悠々天の旅

---

どこかの次元、時間の流れが緩やかに漂う小さな空間に、悠々天という名の神がいた。彼は、広大な宇宙の片隅でひっそりと生きていた。天の神々が人々の祈りを受け取り、世界を導いている間、悠々天は自身の小さな部屋で、ゲームや読書にふけっていた。そこには、膨大な量の書物、最新のゲーム機、無数のデバイスが散らばり、心地よいカオスが広がっていた。

彼の役目は、「何もしないこと」だった。実はそれが彼の神格だった。何も強制されず、ただ自身のペースで時間を過ごすことが、宇宙のバランスを保つ重要な役割だったのだ。

ある日、悠々天がいつものようにソファに横たわり、最新のRPGをプレイしていると、異変が起こった。部屋の隅にある古びた本棚が光り始めたのだ。「おや？珍しいこともあるものだな…」と彼はつぶやき、手にしていたコントローラーをそっと置いた。彼が近づくと、光はますます強くなり、やがて一冊の古い書物が棚から浮き上がり、開かれた。

その本は「古代の神々の旅」と題されたもので、表紙には壮大な冒険を示す絵が描かれていた。悠々天はその本に手を触れると、ふと気づいた。彼は長い間、自分の役目に従ってただ存在していたが、実はどこかに旅立ちたいという欲望が心の奥底に眠っていたことを。

本が彼を呼んでいる。何かが始まる予感がする。

「まあ、少しぐらい動いてみるのも悪くないかな」と彼は微笑んだ。

悠々天は、その本を携えて部屋の外へと一歩を踏み出した。その瞬間、彼の前に広がったのは無限の可能性を秘めた新たな世界だった。悠々天の旅が、いよいよ始まろうとしていたのだ。

---

第一章: 見知らぬ世界での出会い

悠々天が最初に辿り着いたのは、緑豊かな草原が広がる穏やかな世界だった。空には輝く双子の太陽が浮かび、風は心地よく、鳥たちが楽しげにさえずっている。彼は周囲を見回しながら、のんびりと歩き始めた。

しばらく歩くと、一人の若い女性と出会った。彼女の名前はリリィと言い、村の薬師をしているという。リリィは困惑した様子で、「あなたは一体誰ですか？」と尋ねた。悠々天は軽く肩をすくめて答えた。「ただの旅人さ。少し休憩がてら、この世界を見て回っているだけだよ。」

リリィはその答えに首をかしげたが、どこか安心した様子で言った。「それなら、どうか私の村に来てください。最近、村では奇妙な出来事が続いていて…あなたのような旅人なら、何か知っているかもしれません。」

こうして、悠々天はリリィと共に村へ向かうことになった。彼は自分が思っていた以上に、この旅に心を躍らせている自分に気づいた。

続く...