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仕事術・日本人の労働観

日本人は働き者だと思います。
こう思っている人は多いんじゃないでしょうか。

私がロンドン駐在員時代に、イギリス人と一緒に働いた経験からもそう思います。
この性質は、日本人が農耕民族だということと深く関連していると思う。

私は農業をしたことがないけれど、畑仕事はコツコツと毎日作業をしないと収穫できないんでしょうね。だから、当然勤勉になります。

また、新渡戸稲造は日本人の道徳観は武士道がベースになっていると言いますが、日本人の労働観も、武士道と切り離せないと思う。

武士道では「恥ずかしいことをしてはいけない」と教えています。
つまり、マジメにやらなければならない。
仕事をまじめに一所懸命やるということは、働き者になるということです。

労働について欧米と比較すると、欧米には奴隷がいたけど、日本にはいなかった。
古代ギリシャで既に、戦争に勝つと、負けた相手国の住民を連れてきて奴隷にしたそうですからね。
それだけ古い時代から奴隷がいたということです。

アフリカ大陸から黒人を大量にさらってきて奴隷にしたのは、もっと後のことです。

黒人奴隷と言えばアメリカが有名ですが、イギリスも大量に奴隷を使っていた。
イギリスでも奴隷解放を訴えた政治家がいたようですが、実現したのは産業革命が起こった時期と重なります。

なので、人権意識によって奴隷を開放したのか、機械化によって奴隷が要らなくなったのか、何とも言えないのでなかろうか?

明治維新後に起こったペルー籍のマリア・ルス号(Maria Luz)事件では、
日本政府は、横浜港に停泊したこの船が奴隷船だと判断し、
船内に留めおかれた清国人約230人を開放しました。

この後、日本とペルーは揉めることになりますが、当時、日本政府は国際法の知識もロクに持っていなかったと思う。
それを思うと、この行動は正義感によるところが大きかったような気がします。
日本人は奴隷なんか認めないんです。

それが、先の大戦後にソ連に大量に連れていかれた捕虜(60万人?)が、不当に劣悪な環境で、強制労働させられたのは何という皮肉だろうか!
まるで奴隷のようにこき使われたんですから。

もし、日本がまたどこかの国に占領されたら、同じことが起こるに違いない。侵略されても、戦わないで降参する方が良いと主張する人がいるけど、このことを理解していたら、そんなことは言えないと思うが。。。

日本人の意識として、働くことは良いことだと思っている。
私もそう思っているし、あなたもそう思っているでしょ?

日本人は、労働に価値があると声高に言われなくても、
働くことに価値があると普通に思っていると思う。

原理主義的にこういうことを主張すると、マルクスみたいになるのかもしれない。
そこまで極端にならないところが、日本人的なのかもしれません。

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