わたしの好きな人はイケメンではないらしい

土曜日は張り込みと言いつつ、(前々回記事参照)
ちょっとお高いレストランでハンバーグ定食(¥1000)を頂いてしまった。お金…!
結局彼が女と歩く姿を見ることはなかった。
まぁ女連れならルート変えるわな。
そもそも上がりの時間も知らねえし。
17時上がりのパートさん達は見えたけれど。

わたしはそのまま別のバイトに行ったけれど、
パン工場で黙々とラインにパンを置いていたら、

わたしの片想いがあっぷあっぷしている…


と泣きそうになった。(情緒不安定)

去年の夏からずっと好きで好きでたまらなかった人が好きになってはいけない人になるのだ。
わたしにとっては死も同然だ。
もうこんな世界に生きていたくない。

サヨナラ絶望人生だ。
わたしが空想委員会で一番好きな曲。
余談だけど、

あの頃 僕にとっては 世界とあなたは同義で
繋がりがなくなったら 僕の居場所はどこにもない

この歌詞がわたしは好きすぎて、
これを絞り出した委員長はマジで天才だと思う。

「世界とあなたは同義」

ってモロわたしなんよ。


メンヘラのわたしはいつもそれくらいの熱量で男の人を好きになるのだけど、
わたしが好きになる男の人の世界にわたしはいつもいなくて、
これくらいわたしのことを好きになってくれる男の人なんてきっと世の中に存在しないんだろうなと思う。


合計で8時間も働いていないけれど、
普段在宅勤務のわたしが、
工場の立ち仕事をはしごするのはなかなかハードで、
昨夜は肉体的にも精神的にもボロボロになって帰宅した。
母親に「あんたちゃんと休み入れなさいよ」と言われた。
そう言えば7月下旬に遠征から帰ってきて以来、
平日も毎日ダブルワークが続いている。


でもきっとわたしの好きな人は、
今頃女とイチャイチャしてるに違いないのだ。


一体どんな女なんだろう。
若いのか若くないのか、
可愛い系なのかキレイ系なのか、
背は高いのか低いのか、
陰キャなのか陽キャなのか、
化粧は濃いのか薄いのか、 
髪は長いのか短いのか、
いろんなことが気になって仕方ない。

わたしが好きで好きでたまらない相手と、
普通に連絡が取れて普通に会える女。
滅多に笑わない、
わたしが頑張って話しかけても返事をするどころか、その場に立ち止まってすらくれない、
女に全く興味のなさそうなあの彼が、
短いお昼休みにわざわざ時間を作る女。


1人でむしゃくしゃしていたら、
無性にデートがしたくなった。



わたしがこんなに好きなのに、
わたしの好きな男は今頃別の女と楽しんでいるのだ。
だったらわたしも負けずに他の男とデートがしたい。
そうだ、
わたしはいつもいつもバイトばかりで、
スカートすら履かずに毎日汚れてもいい黒い服ばかり着てもう飽き飽きしているから、

たまにはキレイな格好をして男とデートがしたい。


しかしわたしのスマホには男性の連絡先なんて1人も入っていない。
普段仕事しかしていないからか誘えそうな人すら1人もいない。
ていうか好きな人以外で2人で会いたい異性なんていねえ。
でもネットでいろいろ見ていたら、
好きな人とのデートはオリンピックだから、
それまでに練習試合をしなければならないらしい。

触られたりホテルに連れ込まれずに、

安全に会える男性なんて世の中にいるのか???

断ったらキレられたりしないのか?逃げれる?

わかんねえ。
わかんねえけどそれくらいしないととても気が晴れる気がしなかった。
わたし今週火金の夜は今のところ空いてるのになぁ。誰かご飯連れてってくれる人いないかなぁ。


そんなことを考えながら、
今日も好きな人の工場へ。
きっと彼はお休みだろう。女と一緒なんだろう。
彼のいない工場に行くのは憂鬱だ。
上履き見たくないなぁ。
化粧をする時間が5分しかなかったので、
アイシャドウを入れるのは諦めた。
彼の工場に行くときはいつも具合が悪くなるけれど、
今日は普通に行けた。電車で爆睡してた。


