アラサー、平日のバスツアーで社会見学をする

昨夜から前乗りして、
今日は300キロ以上離れた街のバスツアーに来た。
わたしが行きたいクッソ山奥の、
電車どころか電波もお手洗いもない街。
昔は15000人が住んでいたけれど、
今は無人地帯のその街に行くと書いてあるので、
有給を取ってツアー代1万、交通費・宿泊費2万をかけてはるばる来てみたのだ。


駅から貸切バスに乗ったのだけど、
わたしの他の参加者達は全員郊外にある集合場所から来ていた。

さすがはドーナツ化現象の典型的な街だと思った。


この街は駅前にはホテルと最低限のコンビニしかなく、
郊外の国道沿いにイオンやドラッグストアやファミレスが並んでいて、
わたしは今日も帰りの電車が来るまでの2時間、
一体どこで時間を潰そうか途方に暮れているのだ。
PARCOとかあったら服とか見れるのにな!(無理)
地元では見る暇もなく働いているから、
こういうときに見たいんだけどな!

そして平日だからだろうか、
参加者の年齢層がめっちゃ高い。

たぶん40代すらいない。
なんか平日の町内会のバスツアーみたいな客層だ。
こりゃ地元の人しかいねえぞ。

33歳女1人参加、超アウェー!!!


わたしの上司に似た添乗員のおじさんにめっちゃ丁寧に迎えられ、
関連会社のおじさんがマイクを持ってめちゃくちゃ丁寧に案内していて、
昔わたしが添乗していた旅行会社の日帰りバスツアーなんかとは比べものにならないおもてなしだった。
天気は酷い雨だったのだけど、
降りる度に傘を貸してくれたし、
外を歩くところでは長靴まで貸してくれた。
どこに行ってもいろんな会社の人が優しく迎えてくれてわたしはずっと驚いていた。
へ、平日だから?みんな普通に働いてる日だから?
わからないけれど、
添乗員時代もわたしは一度だって客にあんな丁寧に接したことはな…(以下略)


雨だったし、
ツアーのメインの見どころは別だったので、
わたしのお目当ての場所はゆっくりとは見られなかったけれど、
それでも1年ぶりに訪問できて嬉しかった!
こんな電波もなくて危ない野生動物もいる山奥に母親と2人で来ることはできない。
でもバスツアーで来てもやっぱりわたしが行きたいところまでは連れて行ってくれないので、
わたしは帰ったらいつもお世話になっているNPOの理事長のおじさんにまた、
「次はあそこで会員研修しましょうよ!」
と声をかけてみようと思った。
あの人達と行けばゆっくり安全に見れるはず!期待。


わたしの本業は運送会社の受注センターなのだけど、いつもパソコンで入力している会社の見学もした。
わたしがいつも入力している商品も見つけたので、
なんか嬉しくなって写真を撮った。

しかし倉庫に来るとやっぱり、

タイミーで働きに来たような気分になってしまう。(職業病)


パレットにバラバラの荷物がたくさん積んであると、
「もうあれラップ巻きしてもいいかな?」
とそわそわしてしまうし、
休憩室を見ると、
「今日のお昼はここに来たらいいのね」と思う。
タイミーでここの関連会社で働いたことがあるけれど、
この会社の台車はタイヤにクセがあってめちゃくちゃ扱いにくいのだ。
わたしは思わず台車を引いてみたくてたまらなくなる。(なぜか働く気満々)


この会社は団体の見学を受け入れるだけあって、
最新設備を取り入れていたので、
ピッキングも商品の下のランプが光って数も表示されるのでその通りに入れればいいし、
ピッキングが終わったカゴにも行き先の番号のシールが貼られているから、
あとはその番号の台車に積めば良いらしい。

今すぐ働けるやんけ!!!


