アラサーはたぶん好きな人に嫌われている
昨夜「ただいま」と家に帰ると、
その一言で「今日はいなかったんだね」
と母親が笑っていた。
わたしはわかりやすい女なのだ。嘘がつけない。
わたしの好きな人は他の新人タイミーに、
「初対面からタメ口で、なんか上からだし馴れ馴れしいし、あの人は絶対にまともな教育を受けていない人だと思う!」
と言われていると言うと、
母親(バツイチ)は
「嫌なやつなんじゃん!!!」と笑い、
弟は「今どきフワちゃんだって痛い目に遭ってるのにタメ口はないわー。男を見る目が無いのが娘に遺伝している。」と笑った。
ひっでえ家族!!!!!!!!!!!!
でも優しいしカッコいいしいい声だしいい男だもん。
全っ然会えないけど。たぶん今週いないけど。
彼はわたしが張り切るといつもいない。
きっとわたしと彼は相性が悪いのだ。
そんなわけで今日のわたしはめちゃくちゃ荒れていた。生理前なのもある。
裏の家から延々と聞こえてくる韓国ドラマみたいな音楽に朝から本気でイライラし、
ご飯の心配しかしない母親に「別に冷やご飯食べたって死なないんだからさぁ!」とブチ切れ、
在宅勤務中も事あるごとに「帰りてえ」とため息をついていた。(最低)
今日もイヤイヤ本業を終えて、
この雨の中好きな人の工場に行ったって、
きっと今日も彼はいないのだ。
わたしが見に行くのはきっと彼の上履きだ。
連休だもの、彼だってきっと女と一緒に決まってる。わたしが1年以上片想いしている相手の連絡先を知っていて普通に会えて彼に愛されている許せない恋敵、
殺してもいいなら泣きながらぶっ殺してやりたい。
もう今日は張り切ってなんか行かない。
コンタクトすらもったいないから眼鏡のまま、
昨日より2本遅い電車でギリギリに向かった。
どうせ彼はいないのだ。そうに決まってる。
もうあの人に期待なんかしない。
そう思いつつもいつもの癖でドキドキしながら靴箱を覗くと、
今日は外履きがあった。いる。
タイムカードもチェックした。出勤になっている。女との旅行は終わったようだ。
昨日一緒に帰ったタイミーさんとお喋りしながら準備して休憩室に入ろうとしたら、
彼の後ろ姿が見えた。休憩かな?
わたしは息を整えて休憩室に入る。
彼は後ろにわたしがいることを知らない。
明るい休憩室の中で彼に会うのは初めてかもしれない。ドキドキする。
中に入り奥に向かって歩くと、
彼はおそらく一番奥にある掲示板で明日のポジションを確認して戻ってきたところだったようで、
こちらに向かってくる。
わたしは暑くてマスクを顎まで下げていたので、
満面の笑みで「お疲れ様です!」とニッコリ挨拶したら、
彼は何も言わずに3回くらいギクシャクと頷いただけで去っていった。
なんか前も見たことあるわこの反応…
この人、仕事してないときは結構コミュ障なのかな。
他の社員の女の子も、
いつもハキハキと案内してくれる良い子なのに、
朝の出勤時に会ったとき、
わたしが思わず「いつもと印象違いますねぇ!」
と話しかけたら(本当に全然違って驚いたから)、
すごいギクシャクと返事をされて、
会話が全く盛り上がらなかったことがある。
まるで話をしてはいけない人に話しかけられてしまったような反応をされて、
次この子に会ったときはあまり話しかけないでおこうと思った。
工場の人ってこんな感じなのか?
わたしは工場で働いたことがないのでわからない。
もしかしたらわたしが変なのかもしれないし、
タイミーなんて素性がわからないから警戒されて当然なのかもしれない。
でも去年の11月に3階でこうやって彼に挨拶したときはもっとすごく嫌な顔をされた記憶がある。
今日はそこまで嫌な顔はしていなかったような…。
なんか5月に栄養ドリンクを差し入れしたときも、
もっと気まずそうな顔をしていたような。
でもわたし何回か彼のああいう顔見てるな。
結構見てるからなかなか全部を鮮明に思い出せない。
彼はわたしが話しかけると、
いつもああやって何度も頷いたり、
同じ言葉を2、3回繰り返したりする。
わたしが鈍臭いからかもしれないし、
早く切り上げたいのかもしれない。
あまり良い反応ではない気がする。
たぶんわたしのことが嫌なんだろう。
きっと隣で作業してる昨日彼の悪口を言っていたタイミーの彼女に言ったら、(前回記事参照)
「まともな教育受けてないから平気で人にそういう反応するんですよ!」
と言うだろう。
わたしも彼女も他のタイミーよりちゃんと返事をするから社員の人も話しかけやすいのか、
いつも狙って声をかけられていろんなポジションに飛ばされるのほんと腹立つよねといつも2人で文句を言っているくらい、
わたし達は八方美人というか愛想はあるほうなのだ。 大人だもの。働かせて頂いてるほうだもの。
早く彼作業場に戻ってこないかなとワクワクしながら作業をしていたけれど、15分経っても彼は来ない。
あれ今日3階なのかな?どうしたんだろう。
待っても待っても全然来ないから、
きっと彼は帰るところだったんだと気がついた。
だからあの反応だったのだ。
早く帰りたいから話しかけるなということか。
わたしやっぱり好かれてないな。死にたい。
そういえば同担の女の子は、
彼が帰るときに相談事をしたと言っていた。
話しやすい彼女には彼も帰り際でもあんな顔はしないのかもしれないと思うとわたしはまた落ち込んだ。
わたしにはそんな隙は絶対に与えてくれないのに。
やっぱり彼は彼女に気があるのかもしれない。
もしくは嫁か彼女がいるからお前は絶対に寄ってくるなと牽制されているのかもしれない。
でもわたしより同担の彼女のほうが好かれているのは間違いないと思う。
そんなことをモヤモヤモヤモヤとずっと考えながら作業をしていた。
終わってタイムカードを見たら、
やっぱり彼は帰っていた。
一番下だから使いにくいのか、
急いで帰ったからなのかわからないけど、
両方とも靴箱から飛び出ている彼の上履きをガン見してから、
わたしはまた昨日の彼女と一緒に帰った。
明日は本業の会社の出勤日(憂鬱)なので、
終わったらそのまま彼の工場に向かう。
ずーっと期待していたお盆の夕方3連勤の成果は、
今日すれ違って挨拶しただけで終わりそうな予感が止まらない。
神様はいつもわたしの期待をこうやって思いっきりへし折るのが楽しくて楽しくてたまらないのだろう。