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進化する柿の葉寿司。そのネタにまつわるお話。

こんにちは。
「ゐざさ」中谷本舗の中谷です。

さて、突然ですが、「柿の葉寿司」といえば、ネタは何を思い浮かべるでしょうか?

さば、さけなどのほかに、お肉の柿の葉寿司なんてのも。
私たちの会社も含め、今、柿の葉寿司を製造・販売している会社では、
色々なネタの柿の葉寿司を販売しています。

ということで、今回は柿の葉寿司のネタについてご紹介です。

■柿の葉寿司の定番ネタ

柿の葉寿司の歴史を紐解くと、元来、ネタには「さば」が使われていました。

柿の葉すし_さば

柿の葉寿司は奈良県南部・吉野地方の郷土料理です。
かつては、和歌山沖で獲れたさばを、行商人たちが、吉野の山村に売り歩いていたそうです。
吉野の村々は山奥に点在しているので、海の幸は貴重なもの。
さばを美味しく、長持ちして食べられるようにと、手近にあった柿の葉で包んだのが柿の葉寿司の始まりです。

詳しくは、こちらのnoteにも記載しておりますので、ぜひご覧下さい。

「さば」とともに、「さけ」も定番ネタとして、多くのお店で販売されています。

柿の葉すし_さけ

最近加わったネタかと思いきや、実は昔から食べられていたようで--。

これは、文豪・谷崎潤一郎の「陰翳禮賛(いんえいらいさん)」の一節です(一部、旧字・旧仮名遣いは修正)。

先達も新聞記者が来て、何か変わった上手い料理の話をしろと云うから、吉野の山間僻地の人が食べる柿の葉鮨と云ふものの製法を語った。
-(中略)-
それから別に鮭のアラマキを薄く切り、それを飯の上に載せて、その上から柿の葉の表を内側にして包む。
-(中略)-
試しに家で作ってみると、成る程うまい。鮭の脂と塩気がいい塩梅に飯に滲み込んで、鮭は却って生身のようにやわらかくなっている工合が何とも云へない。
私などには此の方が口に合ふので、今年の夏はこればかり食べて暮らした。

この文章が書かれたのが1939年ですので、少なくとも80年前には、さけの柿の葉寿司があったことになります。

この一節の後、谷崎は「こんな塩鮭の食べ方もあったのか」と感嘆する一文も残しています。

でも、なぜ、吉野で鮭?

この頃、吉野全体が林業で沸いていた時期です。
全国から吉野に集まった労働者のところに、地元からよく届いていたのが「塩鮭」でした。
これまで馴染みのなかった魚だったそうですが、美味しく、すぐにポピュラーな魚となったようです。
そんなことも、背景にあるのかもしれません。

■ゐざさが挑戦した新味のネタ

伝統を守りつつ、時代に合わせ、新たな味にも挑戦しようと、私たちが開発し、今、多くのお客様にご指示をいただいているネタもたくさんあります。
なかでも、「たい」と「あじ」は約20年前から展開しています。

まずは「たい」。

柿の葉すし_たい

ゐざさでは「真鯛」を使用しています。
長年、鯛のお寿司を桜の葉で巻いた「桜寿司」というお寿司を販売しており、そこにヒントを得て、柿の葉寿司に応用しました。
淡白な白身の「たい」ですが、私たち自慢の寿司シャリとの相性は抜群です。

「あじ」も人気です。

柿の葉すし_あじ

「あじ」は大衆魚の代表格。日本人なら好きな魚の一つではないでしょうか。
全国に柿の葉寿司をお届けしたいと考えていた当時、関西だけではなく、多くのお客様にご支持いただけるネタとして、あじの柿の葉寿司を開発しました。

この二つのほかに、「えび」もあります。

柿の葉すし_えび

みんな大好きな「えび」。
色目も鮮やかで、お祝いの席にはぴったりですよね。
そもそも、柿の葉寿司も昔は、お祭りの日など「特別な日」に食べられていたお寿司。
ご家族で囲む、ちょっと特別な日に最適な柿の葉寿司として、今はとても喜んでいただいております。

■豊富に揃える季節のネタ

先日のnoteにも書かせていただきましたが、当社は季節を重んじて商品開発を進めています。
なかでも、一番力を入れているのは、「季節の柿の葉寿司」

季節ごとに、ネタやシャリを変え、その時々の柿の葉寿司を販売しています。

夏は、シャリに一工夫。
わさび、ゆず、赤シソをシャリに混ぜ込み、それぞれにさば、さけ、あじを合わせています。

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暑い夏はどうしても食欲が落ちがち。
そんな時でも、さっぱりと食べられる柿の葉寿司です。

9月16日以降は、秋の商品のお届けとなりますが、もちろん、秋も限定の柿の葉寿司をご用意しています。
それについては、またの機会に・・・・・・。

■最後に

伝統的な郷土料理と思われている柿の葉寿司ですが、製造する私たちは、伝統を重んじつつも進化させています。
これからも、当社は現状に甘んじることなく、様々な商品開発を進めて参りますので、ご期待下さい!


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