鰭(はた)という字が読めなくて
ボランティアをやっている施設で、数日前にKさんが亡くなったと教えていただいた。
Kさんは1ヶ月半ほど前から看取り期に入っていて自室で静養していた。私は週2回の入浴時にKさんがストレッチャーで運ばれる姿をお見かけするだけだった。
通りかかる職員たちは、ストレッチャーに寝かせられたKさんの顔を覗き込んで目を合わせ、耳元で普通に話しかけている。「Kさんこんにちは!今日はいいお天気ですよ」
ほっぺたを軽くつんしてから目をのぞきこんで笑いかける男子スタッフ。
目は開けていてもどこも見ていない、身動ぎもせずにいる姿に近寄りがたい空気を感じていたのは私だけだったのかしら、修行が足らんな。
Kさんは私がボランティアに入った時には既に入居されていたから、なんだかんだ4年以上のお付き合いだった。
無口で穏やかな女性でした。
名前の漢字が読めなくてお声掛けができなかったのが第一印象。K鰭さん、、字を覚えるのが大変で、耳から入るとどうしてもK端さんだと思ってしまう。
サカナの鰭という字は(少なくとも私は)Kさんとのお付き合いでだけ身についた。
Kさん、ありがとうございました。
また、いつかどこかで。