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奇貨居くべしとは

【序文】

「奇貨居くべし」ということわざを聞いたことがあるでしょうか。
これは、中国の史記「呂不韋伝」に記されている故事で、キングダムにでてくる呂不韋が言ったことわざなのです。

その意味を説明したいと思います。

【奇貨居くべしの由来】

古代中国の戦国時代、商人だった呂不韋が、趙の国で秦の王子子楚という人物と出会います。
子楚は王子でありながら、趙へ人質として預けられていたのです。
この子楚という人はあの始皇帝の父にあたります。

呂不韋は王子子楚に目をつけ、助けて利用しようと考えました。

まず、子楚に金銭の援助をし、さらには秦の王族に次の王にしてくれるよう働きかけます。その甲斐あって、子楚は無事王となることができました。
お礼にと、子楚は呂不韋を秦の丞相に取り立てます。
そして、呂不韋は秦国で大いに権力を振るったのでした。

このことより、「珍しい品物は買っておけば後に大きな利益をもたらす」転じて「いいチャンスは逃さず利用しなければならない」という意味の「奇貨居くべし」ということわざが生まれたと言われています。

「奇貨」とは「珍しい品物」のこと。「居く」は、「手元に留めておく」という意味になります。

これは呂不韋が商品を調達しに出かけたときに子楚に遭遇し、「いい掘り出し物を見つけた、取っておこう」と言ったことに繋がります。
珍しい品は、たとえすぐに役に立たなくても、将来への投資のために、手元に置いておくのがよいとのことから「奇貨居くべし」ということわざができました。

ここでは人を対象にしていますが、現代では人をモノに置き換えてみるといいでしょう。
「買っておけば値上がりするかもしれないから、今仕入れるべき」という、物の購入に悩んだときの後押しの言葉と言えます。


【終文】

「奇貨居くべし」は呂不韋の商人としての先見性をあらわすことわざでした。
子楚を王につけることで、呂不韋は一介の商人から丞相にまで上り詰めたのです。

子楚の息子の嬴政(えいせい)はやがて秦国の王となり、初の中国統一を成し遂げて、これまた中国史上初の皇帝である始皇帝に即位します。
呂不韋が子楚を見いだして秦国の王にしなければ、始皇帝の天下統一も皇帝即位もなかったでしょう。

呂不韋あったればこその始皇帝だったのです。

もし、呂不韋が子楚を見いださず、商人を続けていたら後の中国の歴史は大きく変わっていたことでしょう。
キングダムというマンガも現在なかったかもしれません・・・。

この「奇貨居くべし」は後の中国の歴史に大きな影響を与えた言葉でもあったのです。

この呂不韋という人は戦国四君に加えて、戦国五君と言う人もいるそうです。

呂不韋については、いつか詳しく記事にしたいと思います。

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諸葛鳳雛@真・歴史探偵
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