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washizukami
源氏物語、どの現代語訳が好き?
瀬戸内寂聴(現代語訳)の源氏物語、読んだことある? おっさんの本棚から出てきたから読みかけているんだけどとT子さん。
おっさんは今月初めに亡くなったT子さんの旦那様だ。現役時代はエンジニアで趣味は手広かったが、源氏物語全巻をお持ちになっているとは意外だった。それも通読されているらしい。意外すぎる。
「あなたは誰のを読んだの?」と訊かれて、かつて源氏物語オタクだった私は記憶を辿った。
母親が最初に読んでいたのは与謝野晶子訳、私もそこから始まっている。中学生くらいかなぁ…(新訳の方だと思う)
次に読んだのは円地文子訳、これも母親のコレクションで自分も便乗して読み始めて繰り返し愛読した。高校から大学の前半くらい。
その後は、谷崎潤一郎訳、玉上琢弥訳、橋本治訳、アーサー・ウェイリー訳、瀬戸内寂聴訳、田辺聖子訳と読み進め、地の文については我はオタクと自負できるほど詳しくなった。
しかし、社会人になると少しずつ物語から遠ざかって記憶も曖昧になり、新しい人たちの例えば角田光代訳は読んでいないし、大塚ひかり訳も読んでいない。ほぼ同世代といえる林望訳も未だだ。
桐壺の巻からもう一度読むのは面倒だからと言い訳をしてみよう。
いづれのおんときにか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに…
うーん、ちょっとしんどい。
宇治十帖にダイレクトに繋がる辺りからなら読めるかもしれない。手をつけてみようか。
私はすっかり老いぼれてしまって、いまやどの人の現代語訳が好きなのか分からなくなっている。
強いていえば、円地文子訳をベースにして与謝野晶子が散りばめた短歌を混ぜたのが好き。
面白かったのは橋本治の窯変でした。
とりあえずここまで。