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SILENT HILL: The Short Message 初見プレイを終えて
作成:2025年1月6日
更新:2025年1月7日
※この記事には "SILENT HILL: The Short Message" のネタバレが数多あります。
まだ未プレイでネタバレを避けたい方は、この記事を読まずに閉じることを推奨します。
※この作品にはインターネット上に共有する上で「動画およびスクリーンショット投稿ガイドライン」が公式に設けられており、それに基づき記事を作成しております。
これからプレイする予定の皆様は、必ず公式のガイドラインもお読みください。
(記事のカバー画像は、公式サイトで配布されているSNS用の素材を使用しております。)
※公式にも警告されておりますが、この作品には「自殺、自傷、虐待、トラウマ、いじめ等」の表現が含まれております。
以下は公式ホームページやゲーム起動時に出てくる注意喚起を引用しておりますので、こちらも最初にお読みください。
もし自分が自殺や自傷を行うリスクを感じたら、専門家に相談し、自殺や自傷の防止を目的とした専門的な助言、支援、また治療をお受けください。
今すぐ助けが必要な場合は、お住まいの地域の相談窓口や最寄りの病院にご連絡ください。
もし、身近な人がそういう悩みを抱えていると気づいたら、声をかけてあげてください。
あなたの勇気ある一歩が、かけがえのない命を守ることにつながります。
(日本国内)https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
(海外)https://www.konami.com/games/silenthill/help/
※記事には私個人の考察(想像や妄想)も含まれます。
「そういう考え方もあるかもね」くらい優しく受け取っていただけますと幸いです。
長文なので暇つぶしに読むことを推奨します。
1.はじめに
おはこんばんにちは。弥栄です。
喪中だったため、簡易な寒中見舞いのような挨拶となりますが、今年も宜しくお願い致します。
新年の初投稿の記事は、PlayStation5のダウンロード専用ソフト " SILENT HILL: The Short Message " を初見クリアした感想について綴ります。
SILENT HILL: The Short Message 公式ホームページ - KONAMI
実はこの作品、昨年10月にリリースされた "SILENT HILL 2" (リメイク版)の発売よりも半年以上も前の2月に、しかも無料で配信されていたのでした。
私が本編2作目のリメイクについて知ったのは発売直前の時期で、この新作を知ったのも実はこの記事を編集している前日のことでした。
「サイレントヒルシリーズを知らない初心者でも遊べる独立した短編物語」、「短編なのでサクッと短時間で終わる」とのことだったので、早速インストールしました。
結論から言うと「無料でこんなにボリュームのある作品が遊べて本当に良いのか!?」と戸惑うくらいには、素晴らしく良い物語でした!
私は行動が何事もゆっくりマイペースなため、クリアに要したプレイ時間は約6時間でしたが、攻略が上手い人は2時間程度でクリアできるかと思われます。
トロフィー制もなく、全面クリア後に周回する必要もない、マルチエンディングでない仕様ですが、とても満足できました。
これまでと同様、登場人物のトラウマを紐解くサイコロジカルホラーとして完璧でした。
短編(ナンバリングされたタイトルでない外伝のようなもの)とはいうものの、これは令和におけるサイレントヒルシリーズの新作といっても過言ではないでしょう。
「サイレントヒル」シリーズにおいて、一番大好きになりました。
ヘッドホンかVRを装着して遊んだら、よりスリリングになること間違いなしです。
それでは、無事にクリアできて溢れ出るクソデカ感情等をここに昇華させます。
2.令和の時代に生まれ変わる「サイレントヒル」
今回の物語の舞台は、ドイツにあるという都市ケッテンシュタット(架空の都市)。
