好きな男と他の男について考えるアラサー
今日は9月12日。
去年の今日、
好きな人の工場に毎日通い詰めていたわたしが、
1ヶ月半ぶりに好きな人を目撃して、
「彼辞めてなかったぁぁぁぁぁ!!!」
と希望が見えた日だ。
1年経った今でもよく覚えている。
休憩室を出て作業場に向かうところで、
おそらくお手洗いから出てきた彼が向こうからやってきて、
ギリギリ挨拶できる距離ではなかったし、
わたしも全然彼がいないから適当な服装だったため、
すれ違うだけで終わった。
久しぶりに見た彼は、
顔色が悪くてどこかボーっとした感じだった。
あのときは何も知らなかったけれど、
彼は7月に過労と熱中症と脱水症状で倒れたので、
長期の休みから復活したところだったはずだ。
だから顔があんな土気色だったのか…
なんて話してみたいとずっと思っているけれど、
この1年でそんなチャンスは無かった。
この先もたぶんないだろう。
わたしと彼の距離は、
1年前と全く変わらないままだ。
いやむしろ遠くなっている気がする。
彼はタイミーと何かあったのか、
最近は最低限の指示出ししかしなくなってしまった。
この前わたしの隣にいた不慣れなタイミーさんに、
「1号機行って」と彼がボソッと指示を出したら、
彼女は「1号機ですか?」と聞き返したけれど、
聞き返した頃にはもう彼はその場にいなかった。
(なんて不親切な社員!)
それくらいの距離感でしか、
もう彼とは話せないのかもしれない。
わたしが初めてあの会社に行ったときは、
彼がマンツーマンで丁寧に仕事を教えてくれて、
わたしも不安なことは彼に聞きながら作業していた。
でも最近来るようになったタイミーさんは、
彼の説明が雑だと怒っていた。
あの工場は毎日2回タイミーが来るので、
毎回毎回教えるのもきっと嫌になるんだろう。
わたしもあと1年くらい遅く来ていたら、
彼のことをめっちゃ背が低くて感じの悪い残念な社員としか思わなかったに違いない。
そのほうが人生楽しかったかなーと今さら思っても、
もうどうしようもないのだけど。
わたしは今日も彼が好きだし、
たぶん明日も明後日も、
日曜日に工場に行って彼に会えなかったとしても、
ずーっと彼のことが好きだと思う。
他に気になる人ができない限り、
わたしはきっとずっとこのままなのだ。
だから変な男に惑わされないというメリットも、
無くはないのだけど。
わたしは彼のことが好きすぎるから、
週に3回も通う男ばかりの運送会社でも、
気になる人なんてできない。
むしろ全く気にならないから平和に働けている。
たぶん添乗員のときもこうだったんだと思う。
毎回いろんなところに行っていろんな人に会う仕事だったけれど、
大好きなホテルマン(既婚)がいたわたしは、
一途に彼のことを想い続け、
他の興味のない男に食事に誘われたり連絡先を聞かれたりしても毎回断っていた。
だから大学を出てから誰とも付き合うことなくこんな年になってしまったのだ。
今思うとちょっとくらいよそ見してもよかったな、
別に付き合える相手じゃなかったしとは思うけれど、
そういう器用な性格だったら、
ちゃんと実家を出て正社員で働いてるはずだ。
今のわたしが好きな人以外の男に興味を持てないように、
当時のわたしも好きな人以外の男に興味が持てなかったのだ。
残念な性格だなとは思う。わかってる。
もっと器用にいろんな男と遊べたら、
絶対人生楽しかったに違いない。
若さもルックスも何もかもドブに捨ててしまった。
わたしは好きな人が振り向いてくれない限り、
このままずっと恋愛経験が積めないんだろう。
一生中学生のままなんだろう。
辛い。リセットしてしまいたい。
もし近いうちにわたしが死ぬことがあっても、
あのまま生きてても好きな人と上手くいくことは絶対になかっただろうし、
ろくに恋愛経験も積めないまま残念なおばさんになって生きてるのも辛かっただろうなと、
妙に納得してしまう気がするから、
あんまり未練もないかもしれない。
そんなことを考えながら運送会社で働いた。
今日はいつもの女の子が来ないからつまらない。
こういうときに限って知らない男性タイミーと事務所で待たされて、
しかも同じ作業をさせられてしまった。最悪。
昨日は彼女と別行動だったのに。
わたしは倉庫への行き方もラップ巻きの注意事項も、
彼とは一切目を合わせずに教えた。
これ以上わたしに何も聞いてくるなよという圧だ。
彼と別の現場に行くと、
わたしはようやく安心して動けた。
ここで1番か2番目に話しやすい天然のおじさんと、
この重たい荷物は一体何キロあるんだろうとか、
つまらない話をして笑った。
チャラい男の子に「出番だよ!」と言われて、
天然おじさんと3人で作業をした。
おじさんがフォークリフトに乗っている間、
わたしはまたチャラい男の子と話す。
いつも荷物を積むときは床に下ろしているクッションみたいなものをわたしが何も言わずに下ろしたら、
今日は使う日だったようで、
「やだ勝手に下ろしちゃった!いつも下ろしてるから良いかと思って!すみません!」と笑うと、
チャラい男の子もなぜかめっちゃ笑ってくれる。
わたしが最近ちょっとやだなと思っている勤続25年おじさんのことを、
チャラい男の子も「俺最近あの人無理」と言ってきたのでそんな話をしたり、
明日は仕事がキツいと言うので、
「でも終わったら3連休ですよね!どっか行くんですか?」と聞くと、
彼は嬉しそうに友達と近くの温泉に行くと言う。
この子になら普通に予定も聞けるのに、
どうして好きな人には何も聞けないんだろう。
チャラい男の子はトラックを降りるときも、
「男なら勝手に降りろって言うけどね」と言いながら足場をリモコンで下げてくれたので、
わたしは「気遣わなくていいのに〜」と言って笑う。
これが好きな人なら、
わたしは黙って「ありがとうございます」と言うだろう。きっとそれで限界だろう。
勤続25年おじさんは、
今日もまたお給料が削られる時間になってから上がれと言ってきた。
困ったわたしは天然おじさんに「あと10分いたいんです!」と言うと、
一緒にパレットを片付けたりラップを捨てたりさせてくれた。優しい。
そうして無事に上がると、
チャラい男の子が「お帰りですか?」と声をかけてき
て、
横にいた天然おじさんに「トラックで駅まで送ってあげて」と言って去っていった。
突然わたしを押し付けられたおじさんは、
駅の場所を知らなかったらしく、
2人でスマホを見て確認した。
住宅街だからトラックが通れるのか心配だったけれど大丈夫みたいだ。
しかしこんなことは初めてだ。どうしたのかな。
駅に着いてからわたしは、
トラックの前を通るときや駅に入るときに、
振り返っておじさんに笑顔で3回も手を振って別れた。
わたしは好きじゃない人になら、
こういうことが自然にできるけれど、
好きな人にも駅で何度も振り返って手を振れるのだろうかと考える。そんなことしても彼はもうその場にいない気がするけど。昨日駅で見たカップルは、
男の人が名残惜しそうに女の子の腰を触っていて、
わたしも好きな人にあんなふうにされてみたい人生だったなと本気で思った。
でもこんなふうにトラックで送ってもらうのも悪くないかもなと、
わたしは30分も電車が来ないホームで1人考えていた。