「~場所に縛られない”LivingAnywhere”な生活は、人にどんな変化をもたらすのか?~私の働き方実験 #研究報告書 」
◆実験テーマ
指定企画LAC:場所に縛られない”LivingAnywhere”な生活は、人にどんな変化をもたらすのか?
◆実験の目的と背景
私は今まで、会社所属の調理師という職業についていたので、2日以上の連休がとれなかったり、テレワークは一切できないという仕事環境でした。
しかして、3月末に退職しフリーランスのデザイナーとなり、場所に縛られずに仕事ができる環境を手に入れたので、この機に思い切って、全国各地を仕事をしながら見て歩けたら素敵じゃない?と、思っていたところに、この研究員制度の募集がぴたりと合って、すかさず応募しました。
今回の移動の拠点を提供してくださっているLivingAnywhere Commonsは、以下のような趣旨を掲げて活動されている団体です。
「場所」という制約を外したとき、自分自身にどのような変化が起きるのだろうか。その変化をつぶさに観察して、素敵な結果がでたら、みんなに共有したいと思います。
◆検証したいと思っていたこと
どうやら、人間は探求心を満たして、なにごとかが腹落ちすると、幸福を感じ、諸能力も向上、さらにやる気も上がるらしいので、六か月かけて、今より前進できている私を目指してみたい。
◆研究活動の概要
全国各地を回りながら仕事をすることで、自分のメンタルや能力値にどんな変化が起こるかを、克明に観察記録して残すこと。
それとともに、幸福度の変化についても観察することによって、平行で行われている「幸せを追求した活動で、幸福度は高められるのか」の研究員の方とも、情報の共有ができればいいと思います。
以上は、最初に書いた研究計画書からの転用です。以降が最終報告書の本論となります。
◆どのような活動をしたか
研究員活動を開始して、意識的にいろいろな場所へ出向くようになったために、各拠点で様々な人に会って刺激を受け、連鎖反応的に次の新しい活動がはじまっていくという流れができてきました。
一か所に定住して、会社員をしていたときとはかけ離れた、さまざまなことを短期間のうちに体験して、我ながらよくやったなと振り返って感心するほどの濃密さでした。
以下に、新しく始めたこと、経験したこと、行った場所を簡易にまとめてみました。
6月
【研究計画書】私の働き方実験 ~場所に縛られない”LivingAnywhere”な生活は、人にどんな変化をもたらすのか
・「kindle出版プロデューサー養成講座」10月まで受講
7月
・個人事業主申請をして、デザイン会社を立ち上げる。
・岐阜県多治見市でトレーラーハウス読書会のスタッフを務める。
告知用のLPサイトも作成。
・長野の飯山で3年に1度の奇祭「柱松柴燈神事」(はしらまつさいとうし
んじ)(国重要無形民俗文化財指定)に参加。
・ハンマードダルシマーという楽器をヤマハ音楽スクールで習い始める
・Vtuberモデル作成講座で学習開始
8月
・北八ヶ岳の白駒池に苔観察会に行く
・初LAC宿泊。LAC館山「第2回 Creator School@千葉館山 ~はじめての動画制作」(体調不良で初日撤収。無念)
・LAC石巻滞在(初の四日間連続泊)
・天狼院ライティングスクール受講(12月まで)
9月
・LAC熱海
・LAC大阪今里
・【#中間報告書】私の働き方実験 ~場所に縛られない”LivingAnywhere”な生活は、人にどんな変化をもたらすのか?
・LAC熱海(二度目) Kitenオープニング参加
・LACひたちなか マクラメ講座参加
・LAC石巻の縁でroopt神楽坂のDAOに参加
・あたラボアート部「メタバース展」参加
10月
・鎌倉建長寺でWEB3.0とNFTアートを学ぶ三日間合宿に参加
・上記がきっかけで、各種DAOに参加
・浅草で「日本一早く“3日間”で原型からガレージキットを作る初心者向け教室」に参加
・寿司教室に通学(4回コース)→仕事で試食会のシェフを依頼されたため、技能強化で習うことに。
・第二種電気工事士・資格試験受験
・朝渋「音楽部」の演奏会にハンマードダルシマーで参加
11月
・群馬で稲刈りに参加
・あたラボアート部「メタバース展」参加
・居合、茶道、砲術の稽古はじめる
・LAC屋久島 屋久島deep森林浴フォトリトリート参加
12月
・LAC石巻 Roop奥松島DIYワークショップ参加
・LAC館山 忘年会参加
・研究員最終報告書提出
・TOEIC800点獲得用勉強開始(英語のメンターをつけた)
・寿司教室再受講(来年度5月までの長期コース)
今後の予定
・1月「沖縄しまむすびワーケーション」に参加 多良間島にて〜しまんちゅと島時間を、自然の恵みを、五感で感じる10日間〜
・3月「日出る国から日の沈む国へ 2023~星野先達と行くモロッコ~」
◆結論と根拠・気づき
<実験活動から得られた結論>と<その根拠><そこから得られた気づき>
人は行ったことがない場所に行くなど探索の度合いが高い日には、より幸せを感じる。は真でした。
今迄に行ったことのない場所への一人旅は、最初はわくわく半分、不安半分でしたが、行ってみるとどこででも暖かく迎えていただけて、コミュマネさんをはじめとした方々が、現地探訪をサポートしてくださり、仕事をしながら拠点を楽しむことを満喫できました。
