2020/09〜 DIY水冷PC諸々...

クーラントを浴びる覚悟はあるか

事の始まり

人のIYHを覗きに行ったのが全ての間違いだった。
IYHを覗く時、IYHもまたこちらを覗いているのだ。
人がPC買ってるの見たら自分もほしくなりますよね。そういう事です。

パーツとか

CPUとかGPUの構成などをつらつらと書いていくのは無粋なので、多くの人間にとってあまり馴染みがないであろう水冷関連のパーツについてリストアップしていきます。

ケース

・Lian Li O11 dynamic

水冷PC組んでる人間の3人に一人ぐらいは使ってそうなケース。2020年12月現在3つあるサイズの中で真ん中のやつです。安い、水冷しやすいレイアウト、2面ガラスショーケースデザインで人気のケースですが、罠もあるので後述します

リザーバー&ポンプ

・EK-Quantum Reflection PC-O11D D5 PWM D-RGB

リザーバーとポンプは一体型かつディストロプレートになっているEKWBのO11専用の物を選びました。リザーバーっていうのは水をためておくタンクと同義です。冷却面で意味があるわけではなく、極端な話なくても大丈夫ですが初回運用時にループに水を循環させるのにあった方が便利なのと、運用していくうちに多少冷却水は蒸発していくので、水量を増やす意味もありだいたいは使われています。
EKWBからO11向けのディストロプレートは3種類出ており、フロントマウント2種とサイドマウントが1種です。フロントマウントかつD5ポンプのやつを見た目でチョイスしました。様々な葛藤がありましたが、そもそもディストロプレート自体が罠だったのでこれも後述します

水枕

・Alphacool Eisblock Aurora Plexi GPX-N RTX 3090/3080 Gaming X Trio with Backplate

CPUの水枕はMB付属のモノブロックがあるので、購入したのはGPUの水枕のみです。EKWBじゃなくてAlphacoolにしたのは購入当時まだ該当GPUの対応水枕が発表されてなかったのと安かったからです。EKWBで同等品を揃えると微妙に高い上、バックプレートも別売りで、だいたい1万円ちょいぐらい差額が発生します。値段変わんなかったらEKの水枕待ってたと思います。ぶっちゃけ冷却性能はあんまり変わらないみたいですが、見た目はEKの方がかっこいいんですよね

ラジエーター

・EK-CoolStream PE 360
・EK-CoolStream SE 360
・Thermaltake Pacific C240 Radiator

水枕の熱を吸って熱くなった冷却水を冷やすのがラジエーターです。EK2つにThermaltakeが1つ混じっていますが、これは急な構成変更で国内ですぐ手に入るパーツをチョイスしたためです。トップにちょい厚めの360、サイドに薄い360、ボトムに薄い240です。本当はラジエーター2つのつもりだったんですが、300W超えのGPUの排熱に危機感を覚えたため急遽3ラジエーター構成にしました。が、正直240mmラジエーターは追加しなくても良かったような気がします。ないよりはマシ程度の変化です。EKのディストロプレートを使ってるのでThermaltakeのラジエーターは微妙に穴の位置が違い、配管にちょっと困っちゃったので、やっぱりEKならEKで揃えておいた方が良かったなと思います

フィッティング

・EK-Quantum Torque HDC 16
・EK-Quantum Torque Rotary 90°
・EK-Quantum Torque Rotary 45°
・Alphacool Eiszapfen PRO 16mm HardTube fitting
・Alphacool Eiszapfen angled adaptor 45° rotatable G1/4
・Alphacool Eiszapfen L-connector rotatable G1/4
など多数...

フィッティングというのは水冷システムの水枕とチューブを繋ぐための金具(継手)です。正直そんなにかかるとは思ってなかったのですが、今回の水冷パーツの中で最もお金がかかったのはこいつです。何故なのか・・・
今回は見栄え重視でハードチューブで組みましたが、ソフトチューブなら半額ぐらいで済んでた気がします。AlphacoolとEK混じってますが、これは最初フィッティングは全てAlphacoolにしようとAquatuningで注文していたのですが、Aquatuningがあまりにも発送が遅いため見かねてEKで注文し直したためです。GPUの水枕はAquatuiningで頼んでいたため先にCPU周りの水冷化からはじめ、後からGPUは水冷化しました。なので基本CPU周りはEK、GPU周辺のみAlphacoolのフィッティングを使用しています。
角度表記やRotaryのような単語が入っているものは角度付きのアダプターで、フィッティングのようにチューブをつなげる役割はないので"基本"なくても問題はないですが、パーツの向きなどでチューブの取り回しが難しいところにはこう言ったアダプターで角度をつけて取り回し易くします。アダプターなのでソフトチューブハードチューブ関係なく同様のものが使えます

センサー

・Bitspower Touchaqua Digit Thermal Sensor

水温モニタリング用のセンサーです。ただし数字を表示できるだけで温度をマザボに入力したりすることはできません。手持ちのマザボに温度入力用の2pinヘッダーがないためこれで目視でモニタリングするだけです。なのでないよりマシ程度のモノです

つらつらパーツを並べたところで、今回遭遇した様々な罠を取り上げていきます。

水冷化したら冷えるんだろって?まぁそれはそうなんですが。。。効かないところだったり、逆に水冷化によって受けた弊害もあったのでまとめていきます

・CPUがGPUの熱を吸う

今回はCPUとGPUの経路が同一のオーソドックスな形の水冷に仕上げましたが、当然GPUの熱が上がってくると水温も上昇します。つまり、GPUしか回してないような状況でもCPUも一緒にあったまってきます。理想としてはGPUとCPUの経路は分けた方がいいんでしょうが、今回はディストロプレート使っちゃってるのでね・・・