本編シリーズの舞台だったアメリカから遥か遠方の地ですが、しっかりサイレントヒルです。
毎度お馴染みの濃霧に包まれた寂れた町です。
主要な登場人物が抱える「心の闇が具現化された精神世界」に、主人公アニタが迷い込みます。
これは少なくとも「サイレントヒル」シリーズ共通で大前提の世界観ですね。(心に闇を抱えていない人達には、ただの普通の町に見えています。)
今作のポイントは「現代社会の闇」を強く反映させていること。
フィクションだけれど、ケッテンシュタット市の歴史にリーマンショックや新型コロナウイルスに伴う世界的な社会情勢の混乱を絡めていること、特に主人公アニタやその友達の抱える心の闇は「昨今の若者の生き辛さ」をストレートに取り扱っており、非常に感情移入できました。
ほんの少しだけ日本の文化や桜もモチーフにされていて、これは海外のユーザーにもウケるだろうなと好感度が高かったです。
また今作ではクリーチャーを鈍器で殴ったり、銃で攻撃することは一切ありません。
とにかく執拗に追いかけてくるクリーチャーから逃げます。逃げ切ってください。
これはメタ的に考えると「未成年にそんな物騒な物で応戦させてはいけない」という側面もあるのかもしれませんが、この「直接相手にせず逃げること」そのものにも意味があると私は解釈しました。
「命に関わる、どうしようもない状況からは、逃げても構わないんだよ」と。
同じくコナミによる「バイオハザード」シリーズも、当初アンブレラ社のTウィルスに始まり現在は大きく変化していますが、「サイレントヒル」シリーズも今作を皮切りに新たな展開が期待されます。
短編ゆえに人により物足りなさを感じるかもしれませんが、私は「こういうものもあってもいいんじゃない?」と思う派です。
私は遊ぶ順序を逆にしてしまいましたが、今作を遊び終えた後に改めて本編2のリメイク版を振り返ると、また違った見方ができて「サイレントヒル現象とは、そういうことだったのか…」とゾクゾクしました。
ちなみに「サイレントヒル2(リメイク版)」の感想については、こちらの記事をどうぞ。
3.ケッテンシュタット市の歴史
順を追って綴りたいので、まず物語の舞台であるケッテンシュタット市の歴史について。
物語を進めていくうちに明らかになりますが、ざっくりまとめると、ケッテンシュタット市は国外から移り住んだ人達が多かった影響により、独自の文化が形成されていました。
昨今で言われるところの「オカルトや新興宗教の類」ですね。
1930年代には工業都市として豊かな時代もありましたが、その社会の流れを後押ししていたのが、ある日系人女性の占い師の助言でした。
当時の市民達は、その占い師を聖人のように讃えていました。
しかし、その流れが大きく変わってしまう悲劇が起こります。
市の経済の要である工場で大規模な火事が発生し、その死傷者数も多数となってしまいました。
時を同じくして、その占い師は病に伏せって病院に入院していましたが、工場に関する話を耳にしたショックから自殺してしまいます。
どちらの事件も全く別の出来事であるにも関わらず、世間は悪戯に「あの占い師は、魔女だったのではないか?」、「工場の火事は、あの魔女の呪いではないか?」、「いや、政治的な陰謀によるもので自殺でなく暗殺されたのでは?」などと好き勝手に虚実無根の噂を広めてしまいました。
当時はインターネットもない時代だったといえど、このようなことを聞かされた本人には、たまったものではなかったでしょう。
その出来事を境に、ケッテンシュタット市は次第に衰退してしまいます。
若者達は市外へ流出して過疎化に拍車がかかり、市内の経済状況や治安も悪化する一方でした。
その状況を打破すべく、二度の市の再開発事業も企画されていましたが、リーマンショックや新型コロナウイルスの世界的流行の煽りを受け、その企画も頓挫してしまいました。
夢も希望も見出だせない、市内に生まれ育った10代の若者達の自殺者数は、他所と比べ異常なほどに多く「自殺の名所」まで出来上がる始末となってしまいます。
この物語は、そんなケッテンシュタット市で生まれ育った主人公アニヤと、その友達2人の「心の闇」を紐解く物語となっています。
4.主人公アニタについて
心を病んでいる女子高校生。
自己肯定感が非常に低く、自分に自信を持てない、人と上手く会話することも苦手な性格。
