アラサーは女の子扱いされたいしヲタ活もしたい
5時間寝て今日は本業の出勤日。
早起きして出勤してもお給料は1円も変わらないのでサボってしまおうかと毎回思う。
好きな人の工場の最寄り駅を通過するので、
バッタリ好きな人に会えたらいいのになんて思うけれど、
もちろんそんなドラマみたいなことは起こらない。
久しぶりにスカートを履いたのだけど、
黒髪ロングのわたしが白い襟付きシャツに紺のプリーツスカートを履いたら、
なんか昭和の女学生みたいになってしまった。一体あと何年この格好が許されるんだろう。
わたしは本当はこういう服装が好きだけど、
普段はバイトばかりしているから、
どこもスカートなんて履いて行けないし、
白いシャツも汚れるから着れない。
こんな格好で仕事ができるのは本業くらいだ。
わたしは本業では月に一度しか出勤しないので、
タイミーで行く会社の人達に会う回数のほうがずっと多い。
わたしの名前すら知らないような人達だけど、
自分の会社の人より会っていると思うと、
なんだか不思議な感じがする。
本業で月1度しか会わない人に名前で呼ばれるのも、
月に何度も会う人にタイミーさんって呼ばれるのも、
そんなに変わらない気がする。
わたしにできるレベルの仕事なら、
働くのにいちいち名前なんて要らないのだ。
そういえばわたしに全く興味のない好きな人にも、
今月だけでももう3回は会っている。
いやほとんど話してないけどさ。
昨日チャラい男の子は明日は朝9時までに届けなきゃいけないところが2件あって、
その後戻ってきたらパレットを4枚積んでまた行かなきゃいけないからとても忙しいと言っていた。
久しぶりに平日の朝から外に出たわたしは、
こんな出勤ラッシュの時間にトラックが走るのは大変だろうなと思った。
今度話せたら言ってみようかな。
話のネタを見つけてちょっと嬉しい。
あの子に恋愛感情は全くないけれど、
話すとなんかウキウキしてしまうのはどうしてなんだろう。
昨夜も久しぶりにいい気分で眠りにつくことができた。
わたしが彼のことを「わかりやすい」と言うと、
彼はなぜかとても嬉しそうに天然おじさんにまで
「俺わかりやすいって」と言って笑っていた。
そんな些細なやりとりを思い出して、
わたしは仕事中もついにやにやしてしまう。
でもこの子に惚れたら惚れたで、
今とは別の地獄が待っているのが目に見えるので、
わたしはきっとこの子には惚れないだろう。
わたしはやっぱり男の人にちやほやされたくてあの運送会社に通っているんだろうか。
たぶん他の男性タイミーにはそう見えていると思う。パレット1枚すら1人で持てないくせに、
男ばかりの会社に来て、
たいした美人でも若くもないのに、
男性達にちやほやされて嬉しそうにしている、
イタくて淋しいおばさんだと思われてるに違いない。
一時期来ていた可愛い女の子も、
最初はチャラい男の子にちやほやされて、
とても楽しそうだったけれど、
今は全く来なくなってしまった。
見切りをつけた理由は何なんだろうと思う。
彼女は明るいバツイチでとてもモテそうだったから、
他にもっと楽しいところがあるのだろうか。
チャラい男の子は3回くらい会うと、
別人のように落ち着いてしまうから、
つまらなくなったのだろうか。
好きでもない9歳も年下の男の子に、
女の子扱いされて浮かれる女はわたしくらいなんだろうか。
でもきっと普通の女の子は、
11年彼氏がいないわたしと違って、
学生の頃からずっと好きな男に女扱いされ続けているのだ。それもいろんな男達に。
わたしはその間なんにも無かったんだから、
ちょっとくらい良い目にあったってバチは当たらないと思う。むしろ足りないくらいだ。
もしかしたら年齢的にもこんな扱いをしてもらえるのは最後かもしれないし。
33歳の女が女の子扱いしてもらえる時間はもう残りわずかしかないはずだ。
だからとても図々しいけれど、
わたしは男の人に女の子扱いしてもらえるうちにしてもらって冥土の土産にするつもりでいる。
おばあさんになっても思い出してにやにやするのだ。
それがこの先何十年生きても、
きっと彼氏ができることのない女の哀しい決意なのだ。
本業の会社は出勤してもとても退屈だ。
わたしは眠気に耐えながら、
たまに声をかけてくる出しゃばりババアに適当に返事をしてスマホをいじる。
チャラい男の子は無事に9時までに荷物を届けることができたのかな、きっとできたんだろうな、彼は仕事ができる人だものなんて考える。
わたしはアイドルには全く詳しくないけれど、
うちの会社は全盛期の欅坂46みたいだと思う。
センターの平手友梨奈とその仲間達感。(伝わる?)何も知らないでテレビを見ていても、
「どうしてこの子しかアップにならないし、
この子だけやたら1人で踊るんだ?」
といつも思っていたのはわたしだけだろうか?
うちの平手友梨奈は正社員の女の子で、
その他の人はその仲間達でしかない感じがする。
そしてなぜ平手友梨奈の研修のせいで、
わたしがヲタ活の日に早退できるかハラハラしなければならないんだろう。うざすぎる。
平手友梨奈の予定が来年までカレンダーにびっしり書いてあるのに焦ったわたしは、
「わたしも3月まで一応予定があって…」と言うと、
別のおばさん社員に、
「◯ちゃんは会社に言われて予定が入っているだけだから、あなたの予定ではずらせないの」
と牽制された。
さすがはセンター平手友梨奈様である。
雑魚メンのわたしにはとても逆らえないのだ。
わたしはこの会社で、
出しゃばりババアみたいに必死に仕事にしがみついて認められようとは思わない。
そこは見切りをつけることができたのだ。
最低限のエネルギーで最低限の仕事だけして、
あとはずっと他のことを考えていたい。
よその人と話したときに、
わたしは普通の仕事をしているまともな人だと思わせることができれば、
本業なんてそれでいいのだ。
だから余計なことや面倒なことはさせないでほしい。
そんなことを考えていたら、
来月のヲタ活の当選通知が来た!!!
同年代の女が申し込みそうにないイベントなので、
正直外れる気はしていなかったけれど、
(宿もバスももう取ってある)
確定したらやっぱり嬉しい!
昔大好きだった男(既婚)が働いているはずの街に、
こうして何度かヲタ活でお邪魔しているけれど、
わたしは彼が勤めているはずのホテルには行かずに、
また近くの超レトロな喫茶店、いや純喫茶で、
おばあちゃんと話しているに違いない。
そしてまた土曜日が潰れるので、
今好きな人にも会いに行ける日が減ったけれど、
ヲタクはそんなこと言ってられないのだ!!!
会えるかわからん好きな人よりも、
イベントのほうが確実だからメンタルにはずっと優しい。
だからわたしはヲタクの沼から抜けられないのだ。