ヲタクはとにかく遠征費を稼がなければならない

今日も本業後に運送会社でひたすらラップ巻きしてきた。
わたしはラップ巻きが好きだ。
1人で無言でできるから。(コミュ障)


タイミーでいろんな会社で働く度に、
わたしは地元で一番の旧帝大を出たのに、
毎日のように高卒の人達に使われていて、
人生ってよくわかんないなと思う。
わたしは履歴書にも大学のことは書いていないので、
本業でも高卒の女の子の下で働いている。
タイミーはどこに行っても底辺のよそ者だから、
高卒の人達に馬鹿にされても無視されても、
わたしはいつも気にせず笑っている。

きっとちょっと馬鹿そうなおねーちゃんに見えているだろう。
誰もわたしが昔はガリ勉の優等生だったなんて思わないだろう。
それでいい。 
わたしはそうやって平和に生きていきたいのだ。
「〇大の子」と言われて苛められるのはもう勘弁だ。


わたしは一体何のためにあのとき死ぬ気で勉強したんだろう。



でも大学生の頃は人生で一番楽しかったから、
あの4年間のためだったのかもしれない。
そうとしか思えない。


ある日突然、
同じ大学を出てちゃんとした仕事をしているイケメンが、

「なんで〇大出たのにそんな仕事してるのさ?」


とわたしの手を引いて、
「よく耐えてるね、すごいよ」と言ってくれて、
どこか面白いところに連れてってくれたらな、
なんてたまに思う。
ただの現実逃避だけど。
そんな人現実にいるはずがないのだけど。


今日は地元はめちゃくちゃ寒くて、
でも今からダウンコートを着たらもう真冬に着て行く服がないので、
わたしは黒のロングコートで仕事していた。
いつも優しいおじさんに、
「仕事する格好じゃないでしょそれ!」
と笑われたけれど、
このコートはもうだいぶ着たから汚れてもいいし、
わたしは遊びに行くときはもっと可愛い服を着る。
この前可愛いコートを買ってしまったから、
仕事用の黒い上着にかけるお金はもうないのだ。


地元にいるのがつまらないから、
わたしは推しに会いに遠くの街に行く。



でもそのためには休む暇もなくバイトをこなさなければならなくて、
そうすると地元で遊ぶ暇もお金も無くなって、
ますます地元にいるのがつまらなくなる。
わたしはタイミーを始めてからずっとこんな生活が続いていて、
今月は少しバイトを休んで地元での生活を見直してみようと思っていたのだけど、
なんとなくちょこっとバイトしてなんとなく買い物や掃除をしてみたいな平和な生活に、
わたしは半月で飽きてしまった。
遠くの知らない街でやるライブや行ったことのない博物館に惹かれて、
結局チケットやら飛行機やらホテルやら申し込んで、
またカツカツの生活に戻ってしまった。


おとなしく地元で地味な生活を送るべきなのか、
遠征のために頑張って働いているほうが生き生きしていて良いのか、
どっちが正解なんだろう。
自分ではよくわからない。
でもわたしは今日は朝から仕事の合間に遠征の荷造りをせっせとしていた。
出発は金曜日だけど、
もう今夜にでも行けそうなくらい準備ができてしまった。
脳内では推しの曲が流れていて、 
自分でも、

「どんだけ好きなのさ!」


と何度ツッコミを入れたかわからない。
20年来の推しはもうアラフィフで、
ここ数年かなり太ってきたせいか、
最近はもうテレビで見ても、
若い頃みたいに「カッコいい〜!」とはあんまりならないし、 
途中CMで映る柳楽優弥を見たときのほうが、
「いい男だな〜」と思ってしまう酷いファンだけど、
でもやっぱり声も曲もすっかり身体に馴染んでいて、
きっと代わりは居ないと思う。
「相変わらず可愛いおじさん達だな」
と微笑んで見てしまうのはきっと推しくらいだ。


明日は本業後にすっぴんで近くのスーパーで働く。
きっとまた何も面白くはないし、
何の出会いもないと思うけれど、
わたしはとりあえず日銭を稼がなければならない。