまだまだ厳しい状況が続いていました。その年の秋、待望のシーズン2が配信開始となります。
物語はシーズン1の逃避行から「孤児を仲間のもとに帰す旅」へ。

第9話〜第10話

トラッパー・ウルフを演じるのはデイブ・フィローニ。
シーズン1第6話「囚人」でも他のエピソード監督と出演している。

第9話、舞台は再びタトゥイーンへ。
モス・ペルゴの入植者と長く対立関係にあった原住民タスケンの双方が力を合わせて巨大な脅威に立ち向かいます。モチーフの反復もスター・ウォーズ作品の特徴ですが、マンダロリアン・サーガ全体で描かれるテーマがここにも提示されています。

第10話では新共和国のレンジャー部隊が登場。映像作品で主人公に敵対する形でXウイングの部隊が登場するのは初です。ライド型アトラクションのような派手なドッグ・ファイト/チェイスもスター・ウォーズには欠かせない要素です。
カーソン・テヴァは新共和国側のヒーロー型キャラと言えます。彼も直感に従い目の前にある大事な事に規律より優先して対処します。


第11話〜第13話

発音的には「ボゥ=カターン・クリーズ」が正しい。

シーズン2の最初のサプライズが第11話のボ=カターンの登場でした。アニメシリーズ「クローン・ウォーズ」を発端として、「反乱者たち」に引き継がれ描かれたマンダロアの物語はこれからという所で終わっていました。

ディン・ジャリンは初めて自分達とは異なる派閥のマンダロリアンと接触しますが、本来「スター・ウォーズ」正史においては彼らの視点が主流でした。
途切れていた過去からのタイムラインにディン・ジャリンと孤児の物語が合流します。

第12話では残党の施設にマンドー達が潜入。帝国がクローンの研究を進めていた事が発覚。続3部作シークエル・トリロジーでは最高指導者スノークの正体は謎でしたが、このエピソードの配信1ヶ月前に出版された設定本『The Star Wars Book』(翻訳版は2021年4月に発売)ではクローンだった事が明かされています。また半年後に配信開始の「バッド・バッチ」でも帝国のクローン技術が取り沙汰され、未来の出来事に繋がる要素として注目を集めました。(スノークの素性である人工遺伝子構造体を示す「ストランド・キャスト」というワード自体はシーズン1でも既に登場していた。)


ディン・ジャリンが教えられたジェダイとはかつてはボ=カターンとは敵同士でもあったアソーカでした。ジョージ・ルーカスが最後に制作したスター・ウォーズ作品「クローン・ウォーズ」で誕生したキャラクターです。アニメシリーズ「反乱者たち」でも活躍した彼女の帝国崩壊後の存命がこの第13話で判明した事に加えて、同作のヴィランだったスローン大提督に言及。
ここに来て「反乱者たち」とのクロスオーバー要素が更に濃度を増し、実質的な続編となる2023年8月配信のドラマシリーズ「アソーカ」へ向けた新たな分岐がこの時点で示唆されていました。


第14話〜第15話

シーズン1からチラ見せ状態だったボバ・フェットが第14話でついに合流。
新3部作プリクエル・トリロジーでジョージ・ルーカスが新たに構築したボバ像は「クローン・ウォーズ」を経てドラマ「ボバ・フェット」に引き継がれていきます。しかし旧3部作オリジナル・トリロジーしか無かった時代に多くの人が想像していたボバ・フェットの姿はこのエピソードで無双するボバに近く、個人的な推察ですがそうしたファンが想像・期待した旧来のボバ像は分身として生み出されたディン・ジャリンに継承されたと考えています。これは映画第1作草稿のアナキンからルークが生まれた事や旧3部作オリジナル・トリロジーのオビ=ワン・ケノービがパダワンのオビ=ワンとクワイ=ガン・ジンに分離された事に近い現象だなとも。

第15話でディン・ジャリンがグローグーのために教義を破る姿には心打たれました。それを見て私はてっきりディン・ジャリンが教義を棄てる道を選ぶのかと思ってしまったのですが・・・・。

このエピソードでメイフェルドが将校との会話で語ったシンダー作戦とバーニン・コンはいずれも2015年にリリースされたゲームからでした。詳しくはこちらの記事でも紹介しています。


第16話

シーズン2の最終話となる第16話です。クルーザー潜入でディン・ジャリンを支援したのはボ=カターンとコスカ、キャラとフェネックたち。支援というかほぼ彼女たちの活躍で艦橋を制圧できたようなものでした。

「エピソード4 新たなる希望」におけるレイアや、その母パドメといったキャラクター像の継承を感じます。とにかく女性が大活躍するのも「スター・ウォーズ」のスタイルであり新しさでした。ジョージ・ルーカスはジェームズ・キャメロンとの対談で次のように語っています。

レイアだけが全てを知っているんだ。彼女こそが、物語を推し進めていく人物。(中略)レイアはグループの中で最も賢い。全エピソードの真の英雄は彼女さ。(中略)男性優遇の世界観は、白人優遇よりもタチが悪い。その世界観が、男性たちのリビドー(性的衝動)や自尊心などに結びついているからだ。これは人種を超えて起きてきている。

SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座

かくして、ディン・ジャリンの「孤児を仲間のもとに帰す旅」は終わります。正直なところ、シーズン1同様にここで完結しても問題が無いような綺麗な結末です。企画制作されていた時期を考えるとやはり打ち切りになる懸念がかなりあったのではないかと考えてしまいます。


ルーカスフィルムの逆襲

第15話「信奉者」の配信と同じ頃、ウォルト・ディズニー・カンパニーの投資家向け説明会でルーカスフィルムは今後配信予定の映像作品のラインナップを一斉発表。「スター・ウォーズ」の映像作品は配信コンテンツの時代へ。

この時点では「ボバ・フェット」の発表は伏せられていた。
しかし2023年時点では頓挫や棚上げの企画も多く、まだまだ油断できない。
この年、子供番組「ジェダイ・テンプル・チャレンジ」も配信された。
ジャージャー・ビンクス役のアーメド・ベストがジェダイのカレラン・ベク役で登場。

一方で「エピソード1 ファントム・メナス」より遙か昔のジェダイ全盛期を描く「ハイ・リパブリック」と呼ばれるシリーズも書籍・コミックで展開開始。多角的な「スター・ウォーズ」の拡張がこの時期から加速します。

シーズン3の見所紹介に続きます。