"記念すべき火種"セルフライナーノーツ第四回「馬鹿だるい」
しばらく時間が空いて、セルフライナーノーツ。
アルバムも、もう割と身近な人は聞いてくれたかなと思いますが、
まだまだ届いてない人達ばかりの人類なので
大事に書いた曲たちが
少しでも誰かの柔らかいところに
出来るだけ長く触れられることを願って
今回は"記念すべき火種"M-2「馬鹿だるい」について書いていきます。
ロックンロール
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2020年あたりだったか、コロナ禍にやっていたインスタライブで新曲できましたと言って歌っていた気がする。そう思うとずいぶん前に書いた曲になる。
シンプルなロックンロールを鳴らしてたくて、
今まで曲の中で言ったことのないことをはっきり言いたくて、その時ちょうどすごくイライラしていたことを書き殴った曲。
機械が苦手で。
どうにも俺と機械の相性というのは、分かり合うことができず、感情ではどうにもならない冷徹な存在として、敵意すら向けることもある。
音楽だから、理不尽に怒りをぶつけても誰に怒られるわけでもないし、手が出る前に曲でキレておこうと思った。
そういえば、その時の仕事の上司にもブチギレていた気がする。
上司は、この人絶対昔ヤンキー寄りのギャルだったなとわかるような、30歳過ぎくらいの、言葉遣いの悪い美人だった。
仕事の上司というのは皆生意気で、
街中であったら一様に引き摺り回しているのだが、会社という薄い盾だけを持っていきがっている様が非常に腹立たしく、
またその薄い盾に手も足も出せていない自分も事実であるため、歌にするしかなかったのだ。
シンプルなロックンロールとは言ったものの、AIRTONICが鳴らすうえで、
どんなアプローチで作り上げていくのかに悩まされ、
自分のど真ん中にあったはずの
"ロックンロール"とはいったいなんなのかという疑問まで浮かんでくるほど迷宮入りして、
1年半ほど触らずにしばらく放って置いた。
アルバムを制作することが決まって、
さああの曲はどんなだったかと掘り返す頃には、気持ちもだいぶスッキリしていて
元来ロックンロールというのは大胆で単純な物であると、考えるのをやめて、諦めにも似たような納得をした時に、新しい曲のようにアレンジが生まれ変わったことを覚えている。
曲作りとはいつもそうだ。
思い悩んでどうしようもなく、
もうだめだと一旦諦めた時に、
開き直りのような閃きが降って来る。
逆にそこまで迷い悩んだ旅路があるからこそ、
そのストレスが良い形で解放される。
俺の場合、作曲は悩むことなのだ。
なにもないところから曲が降って来ることは、
これからもないだろう。
レコーディングではBLUESPRINGしゅんの作った緑のSGを使った。
P90ピックアップのシングルコイルと
パワー感を兼ね備えたサウンドは、
ロックンロールによく馴染む。
馴染むだけじゃなく、少し暴れてくれる。
程よい歯切れと、それでいて粘りがあって、
レスポールでは出せない絶妙な金属感になっている。
あんちゃんには、
俺が高校生の時に買ったlegendという安ベースを弾いてもらった。
作りが粗雑で、レコーディング中にしょっちゅうチューニングが狂っていたし、
言うことを聞かない暴れん坊なベースだったが
ロックを鳴らすとピカイチだった。
荒っぽく漢らしい、こいつにしかない魅力。
このベースを使って高校生の頃THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのコピーをしていた。
気怠げで汚い、最高のベースだ。
タイトル完結型の単純なロックンロール。
仕事の休憩中などに聞くと非常に危険であるため、注意してくれ。
2024.11.03 Release
AIRTONIC 1st mini album "記念すべき火種"
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