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陰陽師の日本史


加門七海:著

 この本は陰陽師が日本の歴史の中でどのような役割を果たしてきたかということを解説した本です。
安倍晴明とか陰陽師に興味があるので読んでみました。

 まず、陰陽師が明治になるまで日本の歴史に重要な役割をもっていた、ということを知って驚きました。
陰陽師が重要視されていたのは、平安時代だけかと思ってました。

 「藤原道長」「平清盛」「足利義満」「徳川家康」など時の権力者が呪詛対策や戦の趨勢を占うためなどに陰陽師を活用していた。
普通の歴史では語られない闇の力を歴代権力者が活用していたのですね

 江戸時代には安倍晴明の子孫である土御門家が力をもって、陰陽師を取り仕切っていたそう。
渋川晴海を助けて暦の制作にも携わっていたとはすごいものです。
江戸期には土御門家は余程力があったんでしょうね。

 しかし、明治になって陰陽師が禁止されると、土御門家が力を失います。
現在の土御門神道というのがあるそうですが、土御門家自体は嫡流がもういないのだとか。
調べたら土御門家は女性の人が一人だけ存在しているとかなんとか。
晴明の子孫の土御門家断絶の危機じゃないですか!
なんとかならないのでしょうか
土御門家が絶えようとしているのは陰陽師が現在では軽んじられているから、かな。

 陰陽師は現在ではエンタメ化して生き残っているそう。
五節句とか初詣とかも元は陰陽師の儀式なんだとかで。
忘れられていた陰陽師が息を吹き返したのは、夢枕獏の「陰陽師」のおかげ。
500万部を超えるベストセラーになって現在も続いているそうな、映画化もされてるんですね。一度読んでみようかな。
あとは、「鬼滅の刃」とか「呪術廻戦」といったマンガ作品で取り上げられている。
平安の世とはだいぶ趣が変わりましたね。

 あと、安倍晴明がなぜ陰陽師の代表格になったのかとか、そのライバルたち(芦屋道満)のこととか書かれていて興味深かったです。
安部晴明が天才だから有名になったのかと思いきや、メディア戦略に長けていたから有名になったんですね。

 いろいろと陰陽師のことがわかっておもしろかった本でした。


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