大失恋後のキッチン
去年、はじめて大失恋をした。
片思いが実らなかったことも、別れて悲しかったこともあるけど、あんなにも大好きだった人と別れたのははじめてのことで、はじめての気持ちや、はじめての感覚をたくさん経験した。
急に振られて最初に思ったことは、どうしようってことで、この先の人生を彼ありきで考えていた私は完全に思考が止まってしまった。
何をしてても涙が出てきて、何の気力も起きなかったけど、時が解決するということや、この感情は今覚えておかないと忘れるなと、頭でわかっていて、変に冷静だったりもした。
今まで好きだった歌も、そのとき聴くと全部塗り替えられそうで聴けなくなりしばらく音楽を聴かない日々が続いた。
散々泣いて、話を聞いてもらっていたら、だんだん現実なんだなあと実感が湧いてきて、いつまでもくよくよしてるわけにはいかない!!!と急に思ってからの立ち直りはすごくはやかった!
本当に元気になって、でもやっぱり落ち込んで、大丈夫な気持ちと大丈夫じゃない気持ちをだんだん擦り合わせていって、なんとか普通に過ごせるようになった。
それからの毎日は、いろんなものが染みる染みるで、聴けるようになった歌も、え、こんな意味の歌だったの?って気付くことや、その気持ちすごいわかるって思うことが増えた!
そのなかでも、吉本ばななさんの『キッチン』にある3つの話は、逆に前は何をもってこの本を良いと言っていたんだろうと思うくらい、大失恋後の私の気持ちがぴったり書いてあった。
話は、失恋ではないけれど、大切な人を失ったときの感情が、本当にその通りだよと思いながら読んだ。
「胸の内が嵐なのに、淡々と夜道を歩く自分の映像がうっとうしかった。」
「夜眠ることがなによりこわかった。というよりは、目覚める時のショックがものすごかった。」
「真昼にこうしてふと思い出しても、泣かずにいられるようになったことが妙にむなしい。果てしなく遠い彼が、ますます遠くへ行ってしまうように思える。」
「それでも、突然息が楽になる瞬間が確実にあるということのすごさが私をときめかせる。」
この4つがそのときの私が感じたことそのものだった。
やっぱり時が解決し、大失恋し絶望したことが嘘のように毎日を過ごしている。
たまに思い出しては切なくなるけど、あのとき感じたことはこれから先忘れたくないなと思い、書き残すことにした。
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