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給付 番外 語句の整理 一部負担金 自己負担金 窓口負担金 区別の必要性

 何かを考えるときに語句の定義はとても大切だと思う。分かり易く説明しようとして定義が曖昧な語句を使用するとかえって訳を分からなくしてしまうこともある。場合によっては意図的に使われることもある。私自身の初期の投稿を読み返すと私自身が整理できていないことに気が付いた(見つけたところは直し済)。反省とともに混同を避けるため語句を整理しておきたい。
 
一部負担金とは?
 国民健康保険法などの法令に定義される語句。療養の給付、保険外併用療養費、訪問看護療養費、療養費、特別療養費の定率負担部分。前三者については保険者の判断で減額・免除・猶予などの対象にできる。法第44条により災害等に認定される減額や免除されることにより保険者負担となった場合には国庫補助金が支払われる場合がある。逆に法第43条により減額した場合には「長瀬係数」によって計算された分の国庫補助金が減額されていた。高額療養費の申請の場合は償還払いによって、限度額認定証の提示か所得情報連携後のマイナ保険証の提示では窓口において、世帯の所得状況により、一部負担金の額を減じることができる。この場合の減じられたことにより保険者負担となった費用については国庫補助金の対象となる。軽減措置後に最終的に負担する一部負担金が自己負担金のひとつである。政府と一部野党はこの自己負担金を増やし国庫補助金の割合を減らそうとしている。
 
自己負担金とは?
 私が定義する自己負担金とは最終的に本人が負担する費用。軽減後の一部負担金のほか、食事療養標準負担額、生活療養標準負担額、保険外併用療養費の実費や差額部分、すなわち、評価療養における先進医療分・医薬品や医療用具の治験・薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用等の費用、選定医療における差額ベッド・紹介状無しでの大病院初診料・180日を超える入院料・金属床総義歯・後発医薬品のある先発医薬品などが該当する。いろいろ問題点が指摘されている長瀬係数だが、これによると仮に一部負担割合を4割とすれば受診抑制で未受診者は半数を超えてしまうことが予測されることから、さらなる負担割合の改悪ではなく、評価療養と選定療養が国庫補助金の割合の削減のために今後も増加する危険性が高い。2024年衆議院選挙では、この部分を増やすだけでなく混合診療の解禁を公約に掲げた野党もあった。国庫補助金抑制と混合診療解禁がもたらすのは完全な命の差別化であり私は絶対に反対する。
 
窓口負担とは?
 保険医療機関等で支払う金額。これまで見てきたように限度額認定証の提示か所得情報連携後のマイナ保険証の提示により、言わば自己立替分については減じられる施策がされる一方で、自己負担金となる食事療養標準負担額、生活療養標準負担額、保険外併用療養費の実費や差額部分は増加している。

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