番外余談 高齢者医療窓口負担引き上げは公平・平等?
後期高齢者医療の窓口負担は2022年10月に引き上げられ、現在さらに引き上げる検討がされています。
厚生労働省の統計(参照1)によれば、2020年における人口10万人当たりの受療率は、25~29歳は2,890、35~39歳は3,431、65歳以上は12,556、75歳以上は14,734となっています。比率にすると、1対1.19対4.34対5.10となります。75歳以上の人々は25~29歳の人々に比べて5倍以上の医療が必要という事になります。仮に25~29歳の人と75歳以上の人の所得が同じであったとしても、家計から支払う医療費は単純には5倍となるわけです。
年齢を重ねるごとに必要となる医療が増えてくるという事実を無視又は軽視し、所得のみに着目させ、非正規雇用の増大・円安による物価高・社会保険料を含む重税感による不安と不満が膨らむなかで、医療分野においてはその矛先を高齢者に向けさせ、核家族どころか単身世帯も増えてお互いの実態を認識できにくくなっているなかで、現役世代と高齢者を分断対立させ、高齢者医療制度の改悪を図っているわけです。過日の選挙で大躍進した政党は、この分断を推進するだけでなく、先回りしてご丁寧に尊厳死の法制化までご用意していただいています(参照2)。日本医師会のホームページ(参照3)によれば、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は将来の変化に備えるための本人の意思決定であるはずですが、意思決定にこっそり家族も追加させています。意思決定過程に家族が参加するのは当然ですが、意思決定は本人だけのものです。家族間の感情はいろいろでしょうが、「治療はお金もかかるし、もういいんじゃない。本人は治療継続を希望しているようだけど、先生に話して治療をやめてもらいましょう。」なんて場面も成立しますかね。
現役世代もいずれは高齢者となります。そんな先の事には実感がわかないし、心配しても仕方がない、今が大事という声も聞こえてきそうです。大丈夫、現役世代でもすぐに直面するかもしれない高額療養費の上限額の見直しも現在検討されています。現役世代の保険料を軽減のためと宣伝されていますが、それはお為ごかしそのものなので、いずれ投稿いたします。それにしても「持続可能な」などと危機感をあおり、医療を支える金が本当にないようなことをおっしゃっているようですが、何に使っているのでしょうかね。もし、必要性を無視して高齢者の自己負担を増やすのであれば、鉄道分野においても、通勤定期割引も廃止しないといけませんな。月1回電車に乗る人も、毎日使う人も、目的駅まで電車に乗せてもらうサービスは同じでしょうから、これぞ公平・平等です。
参照1 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html
参照2 https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2024/10/DPFP-PolicyCollection2024.pdf (国民民主党政策パンフレット2024 11現役世代・次世代の負担の適正化に向けた社会保障制度の確立 (13)法整備も含めた終末期医療の見直し 32ページ)
参照3 https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/006612.html#:~:text=ACP%EF%BC%88Advance%20Care%20Planning%EF%BC%89%E3%81%A8,%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82