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イギリスと泥棒・・・その2

前回、ロンドンで駐在員をしているときに泥棒に入られた話をしました。

その後、泥棒に侵入された台所の窓はキチンと閉めるようにしたものの、
非常階段はどうにもなりません。

賃借した2Fの弱点は構造的なものなので、改善できなかったんです。
そこで、盗難保険には加入した一方で、なるべく金目のものは家に置かないほうが良いと考えました。

当時の私の家の持ち物で、最も高価なものは女房の和服でした。

ロンドンに和服を持って行けば、何かの時に役に立つかもしれないと思ったんですが、泥棒に盗られるのはイヤですからね。

前回侵入してきた泥棒は、和服の価値なんか分からないので手をつけなかったのだと思います。

女房とも相談して、和服を日本に送り返すことにしました。

そして、スチールの箱に入れて送ろうとしましたが、箱が大きすぎてスキマが空くんです。

そこで、スキマを埋めるために、私が持っていた背広のなかで最も値段の高かったものを一緒に詰めて送ることにしました。

そうやって女房の和服と私の背広を、船便で東京に送って一か月以上経ちました。ところが、届いた船便を開けてもらったら、今度は私の背広が抜き取られていたんです!

今度は保険をかけていたので、東京で保険会社と交渉してもらいました。
受取人だった義母と保険会社で大分もめたようですが、何とか保険金は払ってもらうことが出来ました。

私は背広を盗られてしまったので、保険会社から受け取ったお金で、背広を新たに仕立てることにしました。
背広を作ったのは、あの有名なSavile Row。

Savile Rowは、ロンドンで洋服屋が軒を連ねている一角で、背広の語源になったと言われている狭い通りです。

結局、大騒ぎをした挙句、日本で作った背広の代わりに、ロンドンで作ることになったというわけです。

しかし、船便の荷物が抜き取られるなんて、油断もスキもあったものではありません。

日本人の感覚だと、泥棒は泥棒専業だという気がしますが、実は、イギリスでは副業なのではないかと思います。
本業は運送業などをしていて、副業として、スキを見つけて泥棒をする・・・。

証拠はありませんが、多分間違いないと思います。

例えば、ヒースロー空港でスーツケースから中身を抜かれるという話は、むかしよくありました。

私もスーツケースを知らない間に空けられて、中を荒らされたことがありますし、私の同僚は、スーツケースにいれた現金を抜かれたと言っていました。

空港で働いている人でなければ、そんなチャンスはないはずですからね。

今のヒースローはどうか知りませんが、こういうクセはなかなか直らないような気がするので、今でも同じようなものだろうと想像します。


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