・VRAMの熱がやばい

これは3090特有の問題ですが、3000番台に乗っかってるGDDR6Xはクソ熱い上に3090は表面だけでなく裏面側にも実装されています。フロント側は水枕で直接冷やせますが、バックプレート側は冷やせません。なのでマイニング 回してる時なんかは平気で100度超えちゃったりします。ファン絞ってるからというのもありますが正直これはアウトなので、バックプレート水冷が選択できるなら確実に選択すべきところかなと思います

・部屋が暑い

デスクトップPCの宿命です。いくら水冷といえど発生した熱は無にならないのでぶん回し続けると部屋はやっぱり灼熱になります。

O11の罠

O11、完全に見た目で買いましたが、やっぱダメっぽいです

・窒息

O11、クソペラペラな割りに排熱性能クソ悪いです。NZXTのケース使ってた時もなんだこの窒息ケースと思ってましたが、おそらくそれ以上に窒息です。性能を求めるならフロントのガラスパネルは捨て去りましょう。付属のメッシュフィルターとか論外です

・通常のポジションで入るGPUが少なすぎる

これは本当に罠なんですが、GPUは水冷化するとクーラントの出入口であるターミナルがぴょこんと上に伸びることが多いため大体数センチ背が高くなります。O11は水冷前提ケースの割に横のスペースが結構シビアで、この背が高くなったGPUだと入らないものが多いです。リファレンス基盤は比較的背が低い傾向にあるため大体大丈夫ですが、オリファン基盤はより高い傾向なので大体アウトです。そのためオリファンモデルのGPUを積もうと思うと縦設置が必須だったりします。なんでや・・・
ちなみに後発のO11 XLやO11 miniではこの辺はもっと幅が広くなって問題なくなってたりします。なので無印O11は間違っても選択しないようにしましょう

ディストロプレートはやめろ

やめろ

いや。本当に

・排水めちゃ辛い

これがマジで辛いです。本当にマジで。DIY水冷はメンテナンス考えて組んだ方が良いとはよく言われますが、ディストロプレートを使っちゃうと水路が大体水平方向にまとまるので排水がマジでしにくいです。加えて見栄え重視でハードチューブ以外使う人はほぼいないと思うのでそれもあってメンテナンス性は最悪だと思います。クソ重いマシンで水平の水路を組む時は本当に体を鍛えておいた方がいいと思います

・構成が結構縛られる

水路がある程度固定されてしまうため、取れる選択肢が結構少ないです。あんまり考えなくてもいいのは良いところなんですが、厚めのラジエーターは無理だったり、排水のためのボールバルブを仕込みづらかったり制約が多いです。組みやすさ重視ならまず選択肢から外した方がいいです

・ポンプが共振する

これはフロントマウントが故かもしれませんが、内蔵ポンプがものすごく筐体と共振を起こします。元気よくポンプ回そうものならけたたましい音が響き渡るため、マジでクソうるさいです。なのでめちゃくちゃ回転数落として使ってますが、これで2~5度ぐらい冷却性能落ちてます。構成変更の機会があればポンプは別で追加したいなと思います

・Alphacoolのフィッティングが合わない問題

これ結構困りました。ディストロプレートって結構フィッティングのポートが密集してるのもあって、隣接してるポートの間は結構狭かったりします。僕のはEKのディストロプレートですが、Alphacoolのフィッティングは横幅広すぎて最後まで締め切れていませんでした。ぱっと見わからなかったのでリークテストで判明するまで謎でしたが、マジで事故りかけたのでこの辺は注意した方が良いです。ディストロプレートはいろいろ決め打ちで作ってるものが多いと思うので、使うならメーカーは極力統一した方がいいと思います

まとめ

半年ぐらいほぼ毎日つけっぱなしで使ってきましたが、元々使ってたWindowsマシンと比べると音はめっちゃ静かです。ファン回転数固定で結構絞って運用してるので当たり前なんですが、それでもファン回転0とはいかないので多少ノイズは残ります。またGPUのファンノイズが消えた結果、コイル鳴きがすごく気になり始めました。ノイズレスなマシン実現はまだまだ難しいですね

水冷マシンを組んでみて分かったことはちゃんと手順踏んでれば事故ってもある程度なんとかなることと、水抜きのめんどくささです。チューブを曲げて切るのは時間がかかるのを除けば意外と大したことはなかったです。ただやっぱりメンテナンス性とかいろいろ考えるとソフトチューブの方が手軽だしフィッティングも最小限で済むため低コストだと思います。見た目カッコよくするのが難しいので今回は選びませんでしたが

性能自体は大幅に向上するわけではないのでOC目的で水冷化はあんまりおすすめしません。とにかくファン回転数を絞って静音化を目指すというのは悪くはないですが、空冷マシンと比べるとファン数が増えるためアイドル時のノイズはでかくなる傾向にある気がします。アイドル時にファン回転を止めるような設定にすれば良いかとは思いますが、CPU温度をソースにするのは上下が激しくて結構煩わしいので、水温でのファン制御が望ましいかなと思います。今回は外部から温度センサー入力のないマザーボードだったためやりませんでしたが、割とマストなので温度センサー入れられるファンコンを導入しようかなと思っています

今回のことの始まりとしては他人のIYHでしたが、Mac環境からの移行を考えてのことでもありました。MacProが拡張性は戻ったものの納得いくスペック・価格で無くなってしまったため業をにやしてWindowsのワークステーションを組んでしまいましたが、やっぱいろいろ辛いので新しいMacProがまともなスペックで出ちゃったら飛び移ると思います。今のAppleを見てるとちょっと怪しいですけどね。助けてくれよジョブス

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