専門的な治療やカウンセリングも受けているものの、ネガティブな感情に囚われ続けています。
SNSも他人と比較して自分のフォロワー数やハートマークの低さを常に気にしたり、誹謗中傷も受けたり、学校においても友達はアメリとマヤの二人だけです。
ある日、友人マヤから呼び出されるアニタ。
呼び出さた場所は、10代の若者達の自殺の名所とも言われる廃墟のマンション、ヴィラ。
ヴィラは居場所のない若者達の溜まり場であり、至る所にグラフィティが描かれいる、非常に混沌とした雰囲気の空間でした。
(※グラフィティとは、主にスプレー缶や液状の塗料で壁に描かれた落描きで、界隈の暗黙のルールとして上描きすることも可能とも言われている。
無許可で描かれたものは器物損壊罪等に当たるが、近年はゲリラ的に世界各地で描く覆面作家バンクシーのグラフィティが現代美術として例外に評価されている。)
マヤは、アニタをどうして呼び出したのか。何を伝えたかったのか。
アニタはスマートフォンで、マヤやアメリと連絡を取り合いながら、ヴィラでマヤを探します。
このスマートフォンの操作やギミックも「これぞ令和のサイレントヒル!」という新鮮味のあるめので良かったですね。
マヤやアメリに返信するのも最初はワクワクしましたが、次第に自ずと恐る恐るポチポチとするようになったり…。
アニタが探索するうえで唯一のアイテムなので「もしこれを紛失したり壊れたら詰んでしまう…!」と依存する気持ちも疑似体験できます。
このヴィラでの探索を通じて、アニタ、マヤ、アメリ、ケッテンシュタット市の闇が次第に明るみになるわけですが、アニタに感情移入したユーザーは多かったことでしょう。
個人的にアニタの生い立ちについて気になっている部分があり「アニタとアメリは姉妹(双子)?」という疑問が拭えません。
アニタとアメリは名前も容姿も非常に似ていますが、アニタの家族構成は実母と乳幼児の弟との三人、一方アメリは実父と再婚相手の継母と義兄との四人です。
このゲームを攻略中「子供は心に蓋をして抱えきれないトラウマを忘れてしまう(意訳)」と書かれた記事を拾えますが、もしかしたら「アニタの実母とアメリの実父は元々夫婦だったが、離婚後アニタとアメリはそれぞれ別々に生きることになり、二人共その幼い頃の記憶(トラウマ)を忘れている?」のではないでしょうか。
アニタには弟もいましたが、その子は離婚後に生まれた子(父親は不明)だとすると、登場人物の相関図がクリアになり、アニタがアメリに無自覚に執着している理由にも深みが増しますよね。
アニタの母親もまた、アニタと同じように母親から虐待を受けて育っていたがゆえに「私はあの母親と違う!」と思いつつも負の連鎖を続けてしまっていたという事実は、本当によくあることだよなぁ…と考えさせられました。
育児放棄で逮捕された後、この母親も専門的な治療とカウンセリングを受けているといいな…と同情しました。
しかしアニタの凄いところは、あんな酷いネグレクトを受けてもなお母親のことは嫌いになれず、純粋に愛していたこと。
アニタと母親のその違いは、やはり「友達の有無」が大きいのでしょう。
アニタはその性格ゆえ狭窄視野に陥り「ある取り返しのつかないこと」も犯してしまったことが、物語の後半に明かされます。
その事実はどうにもならないにせよ、これからはアメリと共に(心の中ではマヤも共に)懸命に外の世界を生き抜けることを切に願うばかりです。
もしかすると、アニタは後々マヤのようにアーティストの道を歩み始め、あの「マヤの未完の作品」に手を加え完成させたのではないでしょうか。
そんな苦しくも未来に希望を感じる、ような美しい雨上がりのようなエンディングで「全米ならぬ全私が泣いた気分」になりました。
5.マヤについて
アニタの友人のひとりで、日系人の女子高生。
親子関係はあまりよくない様子。
ヴィラを拠点に、C.B.という作家名でグラヴィティを描く新進気鋭のアーティストとして注目され、SNSもフォロワー数は天井知らずの人気者です。
アニタをヴィラに呼び出した、物語のキーパーソンです。
アニタの回想からも、マヤは一見「アニタと正反対で才能豊かで自分に自信のある前向きな女の子」のようですが、彼女も心の闇を抱えていました。
