『死にたくなったら電話して』
今回は本の感想を書きます。(感想というよりは宣伝文の様な気がするが…。)
『死にたくなったら電話して』李龍徳 (著)
この本はキャバ嬢に依存していく一人の浪人生の物語である。キャバ嬢に依存すると言っても、お金をつぎ込んで借金して自滅するとかそのような物語ではない。では、何に依存するのか?ずばり、キャバ嬢の思考に依存するのである。
初めはキャバ嬢の思考に困惑、拒絶していた主人公が、いつの間にかキャバ嬢の思考に自分自身も変化していくのである。精神的というか内面的(?)なな依存は恐ろしいなというのを読みながら感じた。一度はまってしまったら、もうその思考から抜け出せないからである。この本の帯にも「一度、その世界に入り込んだら抜け出せない。」と書かれているように他の価値観、思考をシャットアウトしてしまうことが出来る。主人公はキャバ嬢の思考にはまり、以前の自分だったら言わない様な言葉を平然と他人にぶつけていく様になっていき…。とまぁ、主人公がどのように変化していくのかは是非読んでみて欲しい。
この物語は決して万人受けするような物語ではないが、小説によくある人間の温かさや優しさを描いた様な物語に飽きてしまった人や少し変わった物語を読んでみたいという人にはお勧めである。