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資格 組合員の資格取得日 その1 未来日加入

鹿島 「組合員になれる者、なれない者、被保険者になる者、なれない者についての理屈は以前話したつもりですけれど、後は実務のなかで確かめていけば自然と身に着くわよ。さて、今回は資格取得日の話ね。」

出雲 「保険は未来のリスクを担保すると教えてもらいました。という事は遡ることはないでしょうから、今か未来かという事になりますか。」

鹿島 「頭の回転早いわね。原則はその通りですけれど、例外もあります。まずは公営国保被保険者から国保組合に加入する原則の方を説明します。国民健康保険組合規約例というものが厚生労働省から出ていて、まあ、規約のお手本ですね。国民健康保険は、国民健康保険法、同施行令、同施行規則を根拠として運用されていますが、国保組合はさらに具体的な加入条件や給付内容、保険料などを規約で定めています。ちなみに公営国保はそれらを条例で定めていて、出雲さんが住んでいる自治体もネットに公開しているはずだから確認してみるといいわよ。さて、規約例の話に戻しますが、その7条に「組合に加入しようとする者は、氏名、住所~中略~及び法第六条各号に関する事項を記載した書面をもって、その旨を組合に申し込まなければならない。2 前項の加入の申込をした者は、理事が加入の申込を受理した日に組合員となる。3 前項の受理は、第一項の申込をした日から三〇日以内にしなければならない。」と書かれています。ということなので、どんなに早くても申込日当日しかないし、遅ければ約ひと月後という事になりますね。」

出雲 「お医者そんにかかるかもしれないのに、なんだか、あやふやで困りませんか?理事が出張中とか入院中とか忙しいとか、気の短い人なんか、窓口で「理事を出せ!」なんてことになりませんか。」

鹿島 「そうよね、困っちゃうわよね。でも、実務上は理に適っているんです。医療機関からの請求はカレンダーの月単位となっています。月の初日から末日までの費用をまとめて加入している保険者毎に請求することになっています。いずれ給付の仕事もすることになるでしょうが、高額な医療費の一部負担金を減じる制度も、医療機関からの月単位で請求される診療報酬明細書、通称レセプトといいますが、これが基準です。たとえば、入院中の家族がいて高額な医療費がかかっている場合に、月の途中で保険が替わると高額な医療費が分散して、高額療養費制度の対象から外れてしまうこともあります。そんな事情もあって、規約例が三〇日以内の未来日となっているから、翌月の初日を加入日としている国保組合も多いようね。」

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