相続税の手続き備忘録

相続税の手続き 振り返り

父を見送った後で、相続関係の手続きを頑張ったので
メモとして記録しておく。
まず基本的な考え方なのですが申請が必要かどうかは
相続の財産が基礎控除内に収まるかどうかなので
3000万+法定相続人*600万を超えるかどうかの確認からスタート。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
これ以内であれば特に申請とか必要ないのですが
「相続の財産」の考え方が結構厄介でこれをおうのが大変でした。
特に持ち家がある場合、その家の価値を算出するのが結構厄介です。
なのでまずは財産がどれくらいあるのかを一覧化します。


相続税の書類について

相続財産を書く前に、一旦相続税の申告書を見てみると

国税庁にリンクがあるのですが非常に膨大です。
多分ここを先に見たほうが良いです。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2023/pdf/E06.pdf

申告書は表1~15まで大量にあり、どこに何を書けばよいか
わかりづらいのですがこのページを読む通り
表9から15を先にやりましょうとあります。
財産の一覧というのは表11にあります。
個人的にはまず表11を埋めるべく、財産一覧を書きだした方が
スムーズだと感じました。

相続財産

では相続財産とは何か?
定義は先ほどの相続税の資料のp.107、
「申告書第11表の取得した財産の種類、細目、利用区分、銘柄等の記載要領」
に定義があります。
大きく、土地、家屋、事業用財産、有価証券、現金・預貯金、家庭用財産、その他、みたいな感じで書かれてます。さらに小項目ありますが。
具体的にはp.95を見たほうが早いです。
わかりやすいのは現金・預貯金、これは銀行口座に預けてある預金など。

次に有価証券、株などやっている場合です。
有価証券の価値算出も死亡当日の株価だけではなく、その前月、前々月の平均株価などを使って算出するので注意が必要です。
大抵は証券会社に問い合わせれば保有株の情報だけでなく必要な株価情報もセットで教えてくれると思います。
厄介なのは上場してない株を持っていた場合です。
その場合、色々計算方法はありますが多分個人で追うのはハードル高いと思うので専門家に依頼したほうがよさそうです。

ここまでは金額感がわかりやすいのですが
土地、家屋の計算が厄介でした。
持ち家(今回はマンション)の場合は毎年固定資産税の通知が来ると思いますが
そこに家の価値が算出され、税金が決まっています。
そのため、その数字を土地、家屋の数字として使いたいところですが
そうではないのが厄介なところ。
正確には「家屋」の財産には固定資産税の通知の数字が使えます。
使えないのは「土地」の価値の算出。
土地の価値については別途計算式が違っていて

こちらに記載があるように計算する必要があります。
路線価方式の場合は、土地の周りの道路の価値から
土地の値段を算出します。
自分の土地に隣接する道路の価値は

ここから検索できます。日本の地図が書かれてますが
自分の住む都道府県を選び、路線価を選択、
そこから自身の住む住所までたどってください。
道路ごとに400C、など書かれていますがこれが値段になります。
1平方メートルあたりの価格になっています。
ただし、角地の場合などは面している道路が2つになるので
またそこから片方の道路の価格や倍率など変わって計算する必要があります。ここが面倒ですね。。
一応国税のHPに相続税を計算するページがありそこでもシミュレーションできるのでそのページを参考にしてもよいと思います。

この計算方式で出した土地の価値を相続財産として
それが基礎控除内に収まるかどうかをみないといけないのが
厄介でした。。
絶対大丈夫だろう、と思っても計算しないとわからないので
せめてシミュレーションで金額感を確認するのが良いと思います。

なお、山林などの場合はまた計算方法が異なるので路線価のページを確認しておくとよいです。固定資産の〇倍、などになってます。

それ以外の財産についても立木がある場合や美術品を持っている場合など様々なケースがあるので一読しておくとよいです。
自分で対応する場合はこれら全て考慮をしないといけないのですが
相続税の資料を読むのは非常に大変なうえ、解釈しにくいものもあるので
ある程度複雑だと思ったら専門家を頼るほうが楽だと思います。

