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「教師やめるわ」中3息子のかけたことば
鬱を発症して6年が経ったころの話。
1年ほど休職生活を送っていた私は、少しずつエネルギーが溜まりだしていたのだと思う。
ある時ふとこんな考えが浮かんできた。
「私、いつまでこんな生活するんやろう…」
「毎日家にいて、うじうじ悩んでる今の状況を変えたい!」
「よし!教師やめよう!」
とてもありがたいことに、休職中も金額は減るがお給料をもらえていたので、息子と二人で慎ましく生活する分には金銭的な不安はない状況。
だけど、それに甘えて、その環境に縋っている気もしていた。
ただ、このままでは今の状況から抜け出せない…
環境を変えることを決意した。
「オカン、教師やめるわ。」
受験勉強中だった息子に突然宣言をした。
「え?今の安定を捨てて?」
これが第一声。それはそうだと思う。
「このまま、うじうじしてるの嫌なんよ。」正直に言った。
「やめて何するん?」
「わからん。でも、全然違うことしてみたい!」
「・・・・・・」沈黙。
「わかった。俺のオカンは素敵な女性やから何やっても大丈夫やと思う。でも、また教師に戻りたいって思う時がくるかも知れんから、その時のために教員免許の更新だけはしときなよ。」
今思い出しても泣けてくる。
こんなに成長していたんやなぁ…と感動した。
というか、私よりよっぽど大人じゃない?
今までお世話になった人たちに決意を伝えると口を揃えて引き留めてくれた。
「元気になったらまたバリバリ仕事できるんやから、それまでゆっくり休めばいい。」と言ってくれた。
だけど結局、私は教師をやめた。
父は他界しているので、母にそのことを報告。
「自分の思うようにすればいいよ。」
母はいつも私の思いを尊重してくれる。
息子と母が見守ってくれる。
だからこそがんばろうって思える。
息子は現在大学生になり、体育教師を目指して勉強している。
私も身近にいる人を支えられる存在になりたいと思う。