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幸せを悟った男

「明日の朝はどうぞ目が
覚めませんように!」

男は毎晩そう願って
寝ていたようだ。

若い頃は青年実業家として
マスコミでも取り上げられていた。

テレビにも出演もした。
大新聞社のエッセイも執筆した。

ビジネス誌の特集に手記も書いた。
講演も依頼されて講演した。

そんな男は願い通り救急車で
救急搬送されてしまった。

心肺停止状態の患者がいて
ICUは手一杯で放置状態。

男はこのまま天に召されるかと
思ったが召されなかった。


天国の天使

ありがとうを26万回言った!

元日からありがとうを言い続けて
ついに26万回を達成した時に

精霊:「26万回言ったね。」

男:「あれっ!いつの間に!!」

精霊:「かなり言ったね。」

男:「61万回を目指している!」

精霊:「烏枢沙摩明王様も貼ったな。」


トイレの神様

男:「言っていたことが良く分かったよ!」

精霊:「トイレを磨くと心が磨かれる。」

男:「トイレ掃除が楽しくなった!」

精霊:「玄関も磨かれている。」

男:「心が磨かれていく気がする!」

精霊:「水回りもピカピカだ。」

男:「金運を上げたいから!」

精霊:「長財布も新しくしたな。」

男:「金運アップの為に購入した!」

精霊:「世界一幸せになったと鏡に言っているな。」

男:「毎日言い続けてきた!」

精霊:「幸せについて学んだか。」

男:「何も起こらないことが幸せか!」

精霊:「そういうことだ。」

男:「小林正観先生の言葉で悟った!」

精霊:「それで願いは叶ったか。」

男:「何かを成し遂げたらではないことに気付いた!」

精霊:「幸せに気付いたらしいな。」

男:「幸せであることに気付いてなかった!」

精霊:「幸せに順位は付かない。」

悟りの境地とは


幸せに気付くことが悟りの境地

男:「悟りの境地だな!」

精霊:「悟れたなら願いは叶っただろ。」

男:「ありがとう!」

精霊:「不幸という現象はない。」

男:「そうだな!」

精霊:「あるのは捉え方のみ。」

男:「俺は悟りの境地に達したのか?」

精霊:「悟ったかどうかはこれから。」

男:「苦しい時に試されるのか?」

精霊:「人間万事塞翁が馬。」

男:「雨があるから晴れることを喜べるか!」

精霊:「願いは半月で叶った。」


精霊は笑って答える


男:「全部あんたのお陰だ!」

精霊:「これからは人に幸せを・・・」

男:「人を幸せにするのが仕事だ!」

精霊:「若い頃から叶えたかった夢か。」

男:「そうだ!」

精霊:「何度も死を覚悟したから悟れた。」

男:「若い頃は遺書も書いた!」

精霊:「友人に救われた。」

男:「そうだ!救って貰った!!」

男の生い立ちは変わっていた!


