電波戦隊スイハンジャー#48
第三章・荒ぶる神、シルバー&ピンクの共闘
デルフィニウム1
おっす、おら魚沼隆文。愛しいみよちゃん…
日本一の米どころ、新潟県魚沼から離れ、東京の宿屋「したまち@バッカーズ」で働き初めて3か月。
のっけから貞操のピンチです。
朝目覚めたら、トランクス一丁の新メンバー、シルバーエンゼルこと野上聡介先生がおらにのしかかっているんだべな。
くるっくーくるっくーくるっくー。
ああ、東京は雀より鳩が多い街なんだべなー、とのんきに下町根津の朝のBGMを聴いてる場合じゃねえよ!
おらは、地元ではちと腕っぷしがある方だと思ってたけんど…見事に両肘と両膝の関節を極められて、身動きひとつ出来やしねえ。
ぐぉっ。これは、どのプロの格闘家顔負けの、完璧なマウント・ポジションだべ!
見上げる野上先生の顔には、マネキンのように表情がねえ。
体つきも細マッチョで、筋肉質で、腹筋も6パック。女だったら迷わず抱かれてぇカラダだ。
ああ…睫毛まで透明に近いグレーなんだ。こうしてみるとなんていい男なんだべな…はっ、いけねえいけねえ。
上京するとき父ちゃんが言ってた。
「ええか?美しすぎる男ってーのは、ゲイが多いんだべ。隆文は男に好かれやすいタイプだから気を付けろー」
昔父ちゃんに何があったかは、恐くて聞けなかった。
っておらって「お好きな人にはたまらないタイプ」なんだべか!?
野上先生って、野上先生って、やっぱり男もおいしくいただけちゃうタイプなんだべかー!?
だって、だって、朝だよ?
うわーん、じたばたしてぇよー!!
非常手段でコシヒカリレッドに変身して追い払うべか?
でも、変身アイテムの「精霊のミサンガ」が、右手首ごと先生に封じられてるべー!
その時、襖が開いて
「隆文君まだ寝てるのかい?ミーティング始まるよー」
と店のオーナーでササニシキブルーの勝沼さんがこの6畳間のスタッフルーム「いなほの間」に入った来たんだべ。
まさに地獄に仏!
勝沼さんの性格はエグイ悪魔だが、この際助けを求めるしかねえ…
「か、勝沼さ~ん…」かすれる声で、おらは助けを求めた。
予想通りというか、お坊ちゃんの勝沼さんは男が男に馬乗りなるという衝撃的なシーンを生まれて初めて見たのだろう。
襖を開けた姿勢のまま凍りついて、数秒か十秒間静止した。左手から、宿屋の英訳パンフレットの束が滑り落ちるのが見えた。
もうこんな状況なら、ふつう助けるよね?よね?
なのに勝沼さんはヤバいものに蓋をするようにパタン、と襖を閉めてさ、
「小一時間後にまた来る」
って感情の無い声で言ったんだべよ。
「勝沼さん、ミョーな大人の対応してんじゃねーよ!」
どーする?おらはどーする?
もうこーなったら「好きにしたまえむしゃぶりつきたまえー!」
と觀念して降伏するべか?
新しい意味で「男」にされちまうんだべか?
なし崩し的に浮気はやだよ~、みよちゃ~ん(泣)
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