見出し画像

"記念すべき火種"セルフライナーノーツ第一回「スタンドアローン」



あと4日ほど、11月3日に
自分がやっているバンド、
「AIRTONIC」の
ニューアルバム"記念すべき火種"
が発売されるわけなので
発売前に
セルフライナーノーツを一曲だけ
書いておきます。
他楽曲の解説は
リリースされた後から
じっくりと書いていこうと思っております。

-----------------------

8月1日から始まる、
京都でのレコーディングの1ヶ月前
収録曲の作曲は
7月1日の時点で
4曲しか出来上がっていなかった
7月中に無事覚醒し
2曲を書き上げたが
残りの1曲が
どうしてもレコーディングに間に合わず
とうとう前日の夜にまで行きつき
7曲構想を捻じ曲げ
6曲収録に変更し京都に向かっていた
俺の誕生日である7月の人生記録上、
最も苦しかった7月

決めたものを振り返っても何もない
全力で録音に望み
出し切った末に
ミックスされた音源を待つ半月ほどの間
俺は抜け殻になっていた
7月中、寝ても覚めても曲を作っていた
苦しかった時間も
終わってしまえば終わりであって
作曲に対して
向き合うことが一旦落ち着いた
と思った途端に
これでよかったのかと
自分を攻め、問い質し始める
自分の甘さで
一曲足りずにレコーディングをした
それがどうしたって許せるわけはない
許せないのなら、書くしかない
俺の父は、レコーディングを齧っていて
AIRTONICの1stDEMO"A"や
コロナ禍にリリースされた楽曲"時代"の
レコーディングを担当してくれていたこともあって
父に頼み、弾き語りでのレコーディングをし
アルバム最後の収録曲として
"記念すべき火種"に合流させた経緯だった


スタンドアローンという言葉は
直訳すると、「孤立」という意味で
俺もあまりよくわかっているわけではないが
パソコン用語では
他のネットワークに接続せず
単独で稼働しているパソコンのことらしい
他のネットワークに接続しないことで
外部からのウイルスや
乗っ取りに遭うことがなく
企業の機密情報を保管しておくために
使用される手法だそうだ
これは会社で習った

俺たちはもちろん、パソコンではない
パソコンはそれでいいのかもしれない
人は脆い
迷い、戸惑い、おびやかされ、挫ける
ただ
誰かと見えない縁で接続されているからこそ
なんでもない時間に
過去を思い耽ったり
幸せの価値が変わったりすると
俺は思う
俺は、人は1人の方が圧倒的に"強い"んじゃないかと思っていた
それこそ誰かに侵食されることはないし
誰かにとやかく言われて
自分が分からなくなったり
人間関係の悩みとか
不器用な心とか
ない方がよっぽど"強い"
それはわかっている
ただ
人はそんなに"強い"必要はないんじゃないかと
この曲を書く前には気持ちが変わっていた
寄りかかりすぎるのは
やっぱりしんどいけど
それでも、誰かと補い合い助け合っていく
それが人の持つ美しさであり
人生の面白さだと思う
倒れないように、沈まないように
誰もがそう頑張るけれど
いいことも悪いことも
いい人も悪い人も
全部があって、人生
怖がる気持ちもずっとあるけど
それでもずっと歩いていくから
どうしようもなく涙が溢れる
その涙を、恥ずかしげもなく流せる姿
それこそがまさに
"強さ"なんじゃないかと思って
この曲を書きました。

アルバムの解禁後にまた会いましょう。
それでは

いいなと思ったら応援しよう!