毒が入っているとも知らずに飲もうとする男

この男の生い立ちは少しだけ
いや、かなり変わっている。

生まれて1歳半で母親から毒入り
ジュースで毒殺されそうになっている。

10歳で父親に刺されそうに
なって着の身着のまま夜逃げ。

両親から殺されそうに
なっても生かされていたようだ。

母親の口癖は
「もう一家心中するしかない!」

だから物心ついた時から
死を意識しながら生きていた。

このことは大手新聞の
エッセイにも書いている。

警察が土足で踏み込んで来たり
父親が刺されたり修羅場も見た。

家に泊まった男が刺されて死んだり、
組長が飲みに来たりした家庭環境。

5歳で母親が置手紙を残して家を出た。

「これは俺の修行だ!」
と決して涙はみせなかったという。

40度以上の熱を出していても
父親は呑んだくれて面倒は
みてくれなかったようだ。

秋山のおばちゃん


近所の秋山のおばちゃん

近所の秋山のおばちゃんが雨の中を
おぶって小児科へ連れていってくれた。

秋山のおばちゃんが
「気持ち悪くなったら吐いちゃってもいいからね!
こんな可愛い子を置いて出て行くなんて
悪いお母さんだね!」

男は
「俺のお母ちゃんを悪く言うな!
これは俺の修行なんだ!!」

と心の中で叫んだが・・・

「この雨の中、俺をおぶってくれて優しい
秋山のおばちゃんは良い人だ!」

と思って黙っていたそうだ。

のちに秋山のおばちゃんは子供3人を
残して家を出てしまったそうだ。

人生には色々あるのだ。

母親が家を出る原因らしき
事件があったそうだ。

男が幼稚園から帰って来たとき
母親が父親から説教を受けていた。

母親は正座して下を向いている。
父親は酔うと説教する男だったらしい。

突然、母親から
「けんちゃん助けて~!」と

助けを求められが怖くて動けず
母親を助けられなかった。

5歳だろうが男である以上は
助けなければならない。

いまでも弱虫だったと
思い出すだけで涙が出るらしい。

父親から殴られていた母親を
助けられなかったことが
家を出た原因だろうと後悔した。

男が修行だと考えたのはそのせいだ。

だから、高熱の中で今後の人生を
どう生きていくかを考えていた。

父親が育ててくれるなんてことは
微塵も考えなかったらしい。

まずどうやって働くのかを考えた。

牛乳配達だと重くて運べない。
新聞配達なら何とかなると思った。

まだ自転車にも乗れなかった。
そもそも家に自転車すらなかった。

どうにか正月を迎えたときに
母親は家に連れ戻されたらしい。

母親に対しては申し訳ない気持ちで
助けられなかったことを詫びたそうだ。

母親の口癖は一家心中の他に
「男は女を守るもの!
女を殴る男は最低だ!!」

これは耳にタコが出来るほど
聞かされたフレーズらしい。

今でも男は女を命懸けで守る生き物だと
真剣に思って生きている。

付き合った女性に必ず言うセリフは

「俺は優しくはないかもしれないが
暴漢が来ても必ず命懸けで守る!」

10歳で父親から刺されそうになって
夜逃げしてからは母子家庭だった。

少年時代からアルバイトをして
買い物をして夕食の支度をする。

母親の内職仕事を夜中まで手伝って
何とか生活していたが詐欺にも遭った。

母親に家を買うためボクサーになった男


強くならなければとボクサーになった

ボクサーになったのも母親に家を買うため。
強くならなければというのもあったらしい。

ある人物に見出されて起業家の道を歩む。
人生の最終目標は世界的な慈善事業家。

世界中の子供達に夢と希望を与えることが
起業する目的となった。

大人になっても何度も死にそうになって
大手術で何とか三途の川の手前から生還した。

師匠と二人で山で苦行も行ったらしい。
お陰で体質改善に成功したようだ。

アトピー性皮膚炎だったのに
美肌自慢になってしまったらしい。

何人かの師匠の元で修行を積んだ。
男は5歳から修行の人生を歩んでいる。

バブル時代は新規事業とかに
手を広げ過ぎてバブルが弾けた。

そして保険金で借金を返済しようと
母親に遺書を書いて実行しようとした
まさにその時に忘れ物に気付く。

忘れ物を取りに家に戻ると友人達が
夜中に集まって母親と会議を開いていた。

男の借金をみんなで何とかしようと
という会議だったらしい。

この忘れ物を思い出さなかったら
どうなっていたのかは神のみぞ知る。

これが20代後半の出来事である。

30代にはITベンチャーとして
マスコミの取材に追いかけられる日々。

IPO寸前で今度はITバブルが弾ける。
男は着の身着のまま拉致された。

知らない街で布団もない状態で
夜を過ごしていた。

「明日の朝はどうぞ目が
覚めませんように!」

と思っていたのは30代半ば。

何とかコンサルタントとして起業するが
外資系会社の社長に騙された。

そして、冒頭の
「明日の朝はどうぞ目が
覚めませんように!」

と願っていたのは50を過ぎてから。

天に召されなかった男は何を考えたか
病室を抜け出して本屋に向かった。

若い頃に読んでいた本をもう一度
読もうと考えたらしい。

その本はナポレオン・ヒルの
『思考は現実化する』

金も仕事もない状態だったが
男はめちゃくちゃ明るく笑顔になった。

精霊が徳を積んだというのは
この時のことを言っていたのかも知れない。


精霊と最後の会話

精霊:「徳を積んだ者だけが知ることがある。」

男:「知ること?」

精霊:「人の痛みだ。」

男:「これは経験者にしか分からない!」

精霊:「その経験を伝えなさい。」

男:「いざなぎ大学で?」

精霊:「失ったものを取り戻す場所を作りなさい。」

男:「いざなぎ大学はそういう場所さ!」

精霊:「悩める人を受け入れなさい。」

男:「一生付き合えるコミュニティを作る!」

精霊:「大切なのは人との繋がり。」

男:「幸せは人が運んで来るか!」

精霊:「学長として教え子は富ませなさい。」

男:「俺の目標は教え子総資産1兆ドルだ!」

精霊:「尖った人間にしか言えない夢。」

男:「次はいつ現れる?」

精霊:「願いは叶った。」

男:「これでお別れってこと?」

精霊:「そういうこと。」

男:「最後にもっさんのフォローをしたのは?」

精霊:「私。」

男:「やっぱり!」

精霊:「天国言葉は唱え続けなさい。」

男:「そうするよ!」

精霊:「人に優しく自分に甘く。」

男:「分かった!人に優しくするよ!!」

精霊:「無理なく出来る範囲で良い。」

男:「会えなくなるのは寂しいな!」

精霊:「これから沢山の人が集まってくる。」

男:「そうか!」

精霊:「人には必ず長所があることを忘れないように。」

そう言うと精霊は音もなく姿を消した。

男は壁に貼ってある天国言葉を唱えだした。

天之御中主大神様お助けいただき、
ありがとうございます。

天照大御神様生かしていただき
ありがとうございます。

終わり

世界一幸せになった男の3部作を
最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。

イイネをくれたらめっちゃ嬉しいです😃

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この物語は事実を忠実に書いておりますが
精霊と男の会話には一部フィクションがあります。

※画像はGrokで生成したAI画像も使用しています。


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