どうして神様はいつもわたしが一番大事にしてる人を駄目にしちゃうのかな。


勝手に片想いしてるくらいよくない?
それくらい楽しくやらせてくれよ。


着いたら念のため靴箱を見る。



…あれ?彼いるじゃん。



デートは?????
なんだ、ちゃんと化粧してくればよかった。
わたしはお手洗いで鏡を見て自分の顔に物足りなさを感じた。

無事に彼のいるポジションにたどり着けた。
昨日と同じ2号機だ。
彼は今日も髪がハネていてかわいい。
やっぱりわたしはこの人が好きなのだ。

今日もローソンのお茶を飲んでいた。
わたしは彼に会いたくなると、
ここの近くのローソンでバイトしてみようかいつも本気で悩みそうになる。
でもいつも誰にでも無愛想な彼は、
きっと店員さんにも態度が悪いのがなんとなく想像ついてしまう。


作業していたら隣のパートさんとタイミーの話になった。

「ここにはイケメンいないからさ!」


と50代の彼女は平然と言った。
わたしが「え?そうですか?」と言ったからか、
彼女は「いる?いないでしょ!この前別のタイミーさんにも言ったらそうですねって言ってたよ!」
と元気に繰り返す。

わたしがいつもの運送会社でイケメンいないと言っているときと全く同じ感じだ。
え?あそこと一緒?いや違うでしょ!だって後ろに…
しかしわたしがイケメンいないと言うと、
運送会社ではいつもなぜか微妙な空気になる。

いつも優しいおじさんも笑ってくれないし、
若い子も微妙な顔をする。
チャラい男の子には「そんなこと言われたらやる気失せちゃうな」と言われた。
男の人は案外デリケートなのかもしれない。
言ってはいけないことを言ってしまったみたいな空気に一瞬なってしまってちょっとめんどくさいのだ。

もしわたしの好きな人にも、
そんなことを直接言う機会があったら、
彼は一体どんな反応をするんだろう。


…うん、無視される想像しかつかねえや。


運送会社で妙に学んだわたしは、
「いやいや、みなさんイケメンですよ〜」
ととりあえず濁す技を覚えた。
しかしパートさんは納得いかない様子だったので、
女同士で使う技ではなかったのかもしれない。
「まぁ好みですからね〜」
「タイミーでイケメン来たらいいですね」
とさらに濁して会話は終了した。


…いやここいつも振り向いたらイケメンいるやんけ!!!!!



「今もいるし!!」
とわたしは何度も振り返って確認してしまう。
いつ見ても彼はとろけそうなくらいカッコいい。
あれがイケメンじゃなかったらむしろ何がイケメンなんだろう???
もしかして彼はわたしにしか見えていないのか?
わたしにしか見えないイケメン…?
それも悪くないか。

ここのパートさん達は、

振り向いたら彼がいるイケメンワールドで働く、
世界一幸せなおばちゃん達だと思っていたのに。


あんなカッコいいお兄さんと働けて普通に話せても、毎日幸せじゃないのか?
ここで働けても幸せじゃないの?
じゃあ幸せとは一体…?

あのパートさんに、
わたしが週末ここの社員さんを見るのが楽しみで来てるって言ったら、
彼女はきっと大笑いするんだろうな。
他の会社にもっとイケメンいるでしょ!と言って笑うに違いない。

次彼女が隣に来たら、
「あの社員さん、柳楽優弥に似てません?」
って言ってみたかったけれど、
お喋りで明るい彼女は、
パートさん達にもタイミーの人にも言いふらしてしまいそうだから止めた。
彼女が好きな人と話しているのを見たことがないのも気にかかったし。

イケメンいるのになぁ…おかしいなぁ…


と思いながら作業していたら、
あっという間に終業時間になった。

途中彼と仲の良い浮浪者みたいなおじさんが来ると、
彼は珍しく笑っていた。
あのおじさんは電車にいたら絶対に隣に座りたくない感じで清潔感の欠片もないけれど、
彼はあのおじさんが来るといつも笑っているので、
一体どんな人なのか一番気になる。


今日はわたしを入れてタイミーは4人いたけれど、
わたし以外の人はみんな彼に質問したり指示されたりして普通に話していた。
彼は今日は肩を叩きたい気分なのか、
パートさんにも男性タイミーの肩にもがっつり触れていて、
わたしはとても羨ましかったけれど、
みんなおじさんやおばさんだったので、
ここでは若いほうのわたしには触れづらかったのだと思うようにした。


話せなくてもいいから土日どっちもいて


神様は一応わたしの願いを叶えてくれた。
ありがとう。

でも今週末どっちもいるってことは、
3連休はまた彼はお休みなのではないかと、
アラサーはまた怯えている。


彼の工場の最寄り駅を出ると、
わたしはイケメンタウンから現実に戻る感じがする。


そんな事を言ったらパートさんには笑われるに違いないけれど、
わたしは週末のイケメンタイムを終えて、
イケメンのいない現実に帰るところなのだ。