近すぎるて王子様

昨晩リネン工場で働いて、
6時間も寝ないまま今度は好きな人の工場へ。

今週は本業が忙しいのに、
ゴミみたいな現場も行った。(過去記事参照
週に2回も新しい現場を開拓してとても疲れたから、
そろそろ好きな人の顔が見たい。
頼むよ神様。彼に会わせてよ。お願い。

緊張と寝不足と炎天下の日差しにやられて、
いつも通り気持ち悪くなりながら出勤した。
ここに来るときは彼に会うまでが本当にしんどい。
いつもいつもお腹を下しそうになる。

着いて靴箱とタイムカードを見て安心して準備する。
これから好きな人に会えるっていうのに、
もう汗で肌がドロドロだ。つら。

朝はわりとスムーズに好きな人のところに行ける。
仕事のできないおじさんは今日は軽いほうに回してくれた。
そしてそこでわたしの好きな彼も作業している。
もう1人のタイミーさんは彼から離れたところに先に入ってしまったので、
わたしは内心
「やだぁぁぁぁ!!!!!むりぃぃぃぃぃぃ!!!」とパニックになりつつ、 
彼の隣に行って「お願いしまぁす!」と言った。
彼は持っていたナプキンをきちんと機械に入れる向きにして置いてからわたしに場所を譲った。

やっぱりどっか行っちゃうのね。


何枚か入れたところでまたおじさんに声をかけられ、
「貴様、今さら彼から遠い機械に送るつもりか」
と睨みつけそうになったけれど、
おじさんは機械に入れる前に整えるポジションにわたしを送った。
そこは彼を正面から拝める唯一のポジションなのだ。

ぃよっしゃあああああ!!!!!
今日は当たりだ!!!!!


彼も同じ布を整えながら、機械の調子を見ている。
わたしと彼の距離はカゴを挟んで1メートルくらいだろうか。
ちかい、近すぎるて…

久しぶりに近くから拝む彼はやっぱりカッコよくて、
わたしは奇声を上げそうになる。
誰かに言いたい。彼カッコいいやばい死ぬと。

年末年始あたりは、
近くから彼を見たら肌がキレイすぎて、
おばちゃんは思わずエステに行くくらい焦ったけれど、
最近運送会社で20代半ばの男の子達と働いているせいか、
やっぱり彼らのほうがお肌はぴちぴちな気がする。
彼は20代だと思っていたけれど、
もしかしたら30代なのかもしれない。
まぁ間違いなくわたしよりは年下だろうけど!

そしてたぶんまだ髪は切っていない。
わたしは先週彼にあんなことを言ってしまったので、
過去記事参照
これで彼が突然バッサリ髪を切ってきたらどうしようと内心焦っている。
でも前髪あるほうがカッコいいかと思ってたけど、
分けてもカッコいい。どっちも好きだ。

今日はいつも感じのいい社員さん(たしか主任)もいて、
彼と仲が良いのか2人でよく話して笑っていた。

いつも無表情の好きな人が目の前で笑っている…


笑った顔かわいすぎるて…わたしよりかわいいぞ。
なんだこのサービスは?
まるで推しがバンドメンバーと笑っているのを間近で見れるような。
そうか、ここの男性社員達はバンドメンバーなのか。
なるほど。納得だ。

彼がカッコよすぎるのと、
寝不足と暑さもあり、
わたしは時々頭がクラッとした。

でももしわたしが今倒れたら熱中症ではない。失神だ。


わたしはイケメンに興奮しすぎて、
昭和の男性アイドルのコンサートの客席で、
悲鳴をあげて失神する女の子のように倒れてしまうのかもしれない。
身の危険を感じた。


そんな夢みたいな時間が1時間は続いただろうか。

わたしは今日はイケメンの過剰摂取だと危機感を感じ始めた。


今までこんなに長い時間彼の目の前にいたことはないはずだし、
こんなに何回も笑った顔を見たこともないはずだ。
これは心身に異常をきたすかもしれない。
たぶんまた食欲は死んだな。
もし同担の女の子がいたら、
そろそろこのポジションを譲ってあげたかったけれど、今日は彼女は来ていなかった。
(それ以前にタイミーの分際でポジションを譲るなんてできない)

そして整えていたものが無くなってくると、
おじさんはまた移動するように行ってきた。
なんと彼が今1人で作業している機械に行けと言う。
そんなのまた彼に聞くしかないじゃないか!!!