そのため、今は新しい拠点に行くことは純粋にわくわくすることになっています。
自宅に居て仕事をすることよりも、エキサイティングで新しいアイディアも浮かび、より活動的になることが証明できました。
各拠点での友達も増え、何度も同じ拠点に行きたいという思いが湧きました。そして繰り返し行くことによって、土地の見方や体験の深度がふかまり、土地への愛着が増すことがわかりました。
各拠点に実際に足を運ぶことによって、今まで「情報」としてしかしらなかった土地への理解度が深まり「情報知」ではなく「身体知」へと置き換わる体験をしました。
そして、いろいろな土地をまわり、様々な経験をすることで痛感したのが「自分は世の中をぜんぜん知らない」という事実でした。
いろいろな人に会って、出会った人の数だけ価値観があることを知り、それを腹落ちさせることで、私自身のものの考え方の幅が大きく広がりました。自分はとても狭いところで考えを巡らせていたことがわかり、改善したいと思いました。
いろいろな生活があることも知りました。
行く先々で、いろんな笑顔に迎えられ、良くしてもらい、土地を一緒に歩いて、土地の名物を食べ、海辺を歩き、山に登り、川辺で思索し、稲を刈って、味噌をつくり、自転車で屋久島半周75キロを駆け抜けました。
肩を組んで歌い、魚を釣って、焚火をしながら星を見上げました。
土地の記憶を見聞きし、嬉しいことも悲しいことも、本当にたくさんの話を聞いて、酒を酌み交わしながら、なんだか心が近づいていくような心持になりました。
そんななかでふと「ひとり」を感じて、むしろほっとしたこともありました。
悲しいとか口惜しいとかでなく、ただ自然の美しさと、あたたかな思いやりが頬を濡らすことがあることを知りました。
◆研究に関する考察・これから~振り返りも含めて
知らない土地に行くたびに、町を活性化しようとしたり、自分の野望を掲げていたり、守りたいものを守ろうと一生懸命になっている、様々な夢を今実現しようと日々生き生きと笑っている人に沢山出会いました。
そういう人をみていると、気持ちがうずうずして、わあ、私には何ができるだろう、今、何ができたら、私は嬉しくなるだろうと常に考えるようになってきました。
この研究員活動のキモは六か月毎日つける「日記」でした。
毎日を漫然と流して過ごすのではなく、一度立ち止まって文字化するという作業は、自分が何に興味を持っていて、何が楽しくて、何が嫌なのかをとてもはっきりさせる行為でした。
その結果「やりたくないことはとことんやらず、好きで決めたことは徹底してやる」という自分像を、はっきりと浮かび上がらせてくれました。
こうして自分の深堀りをしていく行為は、やがて明確に「この先自分がやりたいこと」の形をわかりやすく明示してくれることになったのです。
私の旅先には、ネット世界も含まれていました。
WEB3.0とNFTアートを学び、さまざまなDAOに参加して農業にもかかわるようになってから、(友人の紹介で農業DAOに参加し、首謀者の方々に直接会いに行ってきました)日々の食事に困る人が居ることを知りました。今まで、知らなかった自分の知識の浅さに愕然とするとともに、もっと世の中を知る必要があると肝に銘じるきっかけになった出来事でした。
私は人が笑顔で食事をしているのを見るのが好きです。私が作ったもので笑顔になってくれていると、もっと嬉しいと感じます。
成長期の子供や、メンタルや体調を悪くしている人には、適切な栄養素を、満足のいく内容の食事で提供することによって、劇的に改善させられることを経験則として保有しています。
食べたい人に「食べることによって生きる力が湧くような」きちんとした食事を、廉価で提供できるシステムづくりがしたい。子供にはタダか皿洗い程度でいいから、寝る前に幸せな明日の夢を描けるように、思いっきり食べてほしい。
そんな望みが、最近頭をもたげてきて、そのために各地の類似施設の業態を調べたり、食材の流れを把握するために、農業と漁業の流通の中で仕事をすることをはじめました。
私が話をすると、みんなこぞって、今それをやっている方を紹介してくださったり、場所をいつでも提供すると言っていただけるようになりました。
しかし、ここで慌てて発進してずっこけることはしたくないので、しばらくは日本の食の在り方を知るため模索したり、海外の事例を実際観に行きたいという欲が湧いているところです。
そのためにどうしたらよいかを考えて、せっかく仕事の都合で寿司を習い始めたのだから、この技術をある程度きわめて、外貨を稼ぎ資本金をつくりながら、世界を巡り、世界の施設の調査をしながら、世界の人と繫がりに行こうと思い立ったところです。
来年はTOEICと貿易検定C級もとって、国際ハンドキャリーのバイトをしながら、世界を見て歩こうと思います。
こうやって、新しい方向性が定められてきたのは、全てこの研究員制度で旅をはじめて・日記をつけてきたからだと思っています。
書くことは自分を見つめなおし、世界の様相を切り裂いて、新しいことばで、新しい視点を紡いでいく行為でありました。
新しい夢をもっと開いていくための、機会を授けてくれた、この研究員制度と一緒に歩んでくださった同期の皆様、本当にありがとうございました。
明日の目標ができて、始めたころの数倍くらい、生き生きと仕事ができています。研究員が終わっても旅は続きます。