マヤは学校で苛烈ないじめに遭っていて、それは転校をしても変わりませんでした。
この理由には二つあり、一つ目はマヤの曾祖母がかつてケッテンシュタット市の繁栄を導いた占い師だったからでした。
「マヤの曾祖母は魔女」などという噂が未だに根強く、マヤは「宗教4世の魔女」と言われんがばかりに、机やロッカーなども滅茶苦茶にされていました。
この「学校内でゴミを投げつけられたり、罵詈雑言を浴びせられるマヤの記憶」を疑似体験できるようなエリアがあるのですが、一人称視点かつヘッドホンを装着していると非常にリアルで「はぁ!?」と売られた喧嘩を買いたくなるような怒りを禁じえませんでした。
(実際そんなことをされたら、私は豆腐メンタルなのてま鬱になるところですけどね…。
こういうタイプのいじめを受けていた人には、トラウマがフラッシュバックされそうですね。)
マヤは深く傷ついていたに違いないものの、悲しい気持ちは表にあまり出さず、グラヴィティを描くことで精神のバランスを保っていました。
マヤのいじめ被害の、もう一つの理由とは、彼氏の存在でした。
順風満帆だったマヤの恋を妬んだ子達が、マヤのいじめをエスカレートさせ、挙句の果てにマヤは彼氏と音信不通になってしまいました。
これが次第にマヤを情緒不安定にさせていきます。
そしてマヤには誰にも言えなかった悩みがありました。
それは妊娠していたこと。
これはヴィラを探索していると、マヤの作品や、ゴミ箱から発見される陽性と判定された妊娠検査薬から示唆されています。
きっと相手は別れた彼氏だったのでしょう。
スケッチブックにも似顔絵があり、いつも彼氏とお揃いのブレスレットも身につけていて、本当に彼氏のことが大好きだったのでしょう。
しかし肝心の彼氏と連絡が取れなくなり、家庭にも居場所を感じられずヴィラを拠点としている未成年となると、八方塞がりです。
(おそらく彼氏はマヤの妊娠が受け入れられず蒸発してしまったのでしょうけれど、本当に最低ですよね…。)
マヤは友人のアメリに相談しようとしましたが、ある誤解が生じてしまい、結局はアメリに相談できないまま、ひとり悩みを抱えたまま自殺してしまいます。
自殺する前マヤは、自身の集大成であるグラヴィティを完成させ一時は達成感もありましたが「では、その後はどうしたらいいのか?」と未来に対し一抹の不安を拭えず、飛び降り自殺をしてしまいました。
マヤちゃん、本当に何も悪くないんですよね…。
そんな家庭に好きで生まれたわけでも、誰かに迷惑をかけたわけでもなかったのに…。
アニタの視点だと、マヤはアメリにだけ親しくしてアニタを完全に無視しているように見えますが、あくまでそれはアニタの狭窄視野(認知の歪み)ゆえだったのです。
マヤからのメッセージが「見つけて」bot化した時は怖かったけれど、マヤはアニタにも真実を知って欲しかったんですよね。
でないと浮かばれませんよね。
物語のラストで、アニタは突風に吹き飛ばされ、それとほぼ同時にアメリからの着信があり自殺をせずに済みましたが、あれはマヤの魂がアニタを助けてくれたのだと解釈しました。
海外の映画では、風の表現は「霊的なモノが存在していること」の暗喩とされているので、あの場面は本当にマヤの優しさを感じることができました。
マヤは最期の最後まで友達想いの良い子でした。
6.アメリについて
アニタの親友である女子高生。
家族構成は実父、継母、義兄の4人。
(普段、兄は実家から離れ下宿して大学生活しており、たまに帰省するようです。)
不思議なことにアニタに似た名前で、瓜二つの容姿をしています。
先述の通り「アニタとアメリは双子?」という疑問が拭えません。
それはそれとして、アメリにも深い悩みがありました。
アメリは兄から性的虐待を受けており、日常生活で男性の視線を過度に嫌悪してしまうほど病んでいました。
兄が帰省する度に不快でたまらなくなるので「兄が帰省する前に大学に合格して下宿生活をしよう!」と受験勉強に奮起し、見事に合格して下宿生活をする予定でした。
しかし社会情勢の悪化に伴い、父親は失業してしまい、仲の良かった両親も喧嘩の絶えない状態に陥り「もう経済的に大学の入学は無理かも…」と絶望し、心を病んでしまいます。