わたしはまた
「やだぁぁぁぁ!!!!!むりぃぃぃぃぃぃ!!!」
となったけれど、
わたしはもう女子高生ではなく、
工場で働く33歳の大人なのだと言い聞かせて、
なんとか彼のところに移動した。
 
彼が入れたシーツを横から伸ばす作業をすることになり、
ここより上は危ないから手を入れないでと彼に教えてもらった。
たぶんこれ前もやったことあるやつだ。よかった。
「この下でやってればいいんですよね?」
とわたしが確認のために手を出したとき、

全く意図せず彼の手にわたしの手がぶつかった。


丸っこくて小さくてもみじみたいな彼の手は、
見た目通り柔らかくて、
わたしより冷たかった。
わたし平熱高いからな。今朝も36.7℃あったし。

わたしはその場ではなんとか平静を装ったけれど、
「今好きな人と手ぇぶつかったじゃん!!!」
と少し時間が経ってからうろたえた。(時差)
彼と手がぶつかったのはたぶん1年ぶりだ。

また奇声を上げたくなりながらも作業に集中する。
昨日火傷したところがシーツにぶつかると痛い。 
ここの機械の角にぶつかっても痛い。
血が出ませんようにと願いながら作業をする。
ちょっと視線をずらせば好きな人がすぐそばでシーツを入れているのだ。
下を向くと一重瞼の彼が奥二重に見えて、
わたしはこんな近くで見れたの初めてかもとまたドキドキする。
途中で彼が冷風扇をわたしのほうに向けてくれた。
わたしは「ありがとうございます」とお礼を言う。
きっと嬉しそうな顔をしてしまったに違いない。

あれいつもこんな優しかったっけ?

本当に王子様じゃん…!!!


ここに初めて来たとき、
彼はここから冷風が出ると教えてくれなかったので、
わたしは違うパートさんかタイミーの人に教えてもらったはずだ。
ここはいつも暑いけれど、
水分補給とかの声かけをされたこともないから、
彼はそういう優しさはない人なのかと思っていた。
どうしたんだろう?
それかそんなにわたしの手熱かったかな…

今日は暑いから5分休憩が入って、
彼が声をかけてくれたけれど、
彼は休まずに働いていた。

その後シーツを入れるほうになり、
彼がちょっと雑にやり方を教えてくれた。
やっぱりいい声だ。いつ聞いてもカッコいい。
いつの間にかパートさん達も来て、
彼は去ってしまった。
受け取るほうに行くのかな?
まぁそのうち戻ってくるさ、
わたしも少し彼を見るの休まないと。
やっと酸素を吸えたような気がして少し冷静になる。

彼はお昼休みが終わっても戻ってこない。
わたしはちらちらといそうなところを見るけれど、
全然見つからない。
彼不在のままもう2時間は経っただろうか。
わたしが緊張のあまり、
「もういい!もういい!」と思ってしまったから、
神様は彼を引っ込めてしまったのだろうか。
これならあのまま帰ってもよかったな。
また無駄に稼いでしまった。上限…。
やっぱりここは長くいればいいってわけでもないな。
5時間いても全く喋れないときもあるし、
2時間来ただけでも何回も声かけられるときもある。
やっぱり何事も量より質なのかもしれない。

結局彼に再び会うことはないまま終業時間になった。
まぁ今日はいっぱい見れたからいいや。
今月いっぱい入れちゃったけど、
もう来なくてもいいかもしれない。(勝手)


彼は一体どこに行ってしまったんだろうと思いながらタイムカードを見たら、
なんと彼はもう退勤していた。

え?早退?なんで?朝早かったのかな?


こんなの見たことないぞ。
だから朝なのにちっちゃいポカリ飲んでたのか!
そして今日午後じゃなくて本当によかった!!!
そしてもうお盆だから、
このまま帰省とかだったらしばらく来なかったりする?
ここそんなホワイト企業だったっけ?繁忙期でしょ?

テンパりながら久しぶりに会った他のタイミーさんと一緒に帰った。
彼女もここの上限は残しておかなければと言っていた。
みんな考えることは同じだな。

わたしはそのまま脱毛に行ったのだけど、
彼がなぜ早退したのかずっと考えていた。
体調不良ではなさそうだったし、
平日休める人が土曜日にわざわざ病院に行くとも思えない。
やっぱり帰省?彼女の実家にご挨拶とか?
やめてくれええええええええ!!!!!
と思いながら、
ふと6月下旬に彼がずっと休んでいたことを思い出した。



…もしかして四十九日法要?



彼はたしか6/21〜25あたりずっといなかった。
過去記事参照
け、計算が合う…。
わたしは新婚旅行なのではと勝手にショックを受け、
生まれて初めて飲食の仕事に手を出した頃だ。
働き者の彼がそんなに長く休むということは、
きっとただの親戚とかではないだろう。

そういえば去年彼が寝込んでいたときも、
父親が面倒を見てくれたと言っていた。
母親は闘病中だったとか?いやさすがに考えすぎか。


もしかしたら彼、

先月はきっと落ち込んでいたのでは?



わたしは先月は遠征で忙しかったから、
工場にはほとんど来ていなかった。よかった。
落ち込んでいる人に変なことを言うところだったかもしれない。あぶねえ。
最近彼が太ってきたのも、
髪を3ヶ月切っていないと言っていたのも、
もしかしたら関係あるのかもしれない。


いくら彼が好きだからといって、
このハイテンションを彼にぶつけないほうがいいのかもしれない。

そして彼の様子を今まで以上に見ておいたほうが良さそうだ。
でもお盆は働きに来てね、
わたしいっぱい入れちゃったからとまた勝手なことを思った。