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どうしようもなくだめなとき
バイト先に、前職でとてもお世話になっていた人が来た。
新しい職場の人達と、取引先と、生き生きと仕事について語り、お酒を飲む。
わたしは生き生きと、仕事を語れるだろうか。自分の感じたことや考えたことを、人に伝えられるだろうか。コミュニケーションが取れるだろうか。
そこにいる人達がキラキラ見えて、手が震えてきた。
どうしても比較してしまって、この1〜2年、何をしていたんだろうと、そもそもこの生きてきた26年間、何をしていたんだろうと、きらりと光る才能のすべてに嫉妬してしまう。
すごい人が多すぎる。
私は向いていないことが多すぎる。
ミスもたくさんするし、お皿やグラスを割ったりする。咄嗟の判断ができないし、人の言葉がよく聞き取れない。スピードというものが苦手。
バイトが終わってなんだか、すごく疲れて、家に帰った。
帰ってすぐに、彼氏に「一杯付き合ってくれない?」と声をかけて、近くの焼き鳥屋さんへ向かった。
なんだかまとまらない言葉のそれをぶつけると、
「前からさ、変わりたい、変わりたいっていうけどさ、変わる努力はしてないと思うよ。変わらなくていいって、どこかで思ってるんじゃない?」
ぴしゃりと言われてしまった。
なにも言えず口をぱくぱくしてしまう。口から出ようとするのは言い訳しかない。
そうなんだ、そうなんだよ。
気持ちがずーんと、落ち込んで、変わらないのは変える必要がないと思っているから。
変わりたい、と言う前に、変わりたいならとっくに変わろうとしているはず。
そうだよなあ、と自分で納得して、不味いビールを飲んだ。
なんで生きなきゃいけないんだろうなあ。大変な思いして、税金や保険料払ってさ。
本当に心から欲しいと思っているのは平穏な時間で、なにもしたくないのかもしれない。エネルギッシュな人間が生き残る。
<ペッパーベリーのリース/自宅にて撮影>
#エッセイ
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