その詳細について、アニタやマヤに話していたのかどうかは定かでないものの(何せ物語はアニタ視点で、サイレントヒル現象に囚われた曖昧な意識の状態なので、この辺りはプレイヤーの想像に委ねられる部分でしょう)、普段はどちらかというとアニタとよく連絡を取り合い、お互いに励まし合えるくらい信頼関係があることが伺えます。
つい自分のことばかり考えがちだったり、相手の事情をよく理解せず安易な励ましをすることもあるけれど、そこに悪気は一切ないんですよね。(後で「ごめんね」と謝ることもできるし。)
目標のために頑張れる努力家でもあるし、主要な登場人物の中では一番「人間味のある良い子」と思いました。
「こういう子、いるよね〜。いると貴重な存在だよね〜。」という感じ。
最後めちゃくちゃオイシイことをしてくれて「アメリィィィぃいいい〜〜ッッ!!!!!」となりますが、何せアニタとマヤの背景の方が強烈過ぎて、全体的にアメリに関する要素が少ないというか霞んでしまっている気がして、その点だけは惜しかったですね。
追加DLCで「アメリ視点の物語」も欲しいです。
「様子のおかしいアニタを案じて探しに向かい、実はアメリもまたヴィラでサイレントヒル現象で彷徨っていた」みたいな内容なんか如何でしょうか、コナミ様?
共依存ぽいかもしれないけれど、私はアニタとアメリの関係性が尊くて好きです。
マヤも好きだけれど、アニアメ尊いです。
7.ヴィラにある和室ぽい部屋について
この点は物語の考察ポイントと思われるので、私なりの見解を記します。
公式のガイドラインの事情で、まだnote上にゲームのスクリーンショットに関しては載せられないためテキスト多めに項目になりますが、ここまで読んでいただいたのなら、どうぞ最後までお付き合いください。
最近X(旧Twitter)でも言及したものも含まれています。
ヴィラの探索を進めると、和室のような部屋を見つけることができます。
私はまず、あの畳の敷き方が気になり、すぐスマホで「畳、配置」と検索をかけました。
畳の敷き方にはルールや意味があるので「これは絶対に良くないやつやろ…」と調べたら、案の定でした。
あの畳の敷き方は「切腹の間」の作法に基づいていたのでした。(畳に関する詳細は各自でお調べください。)
そもそもあの部屋は、マヤの曾祖母について、マヤの家系に関することが具現化されたもので、ケッテンシュタット市の歴史背景を知るためにも不可欠な探索ポイントでもあります。
別の部屋には「日本の死生観について」切腹にも言及した書籍が発見されるので、そこから「マヤの曾祖母は工場の火事の話を聞き、責任感を感じて思い詰めていたのではないか?」または「マヤが桜を好んでいた理由や自殺に至った考え方」を推測することができますね。
また、おびただしい数の安産祈願の御札もありましたが、これはマヤの曾祖母の魂がマヤの身を案じていたことの具現化ではないかと、私は見受けました。
残念ながらマヤは曾祖母と同様に自殺してしまいましたが、マヤの遺作には死を悼む花やお供養の物で溢れて綺麗な状態であったので、アニタに伝えたかった心残りはあれど、マヤはそこまで怨念みたいな状態でなかったのだろうと思いたいです。
(あくまでサクラヘッドは「アニタが作り出したクリーチャー」であり、マヤそのものではないでしょう。)
8.タロットカードの意味
探索を周回していると、先述の和室に謎のタロットカードも発見されます。
本当ならばスクリーンショットを載せたいところですが、公式のガイドラインの事情によりnote上で載れられないため、これは私が創作の資料として持っているタロットカードで再現して、私なりの解説をしてみます。
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(note上でスクリーンショットを掲載できないため再現)
まず、このタロットカードの並び方は「ヘキサグラム(六芒星)」を模しています。
六芒星は、二つの三角を交差させることで森羅万象を意味しているそうです。
上向きの三角形が時系列、下向きの三角形が異なる要素とアドバイス、その中心が総合した最終予想を表しているとされています。