「わたしあそこの仕事ならすぐにできそう!」
と思いながらキレイな倉庫を後にした。
やっぱり大手だからか、
いつも行ってる運送会社よりトラックもずっとキレイだった。


次は工場見学だ。
わたしは産業遺産が好きでよく見に行くので、
現役の機械工場に入ると、

「はっ!人がいる!機械が動いてる!」


と驚いてしまった。
この会社も社員にスマホやパソコンを支給したり、
製造業なのに完全土日休みで産休も取れるとホワイト感を強調していたのだけど、
お手洗いに行くと当番の人の名前が貼ってあって、
わたしは正社員時代に女子社員だけ洗濯や給湯室のタオル交換をやらされたのを思い出してしまい、

「掃除とか清掃さんに全部任せない会社はちょっと無理」


と思ってしまった。
わたしは家事がとにかく嫌いなのだ。
1万円もしたツアーだけど、
昼食は社員食堂のエビ天そばとふりかけご飯で、
社員さんは400円で食べていると聞いてしまって、
ちょっと悲しくなった。
いや雰囲気代だから良いんだけどさ。


最後はメインイベントの道路を見に行ったのだけど、
外は雨で暗いし食後で眠くなってウトウトしていた。
わたしがこれなら周りの高齢者達は相当疲れているのではないだろうか。
バスツアーって客でも意外と体力使うなと思った。 


帰りもわたし1人だけ駅で解散して、
結局駅の裏にある戦前の建物を見に行った。
廃墟マニアや昭和好きがネットによく上げている、
もはやここの観光地と言ってもいいような建物だ。
昭和の飲み屋の集合体みたいな建物で、
雨の中1人で写真を撮っていたら、
真っ赤な服を着たいかにも飲み屋のママみたいなおばあさんに「酷い雨だね」と話しかけられたので、
わたしは笑って返事をしたけれど、


あれは生きている人だったんだろうか。

(突然の怖い話)


去年近くにあった同じような建物は解体されていた。
あそこに入っていた飲み屋にはチューリップの形をしためっちゃ可愛い灯りがあったのに!
他の建物も落書きや破壊行為で残念なことになっていたので、
去年見ておいてよかったなと思った。
これだから雨でも近くに来たら寄ってしまうのだ。


近くの古くてボロいスーパーでは、
オリジナルの変な歌が流れていて、
「車を停めるときは段差に気をつけて」
という自虐的な歌詞に思わず吹き出しそうになった。
缶チューハイが安かったので買おうとしたら、
スイッチの切られた冷蔵庫に置いてあるだけで全く冷えていなかったり、
謎の手作り惣菜が半額になっていたりして、
なかなか面白いスーパーだった。


そうこうしてるうちに不安だった電車待ちの2時間はあっという間に終わり、
わたしはパンとおにぎりを買って無事に電車に乗った。
最近遊びの日はこうやって夜ご飯を食べる時間があるから体重が増えてきてしまった。
いつものように夜バイトをして遅くに帰ってきたら、
わたしはヨーグルトくらいしか食べないので、
どんどん痩せていくのに。
「そういえばわたしがキャンセルした今日の運送会社のバイトはどうだったんだろう」
と思ってレビューを見たら、

なんと10代の女の子が来ていた!


きっとチャラい男の子がさらっていったに違いない。
珍しく若い女の子が来てみんなめっちゃ喜んだんだろうなと思うとおばちゃんは複雑だけど、
でも女の子が定着すればわたしも変なおじさんタイミーと2人で働かなくて済むから仕方ない。
そんなことを考えていて、
こんなつまんない馬鹿みたいなことで悩んで、
ずっと会えない好きな人のことを考えながら、
ひたすら働くしかない地元に帰るのは本当に嫌だなと思ってしまった。


でもあと2日本業とバイトを乗り切れば、
わたしは週末はまた地方に遊びに行く。
道の駅に行ったり田舎の定食屋さんでご飯を食べたりしてまたいつもの人達とまち歩きをする。
週末はアウェーじゃないぞ!
きっと柳楽優弥みたいなイケメンに出会うことはないけれど、
知らない街を歩いているときは、
わたしは男のことも仕事のこともお金のことも全部忘れて、
目の前のことだけに夢中になれるのだ。