ひとりぼっちの宇宙戦争
先日藤子不二雄Aさんの訃報の話題になって、
「それにしても闇の深い漫画描いてる人でしたよね」
と言われた時、
「藤子不二雄をコロコロコミック読んでた世代ですけど、Fさんが時々出す短編SFさらに闇濃くなかったですか?」
と例に出したのがFさんのSF短編
ひとりぼっちの宇宙戦争
なのです。
主人公はごくごく普通で争い事とかが苦手なUFOマニアの中学生男子。
しかし彼こそが
最も平均的な地球人のサンプルとして細胞を異星人に抽出された地球人代表戦士に選ばれ、
自分のクローンと剣と盾による一騎打ちで闘わされ、
クローンに負けたら地球侵略を阻止するために生まれてはじめて必死で闘うのである。
侵略者である異星人側の同じ特性を持った個体同士を闘わせてその結界次第で撤退か侵略か決める。
という賭けを楽しむような、地球に執着もしていないような思考回路がいかにも傲慢で上位者思考で気持ち悪い。
とも思ったし、
普通の人間(中2くらいの男子)が相手を倒さねば。というレベルまで追い込まれるのは、
映画やアニメによくありがちな宇宙から来た圧倒的な脅威や星1つふっ飛ばしても構わない極悪人の襲来ではなく、
やらなければ滅ぼされる。とまで追い詰められ、自分と大して変わりの無い人間と武器を持って戦うときなんだよな。
という現実に起こる争いの真実を極めて縮小的に描いて下すった藤子不二雄F先生の名作です。
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