二つの問題の解決策を導き出したい時によく用いられる型で、例えば自分と他者であったり、自分と周囲を取り巻く問題、等々を解決するためのヒントを知りたい場合に用いられることが多いようです。
①過去
星(正位置)
意味:理想や目標に向かい正しい道を歩んでいた。
②現在
悪魔(逆位置)
意味:心の悪魔と戦う姿勢はあるも、非常に困難な場合もあるので要注意。
③近未来
意味:攻撃的なエネルギーが高まり、果敢に物事に挑み、勝利を勝ち取る。
④アドバイス
皇帝(逆位置)
意味:自分のことだけでなく周りのことも考えること。
⑤対象Bについて
隠者(正位置)
意味:ひとり静かに自己の内面を見つめ直したい。
⑥対象Aについて
吊るし人(正位置)
意味:身動きが取れず、自分の一存でどうにもならない現状を認め、静かに考えている。
⑦最終予想
太陽(逆位置)
意味:思っていた成果を得られないが「次の日の出」のために努力すること。
※参考書籍:「78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット」(LUA・作 / 日本文芸社)
さて、これは何と何を占っていたのか、とても考察のし甲斐がありますね〜。
とても意味深な布陣ではないでしょうか。
この⑤と⑥は何のこと(誰のこと)なのか?
アニタ、マヤ、アメリそれぞれの関係性、またはマヤとマヤの元彼に当てはめても、だいたい合っているのではないでしょうか。
マヤの魂がアニタに伝えたかったことの具現化、または生前に人間関係について占っていたマヤの記憶の具現化、なんて想像もできますね。
生前マヤの曾祖母が自身と取り巻く状況について占っていた具現化と考えても面白そうですね。
先述の畳の敷き方もそうですが、入手できるアイテムではないけれど「意味のある小道具」を配置することで「分かる人には分かる」ように演出されている細やかさも「よく作り込まれているな〜」と唸りました。
※ついでに私からも忠告しておきますが、今、何らかの悩みを抱えている皆様へ。
占いも一つの選択肢かもしれませんが、その答えは絶対的なものではありません。
絶対に盲信して依存しないでください。
また占いでは「人の生死について、勝負事の勝敗(スポーツ試合の勝敗、試験の合否、選挙の当落、ギャンブルについて等)、法律上アウトなこと(刑事事件や民事事件に関すること等)」に関して占うことを禁忌としています。
当然、責任を持てない(問えない)ことは言うまでもないためです。
安易にそういうことを占ったり、その結果を盲信したり、他人に指示しないでくださいね。
よくSNS上で、今話題のゴシップ、事件、事故、天災が発生した時、それらを勝手に占った結果を発信したり、事後に「そんな気がしたんだよね〜」と予想していました感を醸し出して閲覧者を煽る胡散臭い占い師達が散見されますが、それはただの「人の褌などで承認欲求と自己顕示欲に満たしたいだけのゴミ」です。
炎上系動画配信者と大して変わりませんので、もし視界に入ったら黙って通報とブロックの対処をしましょう。
9.おまけ
今作はマップが存在しないため、クリーチャーに追いかけ回される際に誰もが焦り、何度も何度も失敗したのではないでしょうか。
私はチャプター2でようやく攻略法を理解しましたが、私は日常生活においても方向音痴のため、紙に地図を書き起こし逃走ルートを見出しました。
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(実際の構造とは多少異なります)
ちなみにチャプター3の逃走イベントは本当に複雑に入り組んだステージだったので、紙に書き起こしていません…。
無我夢中で走り回り、何とかクリアできました。
私は心の汚れた大人なので「もうさ、サクラヘッドちゃんはさ、何かしらの方法で反撃してもいいんじゃない!?どうせ自分のトラウマなんだから、どんな風に反撃しても良くない!!?」と武力行使に出たい気持ちと何度も葛藤しましたが、皆様はいかがでしたか?
逃走パートは、空間認識能力に長けている人には効率的に攻略できるかもしれませんね。
それでは、毎度お馴染みの長文記事を最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!
2025年が皆様にとって笑顔で過ごせますように。