なお、財産の算出には様々な特例も使えるため控除を受けるのであれば
そこを読み込む必要が出てきます。

小規模宅地の特例

表11 11の2表、というやつです。
私の場合で言えば父が亡くなって、住んでいた家は母が引き継ぐのですが
その場合は上記で算出した土地の費用を8割まで削減することができます。
厳密には色々計算がありますがざっくりいうとこんな感じです。
基礎控除内に収まるかどうか、という場合はこの特例を使うと大きく家の価値が圧縮できると思います。頑張って表を埋めてみましょう。

生命保険の控除

生命保険も相続する財産の一つです。
これが表9にあたる記載事項になります。
が、こちらも控除があります。
表9には生命保険を受け取った明細を書くのですが
500万×法定相続人だけ控除されるので生命保険を受け取った場合は
こちらを記載しましょう。

葬式などにかかる費用

表13が葬式にかかった費用の控除のためのシートです。
正確には債務なども記載できます。
火葬や葬式の費用は相続財産から差し引くことができるので
こちらも正確に記載する必要があります。
ただし位牌や香典返しなど控除できないものもあるので
何が入って、何が入らないかを注意しながら算出しましょう。

相続財産の総額計算

(ほかにも特例などありますが)
表11で財産一覧を出し、表9や表13で生命保険や葬式の費用を出し、
特例を記載することができれば表11に総額が出るはずです。
これが初めの基礎控除内に収まっていれば相続税はかかりませんし、
超えればかかるのでその分支払う必要があります。
次にそれらを出すために表1に戻って記載することになりますが
ここからはほぼこれまで使った数字を記載していくことになるので
あまり迷うことはないと思います。
小規模宅地の特例など使わずとも基礎控除内に収まっていれば
特に申請する必要もないと思います。
ただし小規模宅地の特例を使って基礎控除内に収まる場合は
税金を払う必要はないにせよ申告書は出す必要があります。

対応して気になった点

いざ計算してみると結局基礎控除内になったのですが
それを理解するまでは非常に大変でした。
何度か自治体の税務相談なども活用してみましたが対応する人によっても解釈が異なったり、税理士によっても反応が千差万別で、大分混乱しました。もし正しい解釈を求めるのであれば早めに近くの税務署に相談するのが良いと思いますが1月~3月の間は確定申告の期間になるらしく対応はできないそうです。であれば締め切りを後ろにずらしてもらいたかった。。
ただしこの期間も電話相談は可能ですので不明な点があれば国税庁の相談窓口まで電話してみるとよいと思います。私も何度か相談しましたが丁寧に答えていただきました。
その際は申告書の何表の、この項目について、というような相談の方が話は早かったと思います。

結構膨大な資料を作る必要があることと、
提出資料だけでなく、必須ではないが用意すべきと推奨されるもの(!)も
あるのでこのあたりの準備を考えると専門家に任せた方が大分楽ではありますね。
必須の提出資料は

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2023/pdf/E11.pdf

ここにある通り戸籍やマイナンバーの証跡など、記載の通りなのですが実際には

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/2023/pdf/r05-01.pdf

このチェックシートの通り、財産の証跡に関する資料を求められています。
必須ではなく、あくまでも「提出をお願い」しているものなのですが
結局税務署の人が、財産一覧に載っている財産の価値をどう算出したのか確認することになるので、これがないと困る(確認がはいるのかな?)そうです。
このあたりは専門家に相談すれば全て添付するように動いてくれると思います。意外とそろえるモノが多いので自分でやる場合はこのチェックリストも参考に証跡資料を集めましょう。
残高証明書などはもちろんですが、自動車などの価値はディーラーからの見積もりで対応するなど、色々と考慮が必要だったりします。

自分は結局最後まで頑張って計算しましたが
初めから専門家の方に頼んだ方が楽だったかなぁ、と思いつつも
色々と税に関する知識や考え方についてとても勉強になりました。
ややこしい土地とか財産がなくて本当によかった。
なお固定資産評価証明書などは遠方だと取り寄せとかになるので
定額小為替での請求などやり方を覚えておくとよいですね。


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