仕組まれた古代の真実 関祐二:著
著者は古代史を新しい観点から説明しています。
「古墳」「縄文」「天皇」「女性」「記紀」「神社」「事件」の7テーマからなっています。
このなかから印象に残ったことを2つ3つ取り上げます。
まず、古墳は古代豪族「物部氏」が主体となって造っていたのではないかと言っています。
古墳はヤマトの王が無理強いして民に造らせたものではなく、民がお祭り感覚で率先して造っていたのではないかと推理しています。
で、なければ反乱も起きず、300年間も古墳が造られ続けた理由がわからない。
古墳ですか・・・長い間なぜ造られ続けたのか、そしてあるときを境になぜ造られなくなったのか、謎ですね。
次に、「天皇」。天皇という存在は一体なんなのか、と論じています。
天皇は権力をもつこともあったが、基本的に祭司王だったと言っています。
そして古代の時代は女性が重きを置いていたらしい、それは知らなかった。
天皇は祭司王、でも権力者でもある、ってところでしょうか。
未だに謎多き存在ですね。
でも、126代続いているのでこれからも続いてほしいと思っています。
あと、伝承がいろいろとあるので神武天皇は存在した、と私も考えています。
そして、大化の改新でも言っていましたが、「日本書紀」は藤原氏が改ざんしており、真実を語っていない、と論じています。
最近、史学会も蘇我氏が改革派だったとしぶしぶながら認めているようです、大きな一歩ですね。
藤原氏の1000年の繁栄を築いたのは、中臣鎌足ではなく、子の藤原不比等だと言っています。
そして、不比等こそが日本書紀を改竄し、蘇我氏(石川氏)を皇室から切り離した、と
子の藤原四兄弟は邪魔者なら皇族すら殺してしまう非常なヤツら。
反藤原の立場だった皇族の長屋王は藤原氏の手にかかって一族滅亡してしまいます。
で、長屋王は悪者に仕立て上げられた。
日本を私物化した藤原氏でしたが、天皇が院政を敷いて権力を握ったり、源氏平氏が権力を握ったりして没落していったよう。
しかし、藤原氏は明治維新後も華族となり、戦後になっても閨閥を造って日本を裏から操っていると著者は言っています。
果たして、藤原氏は今も力を持っているのでしょうか?
この点については聞いたことがないのでわかりません。
一番気になるのが藤原氏の祖である「中臣鎌足」の正体ですね。
ボウフラのごとく突然でてきた、と著者は言っていましたが、たしかにこやつの正体よくわかりませんね。
著者は百済の王子豊璋だったと言っています。
が・・・この説も信憑性に欠けるかな、と思います。
まぜ百済の王子がいきなりでてくるのかよくわかりませんし。
中臣鎌足、一体何者なんだ・・・?
この本を読んで、古代史について詳しいことがいろいろとわかりおもしろかったです。
古代史は馴染みがあまりなかったのですが、詳しく学んでみようかな、と思いました。