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2/7「問いづくりの教科書(仮)出版企画会議vol.3」レポート
2月7日に「問いづくりの教科書(仮)出版企画会議vol.3」を開催しました。
今回もたくさんの方にご参加いただき、お礼を申し上げます。
vol.3では、三人称の問いにフォーカスを当てました。
グラフィック・レコーディングは、グラフィックカタリストの成田富男さんにご協力をいただいています。
「問いづくりの教科書(仮)」とは
毎回同じことを書きますが、この記事から読まれる方もいらっしゃると思うので、念のためご説明します。
今夏、「問いづくりの教科書(仮)」という問いづくりをテーマにした書籍を発行する予定です。
今までファシリテーターとして年間200回以上登壇し、延べ3万人以上の社会人・教員・学生の方々の育成にかかわりました。多くの問いを投げかけることで、参加者の方々に考えていただく。そうした経験から、どんな「問い」が機能するのか、そして機能する問いを作れるようになるにはどうしたらよいかという知見を、書籍としてお届けできることになったのです。
私には、多くの方に自由自在に「問い」を作れるようになってほしいという思いがあります。その思いが、ようやく一つの形になりつつあります。
ウォーミングアップ #問いづくりの大喜利
まずは、ウォーミングアップとして、Twitterと連動した企画 #問いづくりの大喜利 に参加していただきました。Twitterをやっていらっしゃらない方も、その場で考えて発表していただきました。
#問いづくり大喜利 開催します!
— 井澤友郭(いざわともひろ)@問いづくりの教科書 (@Izawa_qft) February 6, 2020
「聞かれたら、ワクワクしてしまう質問は?」
思いついた方は、このツイートに返信してくださいね!
出題自体のリツイートもお願いします。#問いづくりの教科書
このお題に対して、「自己紹介の時に、相手がワクワクしそうな質問をする」と追加指示を出しました。
Twitterのスレッドを見ていただくとわかりますが、ワクワクして答えたくなるような問いが投稿されています。
この企画は、今後も不定期に行っていきたいと思っていますので、ぜひ @izawa_qft をフォローしていただき、ご参加いただければと思います。
三人称の問いとその効果
まず、ここでいう三人称の問いとは、「複数の相手が存在する場合の問いかけ」のことを指しています。つまり、私(進行役や講師、教師)が、あなたたち(参加者や受講者、生徒)に対する問いを「三人称の問い」と呼びたいと思います。
三人称の問いを使うことで、どのような効果があるのでしょう?
問いかけられることで、一人一人の視点や視野が変化し、広がっていきます。また、物事の捉え方の解像度が上がっていくという効果もあります。人々の違いによって新たな相互作用が生まれるという効果も期待できるでしょう。
それによって複数の人との合意形成や主体形成(たとえばクラス、部署、地域といった自分も含めた複数の人で構成されるグループを、一つの主体として認識できている状態)を作り出すことができます。
これは学校教育においては対話型学習、アクティブ・ラーニングといったものの効果としても、狙いとされているものです。
”みんな違って、みんないい”を作り出すために
日本では同質性が求められる場面が多いため、他人と違うということを避けようとする風潮があります。
三人称の問いを使ってグループに考えさせると、個人個人の違いが明確になっていきます。対立が起こる場合もあるでしょう。
ここで「みんな違って、みんないい」というのは簡単です。しかし、そういってしまうと「みんな違って、みんなダメ」との違いが分からなくなってしまい、最終的にモヤモヤとあいまいなものになってしまうことがあります。
「そのモヤモヤが大事なんです」といったまとめを行う方もいるかもしれません。それは本当でしょうか? 参加者が「なんだかよく分からなかった」というストレス状態のモヤモヤを抱えたままでは、その先の行動が起きるでしょうか?
常に考え続けてほしいという狙いがあるのかもしれませんが、同じことをずっと考え続けるというのは、よほどの関心がない限り難しいものです。つまり、しばらくモヤモヤした後は、忘れられてしまうということです。
「みんな違うけど、その上であなたたちは何をするのか」といった、一歩先を考えさせるように、問いを組み立てていく必要があるのではないでしょうか。一歩先を考えることができたら、また見える景色が変わって、その次の一歩へと踏み出すことができる。問いをデザインしていけば、このような変革を生み出すこともできるのです。
演習1 問いの軸を意識する 時間
いよいよ三人称の問いづくりの練習です。
「あなたはCO2削減に向けて、何ができますか?」という問いについて、時間軸を動かす練習を行いました。
時間軸というのは、過去・現在・未来のような、時間の流れのことです。元の問いに、この時間の要素を付け加えてきましょう。
例えば過去なら、「10年前に、あなたがCO2削減に向けて、やっておけばよかったことは何ですか?」という問いをつくることができます。
現在なら、「あなたがCO2削減に向けて、今すぐできることは何ですか?」という問いをつくることができます。
未来なら、「三年後、あなたはCO2削減に向けて、何をやっていますか?」というような問いをつくることができます。
一番最初の問いと、時間軸の異なる問いでは、答えやすさや、考えることが変わってくるのが感じられると思います。
演習2 問いの軸を意識する 個人ー組織
今度は、時間軸を横に置き、縦に個人ー組織という軸を置いて考えてみましょう。今まではずっと「あなたは」と主語を使いましたが、それを変えていきます。
たとえば「あなたの家族は」「あなたと友達は」「わたしたちは」「日本は」「世界は」というように、主語を変化させてみましょう。
つくりだした問いは1つずつポストイットに書き出してください。
横に過去ー未来、縦に個人ー組織というマトリクスを書いて、問いのポストイットがどこに当てはまるのか、考えながら並べてみましょう。問いがでてこないエリアはありませんか? そこは自分が問いをつくるときに、見落としがちな領域かもしれません。
軸を意識して、新しく問いを増やしてみましょう。たくさん問いが出たら、今度は一番考えてほしいこと、最後に聞く問いを選んでください。
いきなりその問いを投げかけても、答えられないようなものならば、その問いに答えられるように、いくつかの問いを事前にする必要があります。
考えを進めてもらうための複数の問いを選んだら、次は問う順番を決めていきます。
個人と組織、どちらの問いが答えやすいですか? 最初は他人事の方が答えやすいかもしれません。また過去と未来ではどうでしょう? 過去の経験を聞くだけなら、YES/NOで答えられるので、未来のことよりも答えやすい可能性があります。
ここではグループで問いをたくさん出してもらい、マトリクスの上に並べて、複数の問いを選んで、問う順番を考えてもらいました。
今回は短い時間で体験していただいたので「これで答えられるかな?」と悩んでいた方も多いようです。
自分が新たな問いをつくらなければならないときに、このような軸で十字を作って考えるといったフレームを理解しておく、”カンと度胸”ではなく、狙いを定めた設計ができるようになります。
もし実際に問いかけた際にうまくいかなかったとしても、どこに問題があったのか、改善しやすくなります。問いのフォーカスが悪かったのか? 数は適切だったのか? 順番は考えを進めていけるものだったか? という観点で振り返ればよいのです。
振り返り・質疑応答
振り返り・質疑応答については、成田さんのグラレコをご参考にしてください。
Facebook グループ メンバー100人達成!
この会議の後、Facebookグループ「IZW式 問いづくりの教科書」のメンバーが100名を超えました。ありがとうございます!
もっと、皆さんに知っていただけるよう頑張りたいと思います。
最後に…このnoteが良かったなとお感じの方は、ぜひ♥をクリックしていただけると、励みになります。m(_ _)m