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家康の誤算


磯田道史:著


 神君家康は江戸幕府を作るにあたって、様々な仕組を作っていた。
265年にわたって平和な時代が続きました。
その江戸幕府が崩壊し平和な時代が崩れてしまった、これは家康の誤算があった、と。
どんな強固な組織でも倒れるときがくるんですね・・・。

 まず、長い江戸時代によかれと思ってやっていったことが家康の仕組を崩すことになっていった。
「改易制度の緩和」「人質制度の廃止」「意思決定機関の劣化」など・・・。
これらのことが積み重なり平和な江戸時代が崩れてしまった、と著者の磯田さんは主張しています。
そして、政権を握った薩長は、江戸幕府の仕組の上に成り立っていたそう。
よかれと思ってやったことが、平和な時代を崩すことになったとは皮肉ですね。

 江戸時代は個々の役割が決まった時代。
役人の子なら役人、農民の子なら農民になっていればよかった。
現代は能力主義で自分で能力を開発して自分の居場所を作らなければならない。
だから、ある意味江戸時代のほうが楽に生きられたのかもしれません。
能力主義だっていったって能力のある人ばかりじゃないでしょうし。
もう現代人は今の社会に疲れ切っていますし、そろそろこの社会を見直したほうがいいんじゃないでしょうか。
封建主義に戻せとは言いませんけど。

 家康が現代日本に残したものは「正直」ではないか、と磯田さんは言っています。
たしかに日本人は正直でウソをつくのが下手ですね…最近はそうでもなくなってきたみたいですが。

 「勤勉」とか「正直」とか、こういった江戸時代のいいところを残していって、未来に繋げるべきだと磯田さんは主張しておられました。
今、「勤勉」とか「正直」といった、江戸時代のいいところが崩れていっている気がして、私は危惧しています。
家康が残してくれたいいものをこれからも引き継いでいってほしい、